【詩】まだもっと水になれ

まだもっと水に近づいて
まだ足りない
まだもっと水になっていく
まだ足りない

水に浮かぶ花弁の張力も浮力も失って
沈んだなら溶けて
遊色さえ飲み込んで
プラジオクレースとアノーサイトの間
渇いた水から溢れ出す
暗湿の透明を注ぎ
終いに水になる 水になる

水だけが長大で簡潔な掟を保存して
それを秘密に仕舞い込み
あらゆるものに行き渡る
水になれ、水になれれば
誓いも定めも呑み込んで
どこまでもすべてに変わる

暗流の底へと沈み
星よりも深くへ落ちていき
水になれ、水になれ

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