【天皇賞・春~馬場傾向から分析する前哨戦~】

今週末は古馬の長距離王決定戦、天皇賞・春が行われます。

今回は、天皇賞・春の前哨戦である
・日経賞
・阪神大賞典
の2レースを中心に分析をしていこうかと思います。

「競馬は点と点を線で結ぶもの」なので、過去のレースを分析することは重要なことです。

私自身、馬場の傾向(トラックバイアス)を重視して予想するスタイルなので、その観点から話していければと思います。

日経賞:顕著な馬場傾向!?

日経賞が行われた3/27(土)の芝レースは以下の通り

4R 3歳未勝利 芝1600m
5R 3歳1勝C 芝1200m
6R 3歳1勝C 芝1200m
11R 日経賞 芝2500m
12R 4歳以上2勝C 芝1200m

まずはワンターンの計4Rの結果を見ていきたい。

3,4角において3番手以内にいた馬を赤色で示しているが、向こう正面の隊列のまま決まっているレースが多いことが分かるだろう。

以上より日経賞当日の馬場は、前残り傾向が強く出ていて先行有利だったと推測される。

210327結果

ではポジション別の成績をより詳しく見ていきたい。

日経賞を含め、当日の芝5Rの3角における位置取り別の成績、回収率をまとめた。見ての通り、先行馬有利のバイアスが強く出ていたことが分かる。

3角3番手以内の馬の複勝率55.6%は異常であり、向こう正面の隊列のまま決着しているレースが非常に多い。それに対して、3角7番手以下の馬の複勝率は0%と差し追い込み脚質の馬は壊滅状態であった。

210327、日経賞当日の馬場

以上の結果よりこのような仮説が成り立つ

①先行して好走した馬は疑うべき
②後方待機で好走した馬は見た目以上に強い

もちろん馬場への適性やコースへの適性などがあるので一概には言えないが、これらの仮説を頭に入れながら日経賞を分析していきたい。

では日経賞の結果を。

日経賞 結果
勝ちタイム:2分33秒3
レースラップ:7.1 - 11.6 - 12.3 - 13.0 - 12.5 - 12.8 - 12.8 - 12.5 - 11.7 - 12.1 - 11.8 - 11.3 - 11.8
後半5F:58秒7

後半58秒2のラップを考えれば、後方から差し込んでくるのは物理的に不可能であるので、基本的には前有利のラップである。

とは言っても後半5F目から加速が始まり、11秒後半のラップが連続しているので、単純に前有利というわけでもない。能力差で劣るジャコマル、オセアグレイト、ダンビュライトは先行したもののシッカリ離脱している。

次に上位9頭の結果をご覧いただきたい。

日経賞結果

ここで注目したいのはワールドプレミア。1、2着馬が先行して内目の好位を確保し、トラックバイアスを味方につけて好走した一方で、ワールドプレミアは序盤後方外目を追走して3コーナー過ぎから馬群の外目から押し上げ、直線外を回す競馬であった。それでいて0.1秒差まで詰めた内容はやはり強い。日経賞当日の馬場状態や斤量差を考えれば、本番では逆転可能と判断したい。

ウインマリリンは絶好のインの3番手を確保し、3,4角もラチ沿いを通って全くロスのない完璧な競馬をしていた。ペースも馬場も味方につけた印象があり、斤量53kg→55kgの2kg増であることを考えても本番で強くは推せない。

カレンブーケドールは、ウインマリリンの後ろのイン4、5番手あたりを確保し、こちらも馬場を味方につけた印象。対ワールドプレミアという視点で考えると、有馬記念と今回ともに見劣りする内容である。「トップスピード不足を距離延長で補うタイプ」だけに3200mへの距離延長自体は悪くはなさそうだが、実際のところそこは未知。

ジャコマルは逃げて持ち味を活かしたものの、直線だけで勝ち馬と0.6秒差もつけられたことを考えれば良馬場では能力面で劣る。もう少し馬場が悪くなって上がりがかかる展開なら浮上する可能性はある。

オセアグレイトはスタート直後は後方だったものの、スタンド前のラップが緩い区間でポジションを押し上げることに成功し、先行集団に取りつけたのは大きかったはず。本番で好走するには展開の助けが必要だろう。


阪神大賞典:今年は特殊条件!?

