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海外永住組:お子さんの日本語学習

なぜ日本語学習が必要?

基本的に海外に永住されることが前提の場合、お子さんにどこまで日本語力をつけさせるのか、方針はご家庭によって異なります。

共通しているのは「ある一定レベルまでは」ということですが、ある一定のレベルって一体どれくらいなのか、かなり主観的な基準です。

ただ、普段の生活において日本語の必要性がなくても、日本語を学んでほしいという思いは共通しています。

では、どうして日本語を学んでほしいのでしょうか?
理由は色々考えられますが、根っこの部分は、ご両親、もしくはご両親のうちのどちらかが日本にルーツがある、それ故にお子さんにも日本というバックグラウンドがあるからということになると思います。
では、日本というバックグラウンドを背負っていると、なぜ日本語学習が必要なのでしょう?

この答えは、色々考えられるでしょうし、ご家庭によっての考えも異なるでしょう。

日本の学校に行きたい!と言い出したら??

海外生専門の学習塾講師で補習校での指導経験者の立場から、「進学」という点で考えてみます。
多くの場合、海外を拠点としているとお子さんは、インターや現地校で学び、大学は欧米を中心とした海外大学への進学を考えられています。そして、そうなることが「多い」のも事実です。でも、多いだけであって、結構な確率で「え!?この子が日本の大学に!!」ということに直面してきたのも事実です。
大学だけではないです。高校受験をしたいという子も決して珍しくありません。
ちなみに、ここでの前提は家庭の方針ではなく、むしろ家庭の方針に反旗を翻し、本人の意思で「日本の学校」を選ぶということです。

そうなんですよ、本人の意思で「日本の学校」と言い出すのですよ。
ご両親ともに日本国籍の場合だけでなく、例えばお父様がフランス人、アメリカ人という場合でも珍しくありません。

こんな生徒たちがいました。

自分が教えていた生徒の例では、父親フランス人、母親日本人、幼稚園からフレンチスクール、日本語は第三言語(フランス語・英語・日本語)という子が17歳の時に、急に日本の大学に行きたいと言い出し、エピスの門を叩いてきました。既定路線はフランスの大学でしたが、両親の反対を押し切り、早稲田大学創造理工学部に進学しました。

他の例では、父親アメリカ人、母親日本人、幼稚園からアメリカ系のインターに通い、日本語は第二言語。小4でエピス生となり、そのままインター卒業までインターに行くのかと思いきや高校受験をしたいと言い出し、普通に早慶高受験の挑戦。見事、慶応湘南藤沢に合格、早大本庄も繰り上げ候補までいきました。

他にも、いろんな事例があります。

では、なぜ急に日本に行きたいと言い出すのか?
それは、成長とともに自分のアイデンティティについて考えるからです。
上記の早稲田に進学した生徒は、明確に「母親のルーツである日本で生活し学んでみたい」と、日本を選んだ理由を口にしていました。

選択肢を増やそう

このように、日本に行きたいとなった時に、それを実現できる日本語力が必要なのも事実です。そのハードルを超えるためには、パーフェクトな日本語を操れる必要はありません。しかし、「0」からのスタートだと、間に合わないこともある。
だから、幼少期に嫌にならないくらいのペースで、日本語の環境を与えてあげることが大切なのだと思います。それが、彼らの夢の実現を助けることになることがあるのです。

また、進学先が日本でなくても、社会に出た後に、日本との接点ができ(日本のクライアント担当になったり)、細々と続けていた日本語が役に立ったという卒業生の話をいくつも聞いています。

海外生の日本語学習、いや〜、奥深い領域だと思うし、本当に意義のある領域だと思っています。