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「ウシミツアワー・デッドフィッシュTV(2)」雑感

3月14日(13日深夜)に公開されたニンジャスレイヤープラスの有料note記事「ウシミツアワー・デッドフィッシュTV(2):電気信号とネオサイタマ・サイバーゴス」を読みましたというメモです。なんだかうれしくてですね。

第3部エピソード『レプリカ・ミッシング・リンク』に登場したヘイトディスチャージャー=サン率いるバンド「電気信号」の過去と2048年現在の活動を通じて、ネオサイタマ・サイバーゴスカルチャーが紹介されました。そして何といってもユンコ・スズキの現在の様子も…。

有料記事ですので一応本文テキストの引用はしないでおきます(こういうのってどういう扱いになるのだろう…普通に書籍を評論するときのように、本文の一部を引用してもいいのかな?)。また、ネタバレを含むので気になる方はとにかくニンジャスレイヤープラスを購読してみてね。

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ぐっと来たのはヘイトディスチャージャー=サンのインタビュー。ネオサイタマ・サイバーゴスについて、ファッションなどの外見上のスタイルだけでなく、思想的なアティチュードが客観的に示されたのって、もしかして初めてくらいかも?少なくとも、ネオサイタマ電脳IRC空間のユンコちゃんの紹介記事内の「サイバーゴス」の項では触れられていません。

ロボットのように振る舞うのが、そのように非人間的で画一的な存在に自分たちを仕向けた社会に対する「抵抗」の意志表示だったなんて。ふつうはそもそも、機械というのは命令に対して従順なイメージがあるものですが、そのモデルに電子部品である抵抗器を透かして見せるのは、サイバーかつパンクであることを至上とするニンジャスレイヤーらしいクールな価値観です。

ロボットのような動きとダンスで自分自身を機械存在のように見立てたテクノ音楽のパフォーマンスって、現実の世界においては、古くはクラフトワークとかになるのでしょうけども、私の知る限りそういった音楽にヘイトディスチャージャー=サンが言うような政治思想的な意味合いはあまりないように思います。この部分は作中のオリジナル概念なんじゃないかなあ(ファッションの文脈におけるサイバーゴスのことは分からないけど)。

Kraftwerk "The Robots" (1978)

「怒りのロボット軍団全体的に制圧する!」の原文が「AnGry R0bOt CoRp5 TOta1 DOmiNati0n」というのもチョーカッコイイ。直訳じゃん!

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オシルコちゃんのダラダラした喋りかたが、リアルに深夜にやってる音楽番組っぽいですね。「そんなことより踊りたいんで」とかって雑にぶん投げて〆るやつ、あるある。シヨンのザ・TVショウとかもそうですけど、私がこの手の番組で思い出すのは90年代にMTV系列のVibeでやってた「Eq」という番組です。シーンの説明、フロアの様子の紹介、それにアーティストインタビュー、みたいな構成要素と、この番組のアンダーグラウンド感はけっこう「ネオサイタマ・アンダーグラウンド・テンミニッツ」っぽさがあります。

かつて南青山にあったクラブ「マニアックラブ」の特集

宙吊りカニキャッチ・ケージはないけれど、ベルリンのクラブ「Tresor」はDJブースがオリのなかにあることで有名だ。

テクノ周辺のアーティストが、自らのユニット名に機械装置や無機質なパーツの名前を付ける例というのも実際けっこうあって、機材のパネルにプリントされている文字から取ったModeselektorをはじめ、Truncate、Edit Select、Current Valueとかはその系統だと思います。数字や記号や読めない文字の羅列を自分の名前にすることもある。というか私もだ…。

まあ、機械で音楽を作っていると機械と自分を同一視したい願望みたいなのは少なからずあるのですが(誰にでもあるのかは知らない)、それをアンタイセイにリンクさせるボンド&モーゼズ=サンの発想は柔軟だなあと思うし、いろいろ想像が広がります。

それにしてもUNIXテクノコアってどんな音楽なのかな。サイバーテクノについては以前ブログで独自に考察したことがありますが、いずれUNIXテクノコアに関しても既存の音楽からあれこれ推測してみるのも面白そうかも。

「サイバーテクノ」についての考察 - R-9のおでかけ修行ハウス改善 http://epxstudio.hatenablog.com/entry/2016/02/28/174827

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そして、何といってもユンコ・スズキ=センセイですよ!ウキヨ戦争を経てもタフにサヴァイヴしていたばかりか、世界初のバイオニューロンチップ再生者として有名になっていてネオサイタマ第二大学の客員講師ですか…そうですか…。何とも言えない納得感があります。

今となってはチョー感慨深い一節

エンジニアリングと人工知能について勉強しているのがスズキ・マトリックス解明のためなのか、はたまたナンシー=サンのためなのか、むしろそっちの件は何らかの形で解決していてシキベ=サンとかウキヨの動きに一枚噛んでいるのか。彼女が公の場所で活動しているということは、それ自体がサイバーゴスのみならずニューロンチップ再生者やウキヨというマイノリティの社会的権利や地位向上のためにも意義のあることなはずで、いずれにしても頼もしいことだなと思います。

一部の学生からはソンケイを集めている一方で、見た目が大学生のままのはずだから、たまに事情をよく知らずにナメた態度を取ってくる学生に対してカラテで黙らせたりしているのかも。ああーはやく本編に出てこないかな!

他にも、ウキヨが電気信号をリスペクトしていて、ウゴノシュに密かに遊びに行っているみたいな話もすごいときめいてしまった。相変わらずドロイドまわりの設定やディテールの描写すばらしいですね。

(ヘッダーの写真は2013年の「WIRE13」@横浜アリーナより)

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