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小砂は熱くて親しい場所〜小砂トークセッション報告〜

6/10(日)は、栃木県那珂川町小砂にある旧馬頭西小学校にてトークセッション「里山資源と芸術」に登壇させて頂きました!

ということで、報告です。
※写真の一部はkeat事務局から許可を頂いて使用しています。
※6/21加筆しました。

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開催地である栃木県那須郡那珂川町にある小砂(こいさご)は、「日本で最も美しい村」連合に登録しており、地域内でもその意識を高めた活動を複数、展開しています。そのため、コンビニやチェーン店の参入を許していないとのこと。

この「美しい村連合」という考え方は、1982年にフランスで始まったもの。日本の活動は2005年に7つの町村から始まり、2018年1月現在は63の町村あるいは地域が参加しています。5年ごとに再審査があり、基本理念が継承されているか、運動が定着しているかを確認され、状況によっては剥奪もあるようです。こういった審査はもちろん、世界の「美しい村連合」総会参加や、国内でのフォーラム、フォトコンテストを通して地域ブランドのマネジメントをしていました。

小砂の「日本で最も美しい村」としての活動の一つが、小規模地域アートイベント「KEA小砂環境芸術展」と3年に1度開催される「KEAT小砂環境芸術祭」です。アートディレクターが、みなとメディアミュージアムで2015年にグッドデザイン賞を受賞した小佐原孝幸さんということもあり、井口雄介さん(MMM2011大賞)や玉田多紀さん(MMM2010、MMM2011参加)、田中彰さん(MMM2015大賞)といった、MMMで活躍したアーティストが多数参加しています。

MMM関係者としては伊藤沙織さん作「かっぱちゃん」の住処ということもあり、強い関心を持ってました。

行ってまず感じたのは、自然だけではなく文化が豊かであること。小砂は古くは日本有数の金の産出地という歴史を持ち、また江戸末期には徳川斉昭が小砂焼(下記画像)を殖産興業政策として始め、今も続いています。そういった歴史が小砂に住む人々のプライドになっていることを強く感じました。

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会場は旧馬頭西小学校。今年3月3日に閉校式が行われたばっかりの「ほやほやの廃校」です。

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イベントは船山哲郎さん(札幌市立大学大学院デザイン研究科博士後期課程在籍・秋田公立美術大学助手)のお話から始まりました。船山さんからは彼が滞在制作した作品『ひとつながりの長椅子/共生の跡』についてのお話がありました。滞在制作時の地域との関係が分かるように、会場の雰囲気暖かく、優しくなっていました。

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制作記録を収めた記録映像の再生もありました。僕自身作品を作るので分かりますが、制作しながらの記録映像撮影、やはり大変だったようです…。

その後、田島の番に。私からは事前に依頼のあった「廃校の利活用」をテーマとしてお話しました。現状の廃校の全体的な状況(平成28年5月1日現在で、国内には6811も廃校があるんです!)を踏まえた上で、他の地域(京都・岡山・石巻・福岡etc..)の事例をご紹介しました。
さらに実際に運営で悩んでいることが多いと伺ったので、創業期と運営期に分けた資金調達や法整備、WEBの活用に関する実践的なお話もしました。最後は、最近考えている「Cultural Entreprenuer」という概念についてもお話しさせて頂きました。
スライドを盛り込みすぎて、最後「超早口モード」になってしまいましたが、あとで興味を持って聞き直していただけたり、その後の話に繋がりそうなこともあり、とても嬉しい限り。頑張ってよかった。

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第三部は、来場者のみなさんと輪になってクロストークに。地域出身で美大に通っている大学生の「僕はこの那珂川町出身だけど、東京に比べると遅れてると、劣等感を抱いていた。僕みたいな若者が地元のことを誇れるようになればもっといいんじゃないか」という発言が印象的でした。私は「中国に比べたら、東京だって遅れている。追いつくには今ここの人間で合意すれば先に進める、地方の方が勝算はある」という旨の話をしました。

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その後は懇親会。美味しかった!
懇親会って、アウェイで油断すると喋る人がいなくてぽかーんとする時間があるものなんですが、今回は参加者の方がひっきりなしに話しかけてくれたので、ぽかーんとすることなく、楽しませていただきました。

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イベント後は、ホテル美玉の湯に戻り、懇親会(二次会)でした。

栃木(や他の地域の)美味しいお酒を呑みつつ、24時過ぎまで、昼間の話をベースとした議論に参加させていただきました。

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さて二日目は早足ではありましたが、小砂そして馬頭のまちを紹介していただきました。最初は、KEATの参加作家松尾ほなみさんと高山瑞さんの作品を車内から拝見しました。環境芸術学会理事としてはこの場所をもっと広めていきたい。

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その後は隈研吾の初期の建築である那珂川町馬頭広重美術館を経由しつつ、那珂川町の中心地を経て、常陸大宮駅でお別れ。

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滞在を終えて思うのは、地域の方々が距離の近い、親しみのある関係と、そして地域に対する熱い熱意を持っていることでした。懇親会では「田島ちゃん」と親しげに呼んで頂いたことで、本音ベースでしっかりと議論することができました。小佐原さんは「名字がみんないっしょなので、名前で呼ぶから、自然と距離が近くなるのではないか?」と言ってましたがそうなのかも。私の持つ「ドライさ」と小砂の皆様が持つ「熱さ」が、やはり小砂の方々(と、たぶん私も)が持っている「親しさ」で繋がれば、いろんなことができる気がしています。

さて今回、私は今回、企画者の強い押しにより、人生初「コミュニケーションデザイナー」という肩書でお話しました。今までその肩書でお話したことはないし、今も「?」な部分はあるのですが、他の方から肩書をつけていただく、というのはありがたいこと。ありがたく、受け入れさせていただきました。実際、最近の仕事は「コミュニケーションデザイナー」感が増えてきているので、これもありかな、と少しは思っています(結構いじられましたが…)。

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