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Eat, Live and Love.

<マガジン味付>ジャンク☆☆☆☆☆ 甘さ☆☆☆☆ 外国で暮らしたときにみつめてきた風景や、瞑想に参加したときの記録・海外出産のときに目にした出来事などをストーリー仕立てでお届け…
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2017年5月の記事一覧

フィジョワ、幻のフィジョワ①

フィジョワという言葉を聞いたことがあるだろうか。 わたしは、30歳を過ぎるそのときまで、知らなかった。 ◯ 当時わたしのお腹には、あと一ヶ月もしたら間もなく産まれてくるくらいの赤ん坊がいた。 わたしは妊娠してもやっぱり細いほうだったので その巨大というほど巨大でもなかったお腹を抱えて ニュージーランド行きの飛行機に乗った。 まっすぐにこれから起こることを見据えるように、地上に降りたわたしは その場所の空気を吸うのではなく”この目”で捉えようとした。 19歳のとき

フィジョワ、幻のフィジョワ②

フィジョワ、幻のフィジョワつづき (書き始めたらフィジョワになかなかたどり着かないことに気づいた) ヴィパッサナと呼ばれる10日間の瞑想センターが世界各国にあって、 どの国にいっても同じプログラムでスケジュールされている。 出産予定日まで約一ヶ月を切ったところで まるっとしたそのお腹を抱えて、 ニュージーランドのそのオークランドの山奥にある瞑想センターに わたしは向かおうとしていた。 臨月の妊婦が外国の山奥に何しにいくかって? 瞑想だよ。 全然はなしは変わるが、臨月の

フィジョワ、幻のフィジョワ③

フィジョワ、幻のフィジョワ②つづき 4時半からスタートする瞑想がほとんど終わりに近づき、 やっと1日が終わるとほっとするくらいに 夕食の時間がやってくる。 夕食といっても、 2に書いたようにガイドラインとして ”初めての参加者は果物のみ” ”2回目以降の参加者はお茶のみ”などの きまりが定められているのだが、持病など他の事情がある場合は 事前に相談されて 軽い食事が用意されたりする。 センターによって参加人数はまちまちだが、 例えば50人の参加者がいる時 大体が病

IKEA

いつか、がいこくにすんでいたとき とても寂しくなると わたしはイケアに行った。 フランスで暮らした小さな古い、rue dupet のアパートには イケアのポエングが置いてあって わたしは窓際のその上に腰掛けて 毎日フランス語で「どうしたしまして」を 完璧なアッシュの音が発音できるまで 繰り返して喉を震わせた。 イケアは 世界のどこでもあった。 上海に引っ越して その街の激しい混沌としたエネルギーのなかで こころぼそくなったときに わたしを慰めるの

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Full moon chocolate

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レモン味のキスと月夜のアーティチョーク

マンハッタンの島から出て一駅くらいの Queensboro Plazaの駅で、黄色から紫の線に乗り換えるために一度プラットホームに降りて、 そうしてもうじき次の日になるような深い時間でも、絶え間なく動いている人達の間で私はずっと月を探していた。 みえるのは、Citi bankのよく目立つ高いビルの光だけで、 あとはあまり何も見えなかったし、いつもは五月蝿い各国の声もあまり耳にはいらなかった。 長い一日が終わって、私はずっと彼のことばかり考えていて、雲隠れした月を見つけ

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一杯のスープというご馳走

秋。 季節が入れ替わり、まずわたしが始めることは スープを作ることだ。 わたしにとってのご馳走は、シモフリとかフォアグラではなく 自分でこしらえた 一杯の野菜のスープ。 夏のご馳走だったら、果物だけで作ったスムージーだったり 庭でちぎってきたレタスとかトマトを常温でお皿に盛って レモンとオリーブオイルと塩をかけただけ とか 年中だったら オーブンから上がったばかりの スコーンであったり 上質な一杯の紅茶であったり そういうもの。 わたし

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