見出し画像

射幸性(馬力)ばかりを営業マンに強調させるメーカーへ物申したい

イソップ版 金の斧 銀の斧

木を切っていた木こりは、手を滑らせて斧を泉へ落としてしまいました。泉から出てきた神様は、きこりに尋ねます。「貴方が落としたのは金の斧ですか、銀の斧ですか」。正直なきこりは答えました。私が落としたのは鉄の斧です、と。神様はいたく感じ入り、金の斧と銀の斧、両方を木こりに渡しました。


パチンコ業界版 金の斧 銀の斧

話題の機械を販売していた営業マンは、誤って見本機を泉に落とします。泉かと思ったら「沼」で、ズブズブ吸い込んでいくではありませんか。沼から出てきた神様は、営業マンに尋ねます。「貴方が落としたのはMAX機ですか、それとも爆裂連チャン機ですか」。仕事に正直な営業マンは答えました。私が落としたのは両方です、と。

神様の表情は一変し、なんと警察庁生安課長の顔になったのです。「おい、俺の名前を言ってみろ」。業界の神を前に、営業マンは一言だけ、絞り上げるような声で呟きました。

「oh...my GOD」


痛んだファンの財布を救ったのは・・・?

メーカーは射幸性を売りにする。販売台数を射幸性に頼る。演出にこだわってるというけれど、かつてミドルだったエヴァもルパンも399になってしまった。売れる機械は高射幸なのだ。ゆえにメーカーは高射幸機を開発し、売り続けた。それを止めたのは、なんと警察。ファンのことを考えていたのは警察だけだったなんて、もはや乾いた笑いしか出てこない。

日本の誇る産業である自動車業界は、その歴史において、馬力を規制されたら居住性、居住性が限界なら安全性、安全性が行き着いたら燃費と、次々に新しい領域を切り開き、社会の要請に応え続けている。結果、日本は世界を席巻する自動車大国となった。転じてパチンコ業界は、いつの時代も馬力(射幸性)を追求し、ひたすら衰退の一途を辿っている。


射幸性煽り営業が許されるのは平社員まで

勘違いしてほしくないのは、開発においてギリギリの射幸性を突こうとする行為そのものは、決して悪いことではない、ということ。それだって一つの開発力だ。自動車も馬力優先のスポーツカーはある。ましてや営業マンは、自社商品なのだから堂々と販売すべきだろう。保通協を適合しているのだから、胸を張って営業活動にいそしむべきだ。

しかし、幹部まで馬力一辺倒では困る。職歴を重ね、営業だけでなく企画を経験したり、メーカー外で働いたりした経験を持っているならば、なおさら広い視野を持たねばならない。当事者じゃない時は業界の未来を憂う言葉を紡いでいたのに、営業へ戻ったら一夜で豹変。

「売れればいいんだ、適合してるからいいんだ、射幸性に劣る他社機を腐しまくれ」と、警察の意向とは真逆の指示を部下に飛ばすのは、いかがなものか。本人は職責を全うする境地で気持ちいいのだろうが、外から見ていると、眉を潜めずにはいられない。いくらなんでも甘すぎる。視野狭窄かつ近視眼的な焼畑営業に、社運をかけてよいものなのか。それはもはや戦略とは言い難い。経営者視点を持つべき幹部がそれでは困る


パチンコは射幸心の芸術

パチンコの本質は射幸心である。パチンコとは射幸心の芸術なのだと割り切った先にこそ、他の娯楽では近付くことのできない優位性を発揮する。

問題なのは「そればかり」になってしまうこと。

監督官庁の意志を知っていながら、やった者勝ちとばかりに煽り立てればどうなるか。嘘、大げさ、紛らわしい。JAROもビックリの営業をさせ続ければどうなるか。社内に居るうちは英雄だろう。しかし、社内だけで人生を終えるつもりなのか。

射幸性無しでは何もできない? 我々はそこまで無能な集団だったのか? もはや時代は変わった。馬力一辺倒ではファンの、社会の要請に応えられない。消費者に価値のバリエーションを届けることへ、少しずつシフトしていこう。

サラリーマンの一人として、今の機械は大いに売る。加え、大きな肩書きを持っているならば、それに見合った大きな視点を持とう。パチンコメーカーの未来は、ミドルエイジにかかっているのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?