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障害者雇用 ヘアカラーからピアス、そしてネイルへ

勤務する前の就職活動に励んでいた頃、私の髪の毛は真っ黒で、いまいち冴えない髪型だった。

ヘアカラーには興味がないわけではなかったが、一度始めると定期的にメンテナンスしなければならなくて、無職で就職活動をしている期間はそんな経済的余裕はまったくない。

なにより面接のためにはとりあえず黒が一番いいだろう。

よし、黒髪は節約にもなるし、面接対策にもつながって一石二鳥だと割り切ることにした。

同時に、終わったらごほうびにカラーリングをしようという決意は、就活の励みにもなった。

そういう背景もあって今の会社から合格通知が来るとすぐに、行きつけの美容院を予約した。

それまで美容師さんには「就活中なのでカットのみで」とお願いしていたのだが、今の職場に無事に決まって「カラーも!」と元気よく言うと喜びが伝わったのか、いつもよりにこやかに微笑んでカラーリングしてくださった。

よって面接のときと全く違う色の髪で数日後の入社面談(契約書の説明)に行ってしまい、せめて入社面談が終わってから行けばよかったかなとちょっぴり後悔した。

ヘアカラーは、就職が決まってすぐ、ためらうことなく手を出したファッションである。

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勤務し始めた当初、躊躇してなかなか踏み出せなかったのが、アクセサリーをつけることである。

服装は厳格には決められていないものの、社風というものがあるだろうし、まずは馴染みたいからと思って最初は周りの様子をうかがうことにした。

実際に人事部の社員さんは清楚な服装の方が多く、あまり目立ったアクセサリーは身に付けていなかったし、中途採用試験に関わるようになってからは会場にスーツを着て行ったのもあったから、よけいに控えて正解だったのかもしれない。

私が最初に着飾っていたのは、せいぜい結婚指輪くらいである。

学生の頃から愛用しているピアスをつけていくようになったのは、半年たってからようやくである。

今では中途採用試験の日でも、大人しいデザインのピアスを選んでつけていく。

ピアスを付けることによって、ようやく会社の雰囲気に馴染んできたように思う。

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ある日、人事部の女性社員さんがネイルをしていることに気づいた。

ほかの部署の方は自分でネイルされていたり、ネイルサロンに行かれてるんだろうなという感じの方もちらほらいたのだが、人事部では初めてだった。

それを見て、一気に舞い上がった。

人事部はネイルをしてもよいのだ!

それを見て私も早速マニキュアを買いに行って、目立たない雰囲気だけど気に入った色を手に入れ、その翌週にネイルデビューに成功した。

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ヘアカラーやアクセサリー、ネイルなどの「装飾」には、気持ちに余裕があるかどうかが表れているように思う。

もし余裕がなかったら、まず目先の肝心なこと(服装が清潔であることなど)を達成することに集中していて、それだけで精一杯だったりもする。

余裕があるからこそ、飾りつけることまでに考えが及ぶのだろう。

ヘアカラーやアクセサリー、ネイルは、その人の気持ちが豊かになったことの現れなのである。


さらに言えば、マニキュアを塗っているかどうかは、今度は体力のバロメーターでもあるように思う。

ネイルは頻繁に「剥がす」「塗る」という定期的なメンテナンスが必要となるので、そこに時間だけでなく体力を費やせるかどうかが問題となってくるからである。

勤務した当初は毎日バタンキュー(古い表現だがこれよりぴったりの表現が思いつかない・・)だったし、土日も疲れが取れず寝ていたりして、とてもマニキュアを10本分もの爪に塗るほど体力に余裕はなかった。

今では毎週日曜日に少し剥がれてきたネイルを除光液をしみこませたティッシュでふき取り、再度ひとつひとつ丁寧にマニキュアを塗っていく。

爪からはみ出さないように、まっすぐに塗れるようにと全身全霊をかけるのである。

ネイルは、気力も体力もきわめて順調であることを示す指標なのである。

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ヘアカラーからピアスへ、ピアスからネイルへの進行は、今の会社へ徐々に適応してゆく段階を表している。

今のところ、ネイルまでしっかりできているから、順調だといえるだろう。

自分の気力・体力を測る指標は色々あるけれど、自分の「装飾」度合いもまた、参考になっているような気がしている。

―――――日々つれづれと続く

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