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【473回】「宇野弘恵の道徳授業づくり 生き方を考える!心に響く道徳授業」を読んだ。(200402)

今回は読書感想です。

特別支援学校では、「道徳」をどのように扱うかはそれぞれの学校の教育課程によって異なる。ひとつ言えることは、「道徳」を行わない学校は存在しないということだ。

「宇野弘恵の道徳授業づくり 生き方を考える!心に響く道徳授業」を読んだ。宇野弘恵先生は小学校の教員である。

特別支援学校勤務の僕が、なぜ小学校教員が作る道徳の本を読むのか。興味があるから。おもしろそうだから。そして、現実的に「道徳」に限らず、授業づくりに悩みがあるからである。

○どのような悩みがあるのか。

例えば、就労に向かって学習をしている生徒に向けて、「社会人とは?」という授業を行うとしよう。
「社会人のマナーとは」「社会人の生活とは」「障害者雇用とは」などと様々なテーマが出てくる。

そこでまず悩みその1
教師が社会人としての自分の経験を話す。
「へえー先生、そうなんだ」と生徒は話を聞く。教師は話すことが好きな人類なので、話し続ける。これが単に、教師の経験談、自慢に終わってしまう可能性。

悩みその2
社会で頑張っている人の例を話す。
「へえー世の中、すごい人がいるもんだ」と生徒は話を聞く。「でも僕には無理だから」で終わってしまう可能性。

悩みその3
「いいか、遅刻するな、早く寝ろ、朝ごはんは食べなさい、スマホばかりすんな」
教師は基本的に真面目な人類だ。だから、授業を通して、何か伝えなければ、生徒を変えなければという思いを持つ。ああしなさい、頼むよと言っても、「説教」で終わってしまう可能性がある。

悩みをまとめると、「生徒が考えること」、そして「当事者性」を持ってもらうこと。この2つのことを生かして授業を作ることが難しい。

授業が楽しいと言ってくれる生徒がいる。
「ああ楽しかった」で終わることが、多かったのではないか。

何を学んでくれたのだろう。
何を考えてくれたのだろう。
意味のある授業はできているのか。
悔しさがある。

自分でわかっている。いつも授業の内容を詰め込みすぎて、目標が何なのかがぶれている。何をゴールにして授業を行うのかがぶれている。

○この本から何を学んだのか

ここで宇野先生の本を手に取る。
道徳の授業づくりを通して、授業の作り方がわかる。

目標を立てること。最初はゴールから考えること。
題材の探し方。
子どもをスタートラインに立ってもらうための、授業の入口部分の作り方。
ゴールに向かうための学習方法の選択。
子どもに「おや?」と思わせるような教材提示や演出。

まるで、テレビ番組のような見事な組み立ての授業が、そこにあった。


○特別支援学校の事情がある


なんで道徳の本で?他にも授業づくりの方法はあるではないか。
特別支援学校の授業づくりの事情がある。

特別支援学校の授業は、基本的にオーダーメイドだからだ。

小中学校のように教科ごとに用意された教科書を用いるのではない。
生活単元学習といって、領域・教科を合わせた指導を行う学校がある。教えるべきテーマがある。生徒の実態に応じて内容と学び方を考えていく。

この題材を通して教えよう、学んでもらおう。
「題材」自体を、手探りで用意していく必要がある。

題材の探し方ひとつとっても、参考になる本なのだ。
おそらく、オーダーメイドの授業づくりに関わる教科書になる。それくらい。そう、読んでいて楽しかった。

今年も、自分の健康優先ではあるが、授業づくりに挑戦する。