亡くなるということ


 小田嶋隆さんが亡くなられた。赤江珠緒さんがパーソナリティーをしているたまむすびの追悼を聞いた。
 そこの月曜日の日本の空気というラジオコラムを時々聞いていたのだが、ここ二年ほどはぴんと来なかったのでいつしか聞かなくなっていた。
 お体が悪いと知っていたのだが、かつての切れを知っているものとしては、なんかなって思っていた。
私はそれくらい軽い行きずりのリスナーなのだ。
 
 ただ、文章を書き続けていいなって思ったのは彼のコラム道という本がきっかけだ。私は異常に記憶力がよい。そういう人は文章を書くのに向いているとのことだ。私は記憶でパンパンだったので手放したかった。
 
 もう一つ読んだのは上を向いてアルコールだ。アルコール依存症におちた小田嶋隆の脱出体験を書いたもの。なぜ、依存症におちるのか、なぜ、ぬけられたのかがユーモアをもって描かれていた。
 うん、依存症の親族を持った私は納得できましたね。そして、いい警告になったと思う。そして、体験だけを淡々と描いて生半可な専門知識を振り回さないのにほっとした。
 


 今回、彼の追悼を聞いて、彼が橋本治さんの読者で彼の半ズボン主義に感心してそういう見方を持とうと思ったことを知った。
 私も橋本治が大好きだ。
 
 そして、彼がたまむすびの人たちを仲間と感じて大事にしていたこと、それを彼らが受け入れていたこと。そういう人たちの愛情を受け止めて、しっかりと死のうとしたことを知った。
 私は小田嶋隆さんをほとんど知らない。でも、ちいさな同じ体験をした人が遠くに行ってしまった。寂しいことだと思う。



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