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DDJ-400を買ってPCDJ環境を作った

【2020-04-15 更新】rekordbox ver.6のリリースに伴い、検証を行った内容を追記しました。

必要に迫られてパイオニアのDJコントローラー「DDJ-400」を買いました。自宅での練習と選曲用に。これまではCDJ、しかもUSB非対応のCDJ-200しか持っていなかったので、すべての曲をCD-Rに焼いて使うという古代人みたいなことをしていたんだけど、ようやくPCで選曲してそのままUSBに同期して持ち運ぶということができるようになりました。

それにしても、世界標準レイアウトのDJシステムのフルセットが、PCを持ってさえいれば3万円でお釣りが来る時代ですよ。20年前、私がDJを始めたときはターンテーブル2台とミキサーが必要で、どんなに安いものでも7万円、まともに揃えると15~20万円は必要だった。人類総DJ化も近い。

ベーシックPCDJシステムの決定版

DDJ-400は2018年にPioneer DJから発売されたオーディオインターフェース内蔵のオールインワンDJ用コントローラーで、自社ブランドのライブラリ兼DJソフトウェア「rekordbox DJ」のライセンスが付属している。もともとDDJ-RBとして発売されていた製品の後継で、多くのクラブの事実上の標準機であるCDJ-2000NXS2、DJM-900NXS2に準ずるレイアウトに一新された結果、あっという間に「機能も価格も十分だし、迷ってるならもうこれでいいじゃん」的スタンダードになった。

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長らくレコードとCDでDJをしてきたわたしも、実はPCでDJするのはこれが初めてというわけではなく、むしろ2000年代半ばのだいぶ早い時期からあれこれ試してきた。それこそ古のFinal Scratchに始まり、Traktor、Ableton Live、ロータリーエンコーダーがいっぱいついたMIDIコンにちまちまアサインしたりなんかして、どうにか自分なりに使いやすいデジタルDJ環境が構築できないかというのをやっていました。結果、CDJが一番トラブル少ないしシンプルでいいよね、という暫定的な結論に落ち着いていたわけです。

にしたって、ほとんどの全てのクラブにCDJ-2000が導入され普通にUSBが使えて、なおかつ自分でもデジタル楽曲管理にrekordboxを使っている現状、もうPCで選曲もミックスも完結してしまったほうがどう考えても楽! いまどきブランクのCD-Rを調達しなくて済むし、なにより、現場のハイエンドな機材とほぼ同一の仕様(EQやフィルターやエフェクト)を自宅の環境に取り入れたくて。

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でもう、驚くのがPCにrekordboxをインストールしていればPCとDDJ-400本体をUSBケーブル1本で繋ぐだけなんですね。電源もバスパワーで供給されるしオーディオインターフェースも兼ねてるし、すべてのノブとフェーダーにぜーんぶ必要十分の機能がアサインされてるし、繋いだ時点でオーディオ設定も勝手に切り替えてくれるから、本当にデッキに曲をロードしてPLAYを叩けば鳴る。当たり前のようだけど、ひと昔前のDJコントローラーって初期設定がめちゃめちゃ手間だったのだ…。

しかも、MIDIコンにありがちな操作に対する遅延を全然感じない。EQにしてもフェーダーにしても、ワンテンポ遅れて反応するのがPCDJのもどかしさと思い込んでいただけに、認識が紀元前で止まっていたのを感じた。ひとことで言って快適、ふたことで言ってチョー快適ですね。

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ひとつ懸念だったのは、rekordboxおよびDDJ-400の公式動作環境としてはIntel製CPUのみの対応で、AMDに対応していないらしいこと。現行のメインPCは去年組んだRyzenマシンなので、パイオニアの公式サポートフォーラムでもAMDに対応しないことが言明されているのは気になった。

でも結論から言うと、まったく何の問題もなさそう。rekordbox自体も前から使っているし、DDJ-400を繋いでもすべての機能が安定してきびきび動いていて、少なくともうちの環境では大丈夫そうです。検索してもredditくらいしか情報源がなかったので参考までに。

※追記:断定のようなトーンで書いてしまいましたが、あくまでわたしの環境では問題ありませんでしたという話です…。接続したマシンの具体的なパーツ構成はこちらの記事に記載しています。

