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テクノ新譜試聴メモ:2020-07

いいかげん大きいサウンドシステムで鳴る大きい音が恋しい。
7月の新譜チェックです。

David Löhlein - Jaleysa [Lehmann Musik]

シュトゥットガルトのLehmann Clubが自らのレーベルで企画した"Save our HOME"は、いまの困難な時代に立ち向かう珠玉のモダン・テクノ・コンピレーション。錚錚たるメンツもさることながら、単にチャリティー目的のありあわせでない、箱のアティチュードが反映された即戦力のツールトラック集になっている。Adventのバッキバキのニュースクール・エレクトロやエモーショナルなパッド使いが美しいTruncateのドライビング・ミニマルが光るなかで、レジデントDJを務めるDavid Löhleinの曲がカッコよかった。ほぼウワモノのないパーカッシプな骨太のトラックで、テクノ特有のフロアの暗闇と熱気を連想させるブレイクが効いている。他にもBen Sims、Marcel Fengler、Thomas P. Heckmannなど。

Conrad Van Orton - Arretramento Immediato [Eyes Have it]

CVOの新曲、けっこう久しぶりな気がしてうれしい。ディープで重く、どちらかというと内省的なテクノを作っていた以前よりもだいぶハードに寄った気もする。この曲もダークな雰囲気で始まりつつも、後半からブレイクビーツをレイヤーさせたはっちゃけた展開になる、かなり最高のやつ。

Oscar Mulero - Natural Resources [Warm Up]

Warm UpのBandcamp先行リリースシリーズWUBCの2作目から。特にBandcamp専売タイトルというわけでもないらしい。総じてハードミニマルなんだけど、B2のこの曲はモロにHard EducationのころのSurgeonのエミュレーションで笑っちゃった。不穏なFMシンセアルペジオ、ウォームな歪みが生み出すゴリゴリ感がとてもいい。さすがに手慣れている。

Fergus Sweetland - Counting The Numbers (Rene Wise Remix) [Hayes]

メルボルンのローカルシーンで活動しているらしいFergus SweetlandのEPにリミキサーでRene Wiseが登場している。中低域の小気味よいドライブ感も、ハイが程よく潰れている感じも好み。タイトル通り曲のあいだずっと女性が数を数えているんだけど、別にカウントダウンでもアップでもないのがミニマル催眠的でいい。

Atonism - Confuse a Cat [FLASH]

Atonismは、ドラムンベースのIMPAK名義で知られるベルリンのManuel Ibañezのテクノ名義だそう。わたしこの、ヘビーな4つ打ちの上をシンセが時々ピッチを外しながらつんのめるようにして駆ける毒々しいシーケンス超好きですね。昨今のレイヴィーなハードテクノともマッチしそう。

Yamaoka - White Horse [Oyoda]

国内インディーレーベルOyoda Recordingsから出たYamaokaさんの新曲がかっこいい。涼しげなアンビエンスの向こうにいろんな景色が見え隠れする多層的なサウンドで、ビート感も残されている。普通にDJのなかで使っても映えるはず。新境地を掘り進んでおられて素晴らしいですね。

Spotifyプレイリストも更新しておきました。

「テクノ新譜試聴メモ」は、R-9が習慣的に行っている新譜チェックのなかから、気になったトラックについて個人的な覚え書きを残しておくものです。原則としてBeatport上で当月内にEPないしアルバムとして新規にリリースされたものが対象。通常は楽曲単位での紹介、まれにEPやアルバム単位で紹介することもあります。

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