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いわき、利根川の旅

 三連休は夫と福島県いわきに行ってみることにしました。かつて、永六輔の地方探訪の本でいわきの常磐ハワイセンター、今のスパリゾートで映画「フラガール」で岸部一徳さんが演じた方の聞き書きを読みました。 

「身売りさせるぐらいなら、腰振らせ」と思ってフラガールを思いついたと乱暴に語っておられたのが、心に残りました。そこだけ切り取るとなんだかなと思いますが、とつとつと南国ハワイへのあこがれ、地元への愛をいわきの言葉で語っておられます。その頃から、いわきという土地気になっています。

 お昼に小名浜港にある観光施設、ららミュウに向かいました。途中、日本製紙やクレハといった大きな工場群に圧倒されます。鉄の精錬場に巨大な石炭の山がたくさん並んでいて、車の窓を開けるとかすかなタール臭がします。鉄と石炭、産業革命のころのイギリスのようです。かつての炭鉱の町のなごりです。ららミュウは港にあって、観光船がでていて、のんびりとした観光客で賑わっています。定食を食べました。ついている煮魚、甘すぎず生臭くなく新鮮でおいしかったなあ。お魚がたくさん売っていて、旬のアンコウがありました。でも、急だったので、いわき市内で宿が取れず、買えなかったは残念でした。近くも色々回りたかったですが。

 そこで、行ってみたかった勿来の関へ、小名浜から海を伝って、山にむかいます。関にのぼる途中、近所の中学の陸上部が練習していました。アップダウンがあっていい訓練です。そんな若い人を眺めながら、なこそを歌った歌を紹介している記念館に行きました。な、こそ。男女の恋愛の越すに越されない微妙さを描いた歌に歌まくらとして、つかわれたようです。実際こちらに来て歌を詠んだのは、源義家、頼朝といった東北を征服しようとした武将、そして、西行です。東北は京都の貴族にとってはロマンチックな異国でしょうが、武士たちにとっては行かなければならないところであったようです。西行は奥州藤原に親戚がいたようで、東北でかずかずの名歌を詠んでいます。ちょっと、東北道にも入ったのですが、陰影の濃い人の匂いがする小道でした。関からは、青い海がすがすがしくみえました。

ふくかせを なこそのせきと おもへとも みちもせにちる やまさくらかな

                             源義家

あずま路や しのぶのさとに やすらいて なこその関を こえぞわずらう

                             西行

西行のなこその歌は伝統のしのぶ恋を思いながら、なこその宿のあたたかいもてなしに感謝するという複雑なうたです。

 そして、やっと宿が取れた、利根川沿いの潮来に向かいます。宿が取れたのもご縁として、利根川沿いを回りました。続きます。


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