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【12月5本目】誰のために何を提供するのか|遊技機の価値とは

そもそもパチンコ台の価値とは何か。メーカーは誰のために何を提供するのか。開発者は価値向上を考えているのか。不人気になりがちなそもそも論ですが、遊技機評価のスペシャリストとして、業界の危機なればこそ指摘せねばならない・・・そんなコラムです。


史上最悪のクリスマス

クリスマスイブの昨日、東京都の新規感染者数は888人となりました。医療の完全崩壊とまでは行かずとも、旭川市のような一時的な崩壊は全国各地で起こりそうな気配です。

そんな最悪のクリスマスに、ちょっと「パチンコ台の価値」を考えてみたい。


経営学といえば神戸大学

本棚を整理していたらPOKKA吉田さんの著書を見つけました。彼は神戸大学の出身なんですよね。神戸大学といえば経営学部が有名。というか、日本における経営学の祖が神戸大学(旧神戸高等商業高校=第二高商)です。

ちなみに第一高商は一橋大学(旧東京高等商業高校)

そんな神戸大学の看板である経営学部において、2019年、初の女性学部長が誕生しました。南知恵子教授66歳。

この南教授が語った一言がこれ。

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「マーケティングで重要な視点とは、誰に何の価値を作り出すか」

ちょっとドキッとしません?


パチンコ台は誰に何の価値を作り出すのか

ホール経営において「稼働が先か利益が先か」という宗教論争は昔からありますけど、遊技機に限定した場合は「利益」で間違いありません。どう足掻いても赤字にしかならない機械ばかりでは、稼働を取れたとしても長続きしないからね。広告宣伝費と割り切るのにも限界はあるし、そもそもプロに抜かれるだけで終わるケースも多い。

ゆえに遊技機の価値とは「ホールに利益をもたらすこと」と定義できます。

現在のパチンコ台価格は45万円。僕が関東京楽の営業マンだった20年前と比べ2倍です。価格は2倍でもホールの得られる利益は2倍になっていない。とするならば、遊技機の価値は1/2以下になったということ。

高解像なCGも、仏壇のような枠も、高度なセキュリティも、増え続ける工数も、一切関係ない。自分達の作っている商品の価値は20年前の半分になっただなんて、日々格闘する開発者からすれば承服しがたい話かもしれません。ですが、ホールが求めている究極の価値である「儲けられるか」という点において、現在の遊技機の価値は1/2なんです。


稼働を伸ばして利益を得やすい版権はあるのか

ではホールに儲けさせるべく安易に激辛スペックを搭載すればいいかってーと、もちろんそんなことはなく。

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