工業心理学

東京工業大学工学院経営工学系の授業科目「工業心理学」です。 毎回の授業の最後に学生さん…

工業心理学

東京工業大学工学院経営工学系の授業科目「工業心理学」です。 毎回の授業の最後に学生さんからいただいたフィードバック、そしてそれに対する教員(梅室博行)の回答を中心に公開していきます。

最近の記事

最終回の授業へのフィードバックから

とってもとーっても遅くなってしまいましたが、第14回(最終回)にもらったフィードバックのご紹介とそれに対するコメントをお送りします。 最終回ですし、もうこれだけ遅くなってしまいましたので、フィードバックとしていただいたものはすべてここでご紹介していきたいと思います。 ですから今回はとても長くなりますがご了承ください。 それではいきましょう! 研究室の話が聞けて良かった B2のみなさんにはまだ1年以上先のことですが、B3の2月に研究室の配属調査があります。それまでにいろいろ

    • 第13回 (11月20日)の授業へのフィードバックから

      第13回の授業へのフィードバックからご紹介します。 まずはこれまで勉強してきた認知主義の限界について議論しました。 航空機の入力で、三次元、四次元の微分の入力があるという話がありましたが、あまりイメージがつかなかったので、具体例を聞きたいです。 私も飛行機の操縦はできないので、具体的なイメージで伝えることはできないです… 次に、認知主義では説明しきれない人間の特性の話題として、いわゆる「非認知主義」について簡単な紹介をしました。 非認知能力の中で、アビリティとスキル

      • 第12回(11月16日)の授業へのフィードバックから

        こんにちは。大変遅くなりましたが、第12回の授業へのフィードバックのご紹介です。 今回は認知主義の話をはなれ、そのような心理学的知見をもたらしてきた数々の実験について考えました。すなわち「心理学実験」とはどのようなものなのかについての講義です。 心理学実験の流れや注意点がわかった 心理学実験において、部屋の温度湿度まで詳しく管理するのかと感じました。化学実験なら直接的な影響がでるのは想像がつきやすいが 心理学実験は人を対象に行うので、予備実験や許可を取ったりと事前の準備

        • 第11回(11月13日)の授業へのフィードバックからご紹介

          遅くなりましたが、第11回の授業にいただいたコメントからご紹介します。11回は、第10回で学んだ Hick-Hyman の法則、すなわち人間の情報スループットは一定である、という考え方からの乖離を学びました。 当時の多くの追試を生き残り、かなり盤石と思われた Hick-Hyman の法則ですが、やはり20世紀末に向けてそれだけでは説明できないこと、「反例」が多く指摘されました。 その中には、インターフェースを設計する際にとても重要な互換性 (Stimulus-Response

        最終回の授業へのフィードバックから

          第10回(11月9日)の授業へのフィードバックからご紹介

          第10回の授業は「行動選択」の第1回目。刺激というインプットを受け取ってから、それを行動というアウトプットへ変換するという処理を考えました。瞬間的に反応できるような高速な処理から、熟慮を要するものまで様々なレベルがあることを考えた上で、高速で自動化された反応に注目しました。そして認知主義で反応時間(reaction time)を測定することの重要性を学び、Hick-Hyman の法則についてミニ実験を行って体感的に理解しました。 私は陸上部に入ってるのですが、陸上部としては

          第10回(11月9日)の授業へのフィードバックからご紹介

          第9回(11月6日)の授業へのフィードバックよりご紹介

          第9回の投稿がとても遅くなりました。なんとか第10回の授業前までに、と思っていたのですが、なんとその日の朝からPCがダウン。なんとか授業までには復活させたものの、この note の原稿は(ローカルで編集してから上げているので)凍結したまま授業へ。 そんなわけで結果的に少し時間ができたので、もう少し多めの学生さんからのフィードバックにコメントを書き足したりして、今になってしまいました。遅くなりました。ごめんなさい。 さて第9回は意思決定でした。意思決定はそれだけで1学期15回

          第9回(11月6日)の授業へのフィードバックよりご紹介

          第8回(11月2日)の授業へのフィードバックからご紹介

          第8回の授業は作業記憶の2回目。作業記憶の容量が少なく、保持時間が短いことを体験的に知ってもらうために、Brown-Peterson Paradigm のミニ実験を授業中に行いました。 曲線が先生が言っていたように綺麗になったのが驚きだった。実験を交えて授業をすると体験的に覚えやすい。 作業記憶がいかに短いか肌を持って体感できたし、その知識が社会で生かされているのも面白かった。 10文字から急に覚えられなくて、記憶にストックがあるのが明確に分かって面白かったです。 ワ

