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連休どうしてる?(日記)

5月の大型連休は概ねカレンダー通りに休んでいます。思えば、去年の今ごろはちょうど実家のリフォーム完了と引っ越しを控えて荷物整理に家具探しにと奔走しており、あまり連休っぽくなかった。今年は幸いにも例のアレの感染状況も落ち着いて世の中的にも連休ムード、という感じですね。

急にカプースチンにハマった

作曲家でピアニストのニコライ・カプースチン(1937-2020)の音楽にめちゃくちゃハマり、連休中ずっと聴いています。

きっかけは、自動演奏ピアノのパイオニア、ミヒャエル・ナナサコフ先生のYouTubeチャンネルに投稿された『8つの演奏会用エチュードOp.40 No.8』の動画を観たこと。率直に「こんな音楽あるの!?」という衝撃があった。普段そんなにピアノを聴かないからカプースチンの名前も知らなかったし、なので当然、10年以上前から辻井伸行さんやアムランやユジャ・ワンが演奏してちょっとしたブームになっていたのも知らなかった。2年前のご本人の訃報さえも。

いやー、とにかくこのエチュードが8曲ともすごい。1曲目、3曲目、8曲目のような超高速超高密度の曲は単純にグルーヴしていてカッコいいし、2曲目のような美しい曲もあれば6曲目のようなかわいらしい曲もあり…。けど一見親しみやすいようでいて、ふうんと先を覗いてみると生半可な初心者にはまるで見通せない迷宮が広がっていてビビってしまう。

カプースチンの音楽は一見してジャズそのもので、その実、即興のような超高速パッセージが一音もらさず楽譜に書かれており、形式上もあくまでクラシック音楽のフォーマットに沿っているのですね。昔、プロコフィエフの音楽にハマっていた時に感じた、20世紀ロシア音楽の「奇妙だけど美しい」「キレイだけどなんかヘン」という特徴がまんまカプースチンにも当てはまる。よくある、クラシックにジャズを取り入れてみました、なんてものではなく、作曲家のなかで遺伝子レベルでジャズとクラシックが分かちがたく融合している。だから、ジャンルはと訊かれるとなんとも言えない。

気になってSpotifyで他の曲を探してみると、確かにそれなりに録音はあるんだけど、追いきれないほど多いというわけでもなく、ぱっと聴いて演奏もまちまち。これはジャズのグルーヴの有無が重要なのだというのは分かったから、何をおいても作曲者の自作自演の音源をどうしても聴きたくて、件のOp.40とそのほかに有名なピアノソナタ第2番(Op.54)を収録したカプースチン盤の2枚を探して買ってきました。入手できる自演盤の情報はタワーレコードの紹介ページのディスクガイドが参考になった。

カプースチン入門編の2枚

ピアノソナタ2番のほうも、第一楽章の導入こそ映画音楽みたいにドラマチックで多幸感に満ちた聴きやすい音楽として始まるんだけど、いつの間にか全然分からない異世界に飛ばされてしまう。これは繰り返し聴きたくなる。少し前にたまたまTwitterで話題になっていた下記の楽譜も、カプースチンのこのソナタの第4楽章の冒頭部分。4/4→7/8→4/4→5/8と一小節ごとに拍が循環するのですね。

考えてみると、わたしは楽譜に全部書かれた音楽が好きなんだなと思う。即興の名手であったと伝えられるJ.S.バッハはもちろん、ピアソラもインプロみたいなフレーズを基本的に全部譜面に書いていた人だ(と聞いた)。やはり美しい音楽には、作曲者が吟味に吟味を重ねた必然を感じたい。

カプースチンはウクライナで生まれ、少年期よりロシアに学び、ラジオで聞いた(アメリカの)ジャズに一生の情熱を注いだ作曲家。ある意味でこんなにも今聴き始めるのにふさわしい音楽はないのかもしれない。じっくり聴いて理解を深めたい。

おでかけしたり

休日らしく近場へ出かけたりもしている。カプースチンのCDを探しに出た日は、その足でコメダ系列の和喫茶「おかげ庵」で今季初めてのかき氷。というかもう5月にはかき氷始まっているんですね。追加した濃厚な抹茶ソフトに追いシークワーサーシロップがついていてかなりのボリュームでした。

また別の日は中野のセントラルパークでオーストラリア産ラム肉のPRイベントへ。スパイスやカレーと組合わせると臭みもまったく感じず、多彩な料理を楽しめた。あいにくの天候も、朝イチで待ち合わせたことでほぼほぼ回避できました。エンジョイした。

そのまた別の日は、久しぶりに立ち寄った町田のディスクユニオンで掘り出し物をいくつか。特にピアソラの『ライヴ・イン・ウィーン』はめちゃくちゃ状態が良く、いつかレコードで欲しいと思っていた念願が叶った。CDと収録曲順もまったく同じなんですね。音が本当にいい。

5月に遠くへ移住する友人の壮行会を仲間うちで行った。飲み会らしい飲み会も久しぶりで、ひとまずこの連休のうちは世間の状況が落ち着いていて本当に良かったなと思います。

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