見出し画像

【アイドル】 好きなアルバムベスト46を語る (2017年~2022年)


前置き

 アイドルオタクとして懐かしく思いながら聴きたい音楽が増え続けています。思い出を振り返るにも果てしない時間がかかるようになってきたので、2016年から始まったドルオタライフで聞いた最高の音楽をここらで、ランキング形式でまとめておこうと思います。
 条件はわりかし適当です。僕がアイドルだと思っている人たちが出したまとまったアルバムっぽい作品から選びました。

オタク歴 

2016年4月: ラジオ番組をきっかけに乃木坂46で初めてアイドルのライブと握手会に参加
2017年10月: 友人のおすすめから原宿物語(monogatari)で初めて地下アイドル(ライブアイドル)のライブと特典会に参加

色々あって原宿物語のフリーライブに来ました 

2017年10月1日のツイート

2023年現在: DDアイドルオタク(25)

現在の推しメン

ライブアイドル
瀬川奏音さん, 梅野心春さん(透色ドロップ)
未波あいりさん(tipToe.)
神楽寧々さん(airattic)
小野寺梓さん(真っ白なキャンバス)
村崎ゆうなさん(群青の世界)
峰島こまきさん(ナナランド)

秋元康関連のアイドル
筒井あやめさん(乃木坂46)
市村愛里さん 梁瀬鈴雅さん(HKT48)
中村舞さん(STU48)

補足

 アイドル以外で僕が普段よく聞いている音楽はジャズです。ビバップからフリー全盛期までが中心。ディキシーランド、スウィング、90年代以降はかなりスローなペースで聴き進めています。

ランキング46

46位 クロニックデジャヴのピクチャーショウ / 電影と少年CQ (2020)

 電少は映画をモチーフにした架空のサウンドトラックを歌う男女デュオのアイドルです。
 僕は映画やその歴史にこれといって明るくないのですが、それでもめっちゃ楽しくコンセプトに入り込めます。
 現在リリースされている三枚のアルバムで一番好きな二作目。二人のソロ作も最高。絶対ソロの方も聞いてほしい...。最新作はMiles Davis『Doo-Bop』のそれからみたいな雰囲気(というかマイルスが生きてたら興味持ってくれたかもなー)となかなか飛躍した妄想が起こりつつ聞きました。
 効果音が入っていたり、ラグタイムのフレーズがあったり、しっかりしたセリフがあったり、ガチガチのコンセプトアルバムもの。好き。作り込み具合を考えたら、昔のアイドルで言うところの斉藤由貴『MOON』みたいなことをずっとやっているユニット。一曲目でビートルズ「A Day In The Life」の終わりから…と音からの示しがあって面白い。


45位 QueSeraSera / 透明写真 (2021)

 透明写真はエレクトロダンスポップサウンドが特徴の3人組アイドルです。
 1stミニアルバムの『QueSeraSera』で、これはもうある程度完成された状態で出てきたタイプのアイドルだ…と思いました。
 あまりにも音がしっかりしていて初見でビビりました。『南波一海のアイドル三十六房』という番組で紹介されており、聞いた。タワレコ渋谷店に番組のCDブースがあるのでそこへ行った。僕は三十六房さんに助けられてばかりです。
 トラックもボーカルも名前通りの透き通った爽やかな音が良い。清涼感のあるダンスミュージック。1曲目のゆるい「Predawn」からキュンしかない。「HAZE」の音が…あまりにも良すぎる。この曲は最後に置かれたRemixも攻めていて良い。
 このアルバム、僕は夏に聞くと良いと思っているので、今がチャンス。体感温度が下がる感じの音楽作品。冬に聞いたらセンチメンタルになってしまう…。それもまた良い。


44位 gachi choco! / nuance (2017)