次に阪神大賞典の分析をしていく。こちらは重馬場で行われ、タフな条件となった。

まず競馬において、超スローペースや不良馬場などのいわゆる「特殊条件」で行われたレースにおいては、再現性があるかどうかが大事になってくる。そのため、まず今年の阪神大賞典が「特殊条件」で行われたかどうかを確認しておきたい。

レースの検索条件
・3歳以上もしくは4歳以上
・阪神2000m以上
・上がり最速馬のタイムが36秒8以上要するタフな条件

以上の項目でレースを検索すると、2006年の馬場改修以降、僅か8レースしか該当しない。

阪神2000m以上タフ条件

甘めに条件を設定したつもりであったが、この程度しか該当しないと「特殊条件」という判断が妥当という気もする。ちなみにだが、先日のレイパパレが勝利した大阪杯もこの条件に該当している。

この8レースのうち、阪神大賞典は過去に計4レース該当している。あくまでデータではあるが、09年アサクサキングス、12年ギュスターヴクライ、13年ゴールドシップ、19年シャケトラ(故障で出走せず)と1頭も本番で勝っていない。

以上より
「タフな条件で行われたときの阪神大賞典は、立ち回りを重要視される天皇・春には繋がらない」
と判断できる。

しかし今年の天皇賞・春は阪神開催で行われるため、例年の傾向とは違う可能性が十分に考えられる。そのため当日の馬場状態や傾向などには十分注意しておくべきだろう。

最後に簡単に各馬の短評について書いていく。

1着:ディープボンド
好走したレースは、いずれも上がりがかかるタフな展開。
京都新聞杯(1着)は前半58秒3のハイペースとなり、レース上がり36秒2のタフな展開で勝利。神戸新聞杯(4着)は、前半3F35秒0とややハイペースな展開となったが、2番手追走から早仕掛けをして4着に粘った内容は優秀。中山金杯(10着)は、超スローでキレ負けし、持ち味を活かせなかったので参考外。阪神大賞典は上記の通り。当日、高速馬場であると分が悪そうだが、引き続きタフな条件となれば強さが見られるだろう。

2着:ユーキャンスマイル
ベストパフォーマンスは天皇賞・秋と新潟記念なので、どうしても2000m+左回り+良馬場がベスト条件という固定観念がある馬。そのため近走は適性外のレースを使われすぎたことにより低迷したと判断している。ただ年齢を重ねるごとに追走力が低くなっているのはも事実なので、現状は長距離がベストの可能性もある。

3着:ナムラドノヴァン
2、3走前は軽斤量ゆえの恵まれた好走と判断していた。前走の阪神大賞典(3着)は、スタミナ色の濃い差し馬が台頭しやすいというレース質なったので条件は合っていたはず。相手強化+初58kgでどこまで?

4着:シロニイ
とにかくズブい馬なので、トップスピード不足をごまかせる長距離はベスト。6走前の六社(2着)のようにタフな馬場+上がりがかかる条件になると強い。しかしその2つの条件が重なった前走の阪神大賞典は、4着が精いっぱいという内容。さすがに能力面で劣る印象があり、格上挑戦では厳しいか。

6着:メイショウテンゲン
タフな馬場でこその馬
。近走全くの不振であったが、前走の阪神大賞典(6着)は、調教内容から久しぶりに順調だったように、レースでも復調気配を見せたのは好感。昨年の宝塚記念では5着に好走しているように当日タフな馬場なら注目したい。もう一段状態が上がって欲しいのが正直なところ。

7着:アリストテレス
前走の阪神大賞典はこれまでの実績を考えればさすがにノーカウントで良いだろう。AJCC(1着)は勝利したものの、4角手前で手応えが怪しくなり最後は辛勝だったことを考えれば、決して道悪は上手でない。またこれは個人的な憶測だが、前走の敗因としては、近走では未経験であった「馬群に包まれた」ことにより、エピファネイア産駒らしく揉まれ弱さを出した可能性もあると見ている。

以上です。簡単ですが、前哨戦を振り返ってみました。少しでも参考になった個所があれば幸いです。

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