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記憶の再現

ココフリュイ

新登場プチガトーのスタートはミックスジュース。

僕が子供の頃個人経営だったであろう小規模の喫茶店が今よりも沢山存在し、それこそ自宅周辺の住宅街にも何店舗か有ってオーナーさんであろうおじさんやおばさん(当時の僕から見た印象)が一人でされていたのを覚えています。

父親はコーヒーが好きで、それも喫茶店で飲むコーヒーが好きだったようで仕事のある日も朝早くに家を出て喫茶店に行ってから仕事に向かっていたそうです(そんな事は知らずに朝早くから仕事に行くなぁと僕は思っていました)。僕は小さいころから少年野球に入っていて週末はずっと野球でほとんど家に居ませんでしたが、雨が降った週末で野球が無い時の朝はたまに近所の喫茶店に連れて行ってくれ砂糖とミルクをたっぷりと入れたコーヒーを飲む父の横で決まってミックスジュースを頼んでいました。

そんなミックスジュースの記憶はバナナのまったり感とオレンジ(蜜柑?)と少し酸味のあるフルーツ(パインか何かでしょうか・・)とバニラアイスか何かの甘ったるい香りの甘味でした。

そんな喫茶店も最近は件数も減り、特に住宅街の中で自宅の一階でオーナーさんが一人でやられているお店はほとんど見かけなくなり、街中のお洒落な大手カフェチェーンやセンスのいい若いオーナーさんのカフェ、もしくは昔からある老舗の喫茶店でZ世代?(この名称の意味は知りませんが)などの若い人が昭和レトロを好みSNSなどで人気の出ている喫茶店が有るのは知っていますが、僕が昔連れて行って貰ったような喫茶店はほとんど知りません。

何故思い出したのか、作ろうと思ったのかは自分でもあまりよく分かりませんが記憶をたどってとにかく考えてルッセトを作り試作を始めました。

バナナはコンポートに、オレンジは食べた瞬間にお香の様な香りが鼻に抜ける未生柑橘(個人的にですが)、酸味はヨーグルト、バニラアイスの甘ったるい感じはココナツでアレンジし、最後に未生柑の香りと相性がいいであろう黒文字を薄いジュレにしてケーキにしてみました。

時代と共に変化するのが当たり前で色んな物が無くなり、新しく生まれて来るのは当然の話でそれを「昔はよかった」とか「今は暮らしにくい」なんてことは言うつもりは有りません。自分の中にある昔の記憶や思い出を今の自分の感覚と混ぜて絞り出すことで昔の良い所、今の良い所をミックスする。ショーケースに並んでいるケーキを見ると一見普通のケーキですがその裏側には作っている人の色んな想いや景色が潜んでいると思います。

そんな裏側を想像しながら食べてみるのも良いんではないでしょうか?ちょっとだけ美味しくなるかもしれませ。。。

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