DJソフトウェアとしてのrekordbox DJは、もはやTraktorと比べても何ら遜色はないですね。もちろん複雑な使いかたをするなら色々あるのだろうけど、2デッキでロングミックスをメインに使うなら個人的には100%これで大丈夫です。ライセンスはPC2台まで対応しているから、ノートPCに入れれば出先でPCDJもできるけれど、今のところは自宅環境のみで、持ち出しはUSBだけで済ませたいかな。グリッドやキューの情報、プレイリストやタグなど、ライブラリの情報丸ごとUSBと同期できるのが便利すぎて。

レコーディングも以前より遥かに気軽にできるようになったので、また折に触れてDJミックス録っていきたいなと思います。

ついでにAKG K182の感想

今回サウンドハウスで買ったんですけど、ついでにAKGの密閉型ヘッドフォンK182も購入しました。DJ用ヘッドフォンとして使っていたK451がだいぶヘタってきて、しっかりしたのが欲しかったところ、2016年に出たK182というのを見つけた。

というかわたしAKGのヘッドフォンが大好きで、ここのばっかり買っているんですね。AKG(アーカーゲー)はオーストリアのメーカーで、原音に忠実でフラットなモニター用ヘッドフォンの分野で定評があり、主にクラシックのレコーディング現場で多用されているようです。

ちなみに、もし誰かいい音楽をいいヘッドフォンで聴きたいと迷っている人がいたら、個人的にはK240 Studioというのが最強であるというのはお伝えしておきたいです。5,000円ちょっとで買える。

セミオープン型なので圧迫感がなく、側圧も弱めで無限に着けていられる(そのかわりサイズが大きく、かなり音漏れするためあくまでもホームリスニング用途)。何より、これで聴く音楽は音の情報量が多くて、そのへんのヘッドフォンでは聞こえなかった音が聞こえる…というのがざらにある。低音が強調されたいわゆるドンシャリでは全然ないので初めは物足りなく感じるかもしれないけど、結局のところ適正なバランスでミックスされた音を適正な音量で聴くのが至上とわかります。

で一方、今回買ったK182はそれとはまた全然違ったコンセプトの製品。正直スタジオモニターや自宅の普段使いにはあんまり向いていないバランスの音で、かといってモバイル用途には大きすぎるしみたいな感じで、実際触れてみると思っていた以上にDJ用途に特化したやつだなと思います。個人的には今までAKGで買ったことないタイプの製品だ。なので、ニッチではあるけれど用途がドンピシャな人にはおすすめ。見た目も無駄がなくソリッドだ。

【追記】rekordbox ver.6について

4月15日、rekordboxソフトウェアのメジャーアップデートが発表され、同時にver.6のダウンロードが可能になりました。

ver.6はver.5以前のrekordboxを上書きするものではなく、同じマシン上で共存が可能で、かつライセンスも別の扱いになります。大きな違いは、月額契約によるサブスクリプション型ライセンスが標準になったこと。DDJ-400に付属しているver.5の永続ライセンスも無効になるわけではなく、機能面でもほぼ変わらないので、現状はアップデートを急ぐ理由はなさそうです。

ただ、アップデートしてもDDJ-400がこれまで通り使えるか興味があったので、さっそく試してみました。

結論から言って、DDJ-400を含む一部機器は「ハードウェアアンロック」の対象になっていて、新しいサブスクライセンスのうち「Coreプラン」(月額980円)相当の機能…つまりPerformanceモードを使ったこれまで通りのDJプレイは、無料ですべて使えました。新たに何かを契約する必要はなし

ただ、v5とv6のライブラリは直接の互換性がないそうで、インストールするとまずライブラリの変換が始まる。これ自体はすんなり終わって、波形もグリッドも問題なく引き継げていたんだけど、わたしの場合はインテリジェントプレイリストのマイタグ検索条件がリセットされてしまう問題があった。

おそらくv6用にライブラリの形式が変わったため、結局のところ、このように再度全トラック解析をかけたほうがいいみたい。ただ、BPMや波形の解析からやり直すような大掛かりなものではなく、右クリックのメニューから「新しい解析データの追加」で差分のみ(?)解析をかける形のようです。これだと時間もさほどかからず、元ライブラリのBPM解析、グリッド、キューポイント、マイタグを含むメタ情報もすべて維持されました。安心。

付属していたv5用rekordboxライセンスキーが不要になったぶん、今後DDJ-400本体が値下がりしないかなとも思いますが、どうなんでしょうね。とはいえ、ハードウェアだけでも3万円は十分に安いと思うので、PCDJのスタンダードとしてDDJ-400がおすすめなのは特に変わりません。

以上、追記でした。

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