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2024年4月 今からの未曾有のバブルが起きるかーーイノベーションの歴史からAI時代を展望する

去年末に生成AIバブルの可能性について検討した(https://note.com/epicurus/n/na68582bcef34)が、まさか年始からさっそく怒涛のAIラリーが始まるとは思いもよらず。びっくりした。そこでもう少し真剣にAIバブルとこれからの市場について考えてみることにした。

先に結論を

  • 今から数年、AIバブルが起きるだろう。ここはまだ入り口にすぎない。その規模が未曾有のものになる可能性が高い

  • AIバブルが一度終わってから、そのあとにより長くより強いAI相場がくるだろう。後者の方が本物で、メインディッシュになる。それに対してこれから数年で起きるAIバブルの方は前菜になるだろう。

イノベーションとバブル

さて前回の考察を簡単にまとめると

  • イノベーションはほぼ必ずバブルを伴う

  • 生成AIはイノベーションだ

  • ゆえに生成AIバブルが起きるはず

単純明快な話ではあるが、だいぶ雑なところがある。問題はタイミングだ。

イノベーションが突然起きるようにみえていても、実際の技術の進歩は連続的に進む。イノベーションを担うような発明が出現したからといってすぐにバブルになるわけではない。例えばインターネットの場合、ウィキペディアによるとインターネットの誕生は1960年に遡るが、ドットコムバブルが起きたのは2000年だ。間には40年も空いている。AIもそうだ。ディープラーニングに火がつき始めたのは10年以上も前だったし、研究分野自体の方はそれよりさらに前に遡る。

ではどこでバブルが起きるだろうか。

ポイントは経済価値を生み出すタイミングでしょう。

インターネットの例に戻ろう。ドットコムバブルといえば2000年の暴落が有名だが、実際には95年を始めとして、強烈な上昇相場が5年間続いた。その間にNasdaqが当時の高値である400から4000まで上昇した。ではバブルの起点となる95年あたりに何が起きただろうか。

93年に本格的なウェブブラウザが生まれ、94年にヤフーが上場し、そして95年のWindows95が発売された。

それらが意味することはインターネットが人々の身近なものになり始めることだ。それまでは専門性がないと使いこなせなかったものが、アドレスを入力したり検索したりするだけで様々なコンテンツにアクセスできるようになったし、自分でHPを作ったり発信することも非常に手軽になった。

では今のAIはどうだろうか。ChatGPTの登場で専門性がないと使いこなせなかったAIが、多少のやる気と言語力、新しいものに対する好奇心があればだれでも簡単に大きな恩恵を受けられるようになった。そのインパクトもインターネットを超えるだろう。

イノベーション曲線

一方で今多くの人にとってまだ「ChatGPT便利だよね」程度にしか感じていないかもしれない。いや、そこまですごいものかしら、と思っている方も多いでしょう。場合によっては「全然使えないよ」とか「いや、すごいかもしれないけれど、儲かってないじゃん」と否定的な意見も時々見かける。

果たして今からインターネットの時のようなインパクトが出てくるだろうか。

と思う方も多いだろう。私はあると確信しているけれど、その理由をここで具体的に並べるよりは、むしろ歴史をふり返ってみたい。

95年にインターネットをはじめて見たときの人々の反応はどうだっただろうか。すぐにこれは革命的だと思った人はどれほどいただろうか。ほとんどの人はそこまですごいこととは考えていなかったではないだろうか。私などはまだ小学生で、父親からダイアルアップ接続の使い方を説明された時には「使うのが大変だなぁ」としか思わなかったし、電話代かからないように接続を切る練習を何度もしたものの結局数年間は触りもしなかった。しかし一方で、同じ時期、インターネットに衝撃を受けて仕事をやめたりしてまでその業界に身を投じた人々もいる。他でもない、ジェフ・ベゾスやイーロン・マスク、ジャック・マーたち今日の世界をリードしている大富豪たちだ。そして同じ頃、「インターネットは生き残るだろうか」とテレビが取材などで聞いていたようだ。

イノベーションによるバブルが始まるときにはまだ社会全体がその革新さについて完全に合意が取れていないことが多い。「あれがスゴイと言われているけれど、本当にそうかな」とか、「すごいだろうけれど、実現はまだだいぶ先のことじゃね?」とか、まだ多くの人がそう思っているうちにバブルが起きるものだ。

その理由はイノベーション曲線を考えればわかりやすい。新しい物事が社会で受け入れられるのに過程がある。まず新しく作り出す人たち、イノベーター、それから早いうちから目をつけて取り組むアーリーアダプター、そして先に動くアーリーマジョリティを経て、レイトマジョリティへ至り、最後にようやくラガードたちにもわかるようになる。

誰かがそれがすごいものだというだけでは人がそこにお金をかけない。人は自分が本当に価値があると感じる時にお金をかける。それを考えればバブルはアーリーアダプターからアーリーマジョリティへ移行する段階で起きると考えたほうが自然だろう。つまり大多数の人がまだ完全にその価値を実感できていないが、気づき始めてくる頃が大事だ。それはまさに今ではないか。

備考:イノベーション曲線について

chatGPTにこのブログ記事を見せたところ、いくつか貴重な意見をいただいたが、イノベーション曲線について説明しろと言われたが、書いてもらったのはこちら

イノベーション曲線、または採用曲線は、新しい技術や製品が市場に受け入れられる過程を表すモデルです。この曲線は通常、ベルカーブの形をしており、社会の異なるグループがどのようにして新しいアイデアを採用するかを示しています。以下は、この曲線の主な5つの段階です:

  1. イノベーター (Innovators): これらは新しいアイデアや技術を最初に試す人々で、リスクを取ることを恐れません。彼らは新しいものに対する高い好奇心と受け入れ能力を持ち、通常、技術的背景があります。

  2. アーリーアダプター (Early Adopters): このグループはイノベーションの社会的リーダーであり、新技術の社会的価値を理解し、早期にそれを採用します。彼らは意見リーダーであり、他の人々に影響を与える能力があります。

  3. アーリーマジョリティ (Early Majority): このグループは、新しいアイデアや技術を採用する際には少し慎重ですが、アーリーアダプターの成功を見てからそれを受け入れます。彼らは比較的早期に採用するものの、リスクは最小限に抑えます。

  4. レイトマジョリティ (Late Majority): このグループは懐疑的で、多くの証拠や他人の成功が確認されるまで新技術を採用しません。彼らは一般的に保守的であり、新しいものを受け入れるのが遅いです。

  5. ラガード (Laggards): このグループは非常に懐疑的で、伝統的な方法を好みます。新しい技術を採用するのは非常に遅く、時には市場の変化や社会的圧力によって強いられることがあります。


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