          第8回(11月2日)の授業へのフィードバックからご紹介

          第7回(10月26日)の授業への学生さんたちからのフィードバックより

          第7回の授業では、作業記憶(ワーキングメモリ, working memory)と長期記憶の違い、そして作業記憶内での情報の干渉について勉強しました。 いただいたコメントの中から少し紹介していきます。 手続き型の記憶のお話では、最初は手順を習うが慣れてくると体が覚えている、マニュアルのギアチェンジの後~のような例がとてもわかりやすくて腑に落ちました。作業記憶の3つの構成要素のお話では、言語的はすんなり理解できましたが、空間的が最初は少し難しかったですが、赤いバックなどのお話で

          第7回(10月26日)の授業への学生さんたちからのフィードバックより

          第6回(10月23日)の授業の受講生からのフィードバックより

          授業第6回にいただいたフィードバックからご紹介します。この週は他の集中講義などと重なってしまって第7回の授業までにこの note を上げられませんでした。ごめんなさい! 第6回は「注意」の2回目。前回勉強した「資源の配分」という「注意」が現実の場面でどのように考えられているか、また産業上どのように考慮されているかを「視覚サンプリング」(visual sampling)を題材として紹介しました。 今回は前回に引き続き、注意に関して実際の例を用いてお話ししてくれた。前回の実験に

          第6回(10月23日)の授業の受講生からのフィードバックより

          第5回(10月19日)の授業の受講生の皆さんからのフィードバックから

          第5回の授業が終わりました。今回からは「注意」(attention) に入ります。今日はまず両耳分離聴の簡単な実験(「ミニ実験」)をみなさんにやってもらったのちに、選択的注意(selective attention)、焦点的注意(focused attention)、分割的注意 (devided attention)という概念を学びました。 それでは受講生のみなさんからのフィードバックから紹介します。 実験楽しかった。 本日の授業では、ミニ実験として「両耳分離聴」を体験し

          第5回(10月19日)の授業の受講生の皆さんからのフィードバックから

          授業第4回(10月16日)のフィードバックから

          前回第3回の授業では信号検出理論(signal detection theory)のお話をしましたが、続く今回第4回ではその応用としてROCとビジランスタスクについて勉強しました。 今回も多くのフィードバックをいただいていますので、その中からご紹介していきます。 授業冒頭の話が私も完全に同意する 価値をしっかり感じながら授業を受けたい。 授業の本題に入る前に、「教科書に書いてあるような話、wikipedia に書いてあるような話は、すでに多くの人に知られているの

          授業第4回(10月16日)のフィードバックから

          授業第3回(10月12日)の受講生の皆さんからのフィードバックから

          第3回の授業が終わりました。今回は「知覚」の第1回目。まずは信号検出理論(Signal Detection Theory)の枠組みと反応バイアスについて学びました。今日はどちらかというと理屈の話が多かったので、ピンときてもらえたかどうか心配なのですが、授業フィードバックを見ていきましょう。 あ、その前に。コメントの中に自分の名前や学籍番号を書いてくれる人がいますが、T2SCHOLAがきちんと記録しますので必要ありません。(第1回目でそれを記録し忘れたのは私の設定ミスです。ご

          授業第3回(10月12日)の受講生の皆さんからのフィードバックから

          授業第2回(10月5日)の受講生の皆さんからのフィードバックから

          授業の第2回が終わりました。 この授業の主な内容は古典的な認知主義とその工学的な文脈の中での応用です。今日はまず典型的な認知プロセスの全体像を眺めたあと、感覚器や感覚処理、知覚などについての基本的な知識を学ぶことをゴールにしました。 それでは今日学生諸君からもらったフィードバックから紹介していきます。 人間の発する言葉の長さが大体2秒ぐらいで収まることから、聴覚の感覚器で受け取った情報の短期保存の期間が2秒ぐらいになっているというのは、よくできていると思った。人間が言語を

          授業第2回(10月5日)の受講生の皆さんからのフィードバックから

          授業第1回(10月2日)の学生さんのフィードバックから

          本学では10月2日より後期の授業が始まりました。今年は月曜日スタートだったので、授業開始初日に工業心理学の第1回の授業もありました。 第1回はガイダンスとしてこの授業の説明や担当教員・担当TA(TAが2人とも姿を見せなかったのでちょっと凹みましたが)の紹介をしたのちに、後半は序論として心理学の歴史をギリシャ哲学の時代から20cの行動主義まで駆け足でめぐりました。序論でこの話をする理由は、この授業の一つのメイントピックである認知主義がなぜ起こったのか、特にその直前の行動主義と比

          授業第1回(10月2日)の学生さんのフィードバックから

          工業心理学 note オープンしました

          東京工業大学工学院経営工学系の梅室博行です。 私の学士課程の授業「工業心理学」では、毎回の授業の最後に受講生から「フィードバックフォーム」というのを提出してもらっています。毎回の授業で面白いと思ったこと、よくわからなかったこと、質問、要望などを自由作文で書いてもらっています。 基本的には出欠代わりだったのですが、毎年実に鋭いあるいは深い質問やコメントをしてきてくれる学生さんが多いのです。 よって「これは」というフィードバックには「フィードバックへのお答え」を返してきました。

          工業心理学 note オープンしました