 ヌュは横浜の商店街から誕生したアイドルです。
 ポップに聞こえるけれど実は変な曲をやったり、変な企画でライブをやったり、何をやるのか気になる感じのチーム。これを6年以上も続けていてすごい。音源をいっぱい出していますがここでは馴染み深い1st EPをチョイス。2023年、念願の神奈川県民ホールライブ、面白すぎた。運営のTwitterも好き。
 アイドル楽曲大賞といういわゆる"年ベス決め企画"で「タイムマジックロンリー」がランクインした時のオタクのちっちゃめの歓声好きでした。#わかる
 横浜はアイドル文化がイマイチとかいう風潮はもうほとんどなくなったのではないでしょうか。ヌュはすごい。新しいライブ会場もできたし、新しいライブイベントも始まったし、横浜を盛り上げていけー。潮風と音楽は相性が良いんですよ。
 「yokohama sweet side story」は題名通りそうですが、「Love chocolate?」もイントロから横浜の音感、めっちゃ好き。
 僕は神奈川生まれ神奈川育ちなので…。(県民には理解していただけるでしょうけれど、僕はこの言い方にせざるを得ません。)


43位 ◇MirapiQ■ / みら◇ぴく, 未来都市ピクセルの消滅■ (2021)

 みら◇ぴく, 未来都市ピクセルの消滅■は大阪で活動していたフューチャー系アイドルです。
 グループのことをほとんど何も知らない状態で偶然聞いた「ヴァーチャル・ラヴ」が刺さり、すぐにアルバムを通しでチェックしたらかなり良かった。ライブに行ってオタクに聞かないと実態がよくわからないアイドルはたくさんいて、僕にとってはその枠です。15曲1時間越えなのに集中力高めで好き。思い出して結構聞いちゃう。かわよいキャラジャケにフィットする歌声が良い。
 電子で電波な曲をいっぱい収録した良いアルバムで、心の高まりを抑えきれない。「セブンスセンスワンダーフォーゲルナイト」も大好き。


42位 Beautiful X / X21 (2017)

 次世代ユニットX21は、オスカープロモーション主催『全日本国民的美少女コンテスト』から生まれたアイドルです。
 坂道シリーズ楽曲育ちのオタクとして、その原点と親和性の高いようなサウンドで楽しめるアイドルのアルバムの少なさを実感してから再評価が進んだ作品の一つです。足りなさが好き。今思えばご当地アイドルの良い感じのシングルを寄せ集めて作ったような空気感か。素晴らしい佳作揃い。
 万人に一曲だけおすすめするのならば「どこまでアリ? どこからナシ?」です。次の曲は、制服向上委員会の「恋」みたいなアコースティックバラード「every time, every where」。好き。
 音がこわばったピアノイントロと過剰なストリングスとそれいるかなぁというシンセがないと、納得いかないんですよ。ゆったりしたメロディの部分が特に(ちょっと前の)坂っぽい。


41位 焼き鳥 / 鳥 very bird (2022)

 鳥 very birdは、『チョベリバな世界でvery goodに羽休め』をテーマに結成されたゆいざらすとおきんとんから成るアイドルです。
 鳥モチーフって良いですよね。猫に並ぶと思います。その辺にいる休んでる鳥みたいな日常的な、その中でもコミカルな音作り。平和な感じが好きです。
 超重要作家、佐々木喫茶さんが手がけた「鳥Trick」は必聴。語感気持ちいい。歌詞かわいい。
 ちなみに一曲目は鳥 very birdの「朝 very hard」ということで、そんな出オチ感のあるSEも大好き。聞いていて楽しい。体調不良でも意外とこういう音楽で元気でる。


40位 真っ白なものは汚したくなる / 欅坂46 (2017)

 アイドル戦国時代全盛期を体感できなかったことは悔やまれますが、オタクになってすぐに欅坂46の誕生を目撃したことには恵まれていたなと思います。
 欅坂、最近はもう滅多に聞き返さないです。それでも…という感じでランクイン。
 僕は推しを聞かれれば即答で長濱ねるさんでした。それ以外あり得ないという時期はこの時しかないです。彼女の幸せを願うだけで自分も生きていけるみたいな生活が懐かしいです。
 康(秋元康さん)に本気を出させたグループに似合う題名。坂(坂道シリーズ)では「微笑みが悲しい」くらい恍惚とできる奇跡の現象をまた感じたいです。
 いつか、そのまたいつかのてちねるゆいちゃんず再集合で「夕陽1/3」を見たいです。
 みなさんどうかお元気で。



【休憩】 LYRA「バリハピ幸せとっとーと!」

 福岡のご当地アイドル、LYRAの「バリハピ幸せとっとーと!」です。ミュージカル、スウィング系の明るいアイドルソング大好き!!!歌詞も良い!!!振り付けも良い!!!歌声も良い!!!でも、サブスクもCDもありません!!!オタクが撮影した動画で今でも見続けています。神曲だ…。あの頃、まさかニアジョイ(≒JOY)に転生する子を見ていたとは…。



39位 これを雨と呼ぶのなら / 終わらないで、夜 (2020)

 おわよるは、「田舎から上京してきた18~20代前半の夢を追う女の子達の、都会の喧騒の中で抱える虚無感や葛藤、故郷へのノスタル ジックな想いを夜が明けるまでの様々な風景 描写を切り取った歌詞やピアノを主軸とした曲で表現するグループ」です。
 地味で暗いコンセプトアルバム。珍しい。おわよるからまず一曲おすすめをするのならばシングル「シンデレラ」一択だと思っていますが、その一曲にこのミニアルバムからどれも並べられないやっぱり地味で暗い感じが良い。
 深海と都市のモチーフはポップスでありふれすぎているけれど、だからこそ埋もれている。ゆえにシーンからも地味で暗い。
 暗い表現をアイドルの作品としてやり遂げることはだいぶすごい。良くやったな…とか、頑張っただろうな…とか、だから応援しよう…みたいな、この作品を推そうという気持ちですらどんよりさせられる。こういったダークな作風のアイドルにしてはボーカルが柔らかな耳障りだと思う。
 欅坂より上に置きたかった。


38位 秋の惑星、ハートはナイトブルー / Kaede, Lamp (2020)

 かえぽは新潟のアイドル、Negiccoのメンバーです。
 Negiccoかえぽ、Lamp、ウワノソラでやった上質で丁寧なポップアルバム。良いに決まってんだろな感覚もありました。「アイドルばかり聴かないで」すらリアルタイムで聞けていない世代が聞くNegiccoワークスなので、ちょっと上の世代の大人っぽさが刺さりました。「さよならはハート仕掛け」超名曲です。
 このアルバムでLampを聞いたオタクにジャズファンからおすすめがあります。Lampのボサノヴァ経由としてRoberto Menescalに行ってほしい。古典。


37位 DONT TOUCH MY RADIO / FAREWELL, MY L.u.v (2019)

 フェアラブは名古屋で活動していたアイドルユニットです。
 児玉律子さんの歌声があまりにも、(本当に本当に)素晴らしすぎて感動したことをよく覚えています。
 レゲエなやつからブギーなやつを通って、ダブRemixもやって、ド直球打ち込みポップスで締める最高の構成。
 フェアラブはブルーノートという超有名ジャズレーベルのアートワークをオマージュした7インチレコードをジャケ買いしたことが僕にとって始まりでした。Hank Mobley『Dippin'』とKenny Burrell『Midnight Blue』のド定番。
 音楽もビジュアルもイケてた。


36位 Bon voyage! / sommeil sommeil (2022)

 ソメソメは睡眠を意味する”sommeil”を連ねた名前のアイドルユニットです。
 僕は昭和アイドルのフェイバリットで伊藤つかささんの『さよなら こんにちは』(サブスクなし)などを挙げることがあり、そこから似ている音やフレーズを切り取ったりというわけでもなく…なんとなく聞いている時のなにかが近いというフワッとした理由でソメソメの音楽を好いています。今のアイドルのイイ感じのアルバムの基準としても考えられそうな実直インディーロック。
 一曲目「愛の旅」のエレキギターのストロークの音で、良し!となるので聞いてください。おすすめです。
 ジャケに引っ張られているのかもしれないけれど、薄い緑や薄い黄色のイメージが好き。アイドルシーンは青色が過労なので。癒し。


35位 ここで見た夢の話 / 衛星とカラテア (2022)

 カラテアは、「何気ない日常の、小さな幸せを大切に。そしたらきっとーー」がコンセプトのアイドルです。
 アートワークや一曲目のインストから膨らむドリーミーな展開への想像を笑ってしまうくらい裏切ったデカいエレキギターのサウンドが愛おしすぎる。
 今僕は間違いなくアイドルの音楽を聞いているな…という意識が途切れない40分。個人的に、曲が良いとよく言われるタイプのライブアイドルの真髄の音作りをしっかり研いで作ったというイメージです。
 今年出た再録やRemixを含む現体制アルバムもジャケが完全にドリームポップ。でも内容はギターポップ。「Stardust Story REMIX ver.」は原曲のイントロを1分に拡張させたナイスなやつ。
 TikTokで有名なメンバーがいると地上のオタクから聞きました。(最近YouTubeショートで見かけた)


34位 パレリラパレリラ / 天晴れ!原宿 (2018)

 天晴れ(Appare!)は、世界中のKAWAIIを取り入れ独自のカルチャーを生み出していく「原宿」のように、「天晴れ!」なKAWAIIカルチャーを創造し世界に発信していくをコンセプトにしているアイドルです。
 振りコピ、コール、ミックス、ライブでの楽しさとして表題はもちろん、エレクトロでメロウな振り幅を見せた「センチメンタルプリズム」、後半のカップリング2曲の踊れる佳曲も通して優れた作品。思い出補正では『APPARE! WORLD』に軍配をあげたいですが、よく聞いているのは…実はこっち。
 改名後、TikTokで曲が盛り上がったらしい。いやもちろん知ってはいるけれど実態が良くわかっていません。
 「原宿サニーデイ」だけでも聞いてみてください。


33位 ノクターナル / 東京女子流 (2022)

 女子流はエイベックス所属のダンス&ボーカルアイドルグループです。 
 2017年スタートでライブアイドルの音楽を聴き始めた僕にとって女子流は一つも二つも上の世代のイメージがありました。過去のアルバムを全て聴き終えてからの2022新譜、それでも圧倒的な傑作に思えました。「ガールズトーク」のベースラインはここ数年間のアイドルソングを振り返っても頂点でしょう。
 「Partition Love」も好き。『Limited addiction』も好き。"東京女子流 with 大原優乃"も好き。
 「Partition Love」の長い間奏を聞いているといつも、教授の「THOUSAND KNIVES」でやばいギターソロを弾いた渡辺香津美が脳内に出てくる。


32位 ZERO / われらがプワプワプーワプワ (2021)

 われプワ、趣味は世界征服です。
 「われらがのんすとっぷえいりあん」「われらがさいきょ!さいきょ!のんすとっぷえいりあん」「初恋ウインク」「ベランダから始めるセカイセイフク」「パラレルラ」「レンチン」等の優れた、個人的に大好きな楽曲がありながらも、作品でまとめると21年のこれをよく聴きます。
 昔、オタクとアイドルの公式サイトを巡回しながら話していたときにここのページがやばいと話題になった。だいぶさっぱりとした今のサイトも好き。衣装も可愛い。
 人気曲「バババ」がここに収録されているのおもろい。
 「ANALOGUE LOVE」は歌詞からコロナ禍はもちろん、音でK-POPへの回答をも含んでいると思う。超大好きな曲。"あなろギュッと抱きしめてよ"が素晴らしすぎる。フィジカル(CDもレコードも)好き派、号泣。
 「アナロギュッラブ!!!」


31位 光の行方 / 原田珠々華 (2021)

 ずーちゃんは、「虹のコンキスタドール」のメンバーであり、シンガーソングライター、グラビア等の活動も行なっています。
 本作はさよならポニーテールとコラボした「秘密」、ヤマモトショウとコラボした「わたしに着替えて」が収録されている傑作であり、後半の、いつものずーちゃん節も当然素晴らしい。

クリームソーダに
世界ではじめて
あのチェリーをのせてみた人は
気づいたことでしょう
「わたしの可愛いを見つけた」って

わたしに着替えて
作詞:原田珠々華,ヤマモトショウ

 カフェライブツアーをやったずーちゃんと最高にかわいい歌詞を書くショウさんの出会い。
 「秘密」は冬に聞くと染みます。僕は10年以上さよポニを聞いていて………
 彼女の歴史はかなりすごいので、ぜひ、まずソロの作品から!!!
 あと自分は神奈川県民なので最近TVKの旅番組に出演してくれたことが嬉しすぎました。


30位 white canvas / 真っ白なキャンバス (2018)

 白キャンは、「あなたと一緒に、大きな夢を描いていきたい。この真っ白なキャンバスに。」がコンセプトのアイドルグループです。
 僕がライブアイドルの"現場"で初めて買った思い出のCDです。10年代後半から現在までシーンの第一線で活躍する白キャン、アンセムの「SHOUT」、そして最重要メンバー、あずちゃ、ママ、国王こと小野寺梓さんの影響力は凄まじいです。”SEからのアイデンティティ”というフレーズは歴史に残るべき。
 コールもミックスもリフトも....とにかくライブアイドルの基礎的な文化を全てここで学びました。
 現在国王がNACK5で担当されているラジオ『おのでらんど国民放送』のチェックをよろしくお願い致します。
 最近ならユニット曲、むぎえまの「プロテア」も良いですよ。映像も可愛い。
 『white canvas』は現在サブスクにないので、同年、1曲を追加してリリースしたアルバム『pure white atelier』をシェアします。
 あとファンサイト、すごい。



【休憩】 ナナランド峰島こまきさんのメイク動画

 人生につらくなった時はこのような動画をモニターに表示させながら作業をしていました。(しています。)夢月メイクちゃんねるは来栖りんさんの動画で知りました。
 ところで最近、乃木坂のライバルグループが発足しましたが、そのメンバープロフィールに「パーソナルカラー」の項目があり、はいはいはいと思いながらも正直違いがあんまりよくわからない。



29位 Cosmos / ピューパ!!, ステラシュガレット (2021)

 こちらは東のピューパ、西のステラが共作で出したスプリットEPです。
 お互いの楽曲をカバーし合い新曲に繋げる構成がナイス。エレクトロな音像とミニマルなギターフレーズが二つのグループで調和しています。強いサウンドの流れが来た時にさらっとしているボーカルが効いているなと感じます。僕が好みのやつです。重たくなっても軽くて良いって変な表現なんですけど、そういう感じで。
 あなたがこの作品を聴き終えたら次にやるべきこと、それはピューパの天音たるとさんのTwitterアカウントをフォローすることです。なかなかのなかなかにグッときます。Twitterのテンションを見て、特典会でめちゃくちゃ緊張したことを覚えています。何を話したのかは覚えていない。
 先日、たるとさんが渾身のnoteを更新されていました。絶対に読んでほしい。
 僕は自分の性質として若干病弱ってところがあるので、観測範囲がアイドルばっかりになってしまうのだけれど、そういう境遇で頑張ってる人たちは余計に応援したくなってしまう。
 去年出たピューパのアルバム『PASS-WORD』も超ストイックな10曲入り23分の素晴らしい作品です。どちらも聞く機会が多い。
 ステラのせかいさんもまじすごいよなぁ。多才すぎる。


28位 REMIXES / サンダルテレフォン (2021)

 ダルフォン(SANDAL TELEPHONE)は、“フューチャー×ノスタルジック”の世界観とダンサブルなポップスを取り入れた楽曲、パフォーマンスが特徴のガールズグループです。(前身グループは終演後物販→終演後物販卍)
 全曲をリミックスでまとめた8曲33分の良作。曲単体で聴くことはなく統一感のあるアイドルリミックスの世界観を味わいたい時に重宝しています。クラブ系でもバキバキってよりかは少しじんわりというかしっとりしているように思えるのはアートワークの功績か。
 ところでこのグループは楽曲の変化が激しく、その中でも僕のイチオシは「Follow You Follow Me」の”ギターソロ”です。高中正義的バカンスフュージョン最高。聞いてください。お願いします。(これ毎年言ってる…)
 ライブで見た元メンバーの西脇朱音さんが本当に可愛すぎてうっとりしてしまいました。
 グループの最近の様子について、僕は音源とメンバーのSNSしかチェックできていませんが、またさらに進化しているみたいですね!
 このアルバムは再生して数十秒でおっいいじゃんとなればそのままのテンションで最後まで行けると思います。


27位 WORLD'S END / lyrical school (2018)

 リリスクは、ヒップホップアイドルユニットです。
 リリスクの3部作アルバム(4th~6th)を提げた活動は凄まじかったです。完結作的位置付けでさらにリリースした7枚目、こちらも傑作。僕のフェイバリットは4枚目の『WORLD'S END』です。ストーリー、ユーモア、オマージュ、コンセプト、どこか良いとか好きとか、様々なバックボーンを持ったオタクがそれぞれ語り合える作品郡だと思います。どっしりとくるアルバム主体の活動を行ったリリスクはやっぱりすごい。体制の変化を経て男女混合になったリリスクにも期待していこう!
 正直な話、僕はヒップホップというジャンルに疎いので、だから想像になってしまいますが、そっち界隈の方々にはリミックスの存在をシェアするのが良さそうなのかなと思っています。自分はいまだにあまり良さを理解できていないので、またいつかリリスクに戻ってくることもあるでしょう。だからこそヒップホップがめっちゃ楽しく聞けるという嬉しさとかで、この時期のリリスクにしっかりハマれたのかもしれないです。アルバムのフォーマットとして出たこれに当時はかなり衝撃を受けました。


26位 amputasion / situasion (2022)

 シチュは、音楽が鳴り、会場が一つになった瞬間のエネルギーを原動力に、何にも支配されない圧倒的な「状況」が構築される、状況製作委員会所属のアイドルグループ。What the f**k is this situasion.
 シチュのプロデューサーヨロコビさん、サウンドプロデューサー磯野涼さん、やばい。メンバーも企画もやばい。どんどんわけわからなくなっていく。その楽曲がとんでもなく面白い。
 このEPは全曲四市田雲豹さんプロデュースということで圧倒的に異彩を放っています。シチュの中でも力んで凝りすぎている。でも快作。ボーカルの乗せ方も尖ったアイドルソングのお手本みたいなことをあえて真っ直ぐにやる潔さ。「BELU」めっちゃ好き。その感動はClown Coreを初めて聞いた時(トイレのあの動画)に近いです。あと、くちギターソロって…
 ここはこれを出した時点で今後もうどうなるか全く予測不能になりました。
 あの、めっちゃすごい作品です。YouTubeにあがった動画もやばい。びっくりして去年の年ベスアルバムのハッシュタグツイートに並べちゃいました。The 1975と一緒に。
 一応グループの代表的な自己紹介ソングもシェアします。メンバーのことがわかる詞が入れ込まれたアイドルソングは基本どれも良いので。


25位 ファルセット / RYUTist (2020)

 RYUTistは、新潟県新潟市中央区古町から生まれたアイドルグループです。
 去年リリースされたアルバム『(エン)』がアイドル楽曲界隈のみならず音楽オタク勢にも注目されたことは記憶に新しいですが、そりゃそうだろ!というクレジットでした。君島さん、石若さん、パ音...どれも素晴らしい曲で、アルバムとしても大傑作だと思います。「うらぎりもの」…最高の曲が出てしまった。
 しかし個人的には前作の『ファルセット』が再生回数で上回っています。アルバムの最後の方に置かれた「無重力ファンタジア」が本当に本当に好きで...この作品でも蓮沼執太との冒頭2曲がそりゃそうだろという良さを超えて爽やかでぶっ飛びます。サイコー!ジャケットの雰囲