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「ロケットマン」切ない片思い

 アマゾンプライムで見れるということで、エルトン・ジョンの自伝映画、「ロケットマン」見ました。好きじゃないんですよね。エルトン・ジョン。それ以上に主演のタロン・エガートンの歌唱のすばらしさ、「ボヘミアン・ラブソディ」を引き継いだデクスチャー・フレッチャーのミュージカル場面、彼の音楽史的な位置、才能、過酷な人生を描いてて、いい映画でした。

 エルトン側の視点としても、描かれている彼の両親は、ほんと幼稚な人たちでいやだなって思いました。彼をスターに押し上げたゲイである彼の恋人で、マネージャのジョン・リードの支配的な生き方は不愉快です。「ボヘミアンラブソディ」で、クィーンのマネジャーになって、スタッフのひとりがフレディとできちゃって、仕事を奪われる人ですね。

 彼らは、私から見ても、やなやつらなんですけど、両親のほんの少しある愛を表せない無教養さ、リードのマネジャーとしての目利きは伝わってくるんですね。ここが白黒をつけない、あいまいさを持つ物語の重層性ですね。映画から、エルトンはジャズファンである父から音楽的な才能を、そして、夫が嫌い、まして、彼の子供でゲイなんてって言ってしまう愚かな母からは彼の子供っぽい純粋な素直さを感じてしまうのです。一瞬、結婚する女性の彼への愛と尊敬の言葉は、そこにつながっていると感じました。

 そして、エルトンの作詞パートナーとなったバーニーとの出会いは、決して恋愛としては成就しない切なさがあります。お互い傷つけあっても、音楽を作るために離れられないふたり。エルトンの気持ちに寄り添った歌詞を描けるやさしさ、いろんな立場の人に届く普遍さを持った歌詞の力。彼なくしてエルトンの音楽はなかったと思います。ジェイミー・ベルが、演じてるんですけど、最初は彼と分からなかったです。「リトル・ダンサー」から彼を見てる私としては、幅広い演技のできる人になったなあと嬉しかったです。

 やはり、エルトンの率直な平凡な欲望は好きになれなかったけど、こんなにも波乱万丈な人生になっても、彼は音楽が好きだったんだと尊敬します。そして、「you are song」は誰の心にも寄り添う名曲だと改めて感じました。そして、初めて知った「Rocket man」は哲学的な歌詞もあってエルトンだけが歌える曲だと感じました。


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