映画『銀河鉄道の父』感想

 お盆中に観たので。原作は未読。

 父政次郎と若い賢治の対話。「質屋は農民を搾取している」と学校で(あるいは図書室で)学んだ知識でまくしたてる賢治と、それに対して地に足の着いた返答をする政次郎。同じような光景は日本のそこここで、時代を越えてなされてきたのだろう(同時代では、中野重治「村の家」が思い浮かぶ)。このシーンは、その後の賢治の行く末を暗示していると見るべきか。商売に向かぬ息子を最後には受け入れる政次郎(劇中後半、農民たちにチェロを嬉しそうに弾いて聴かせる賢治を、政次郎と賢治の弟清六が訪ねるシーンが印象的だ)。

 賢治に妹トシと弟清六がいなかったならどうなっていただろう、と想像する。「家族の理解」とは、精神的にも物質(経済)的にも重要なのであった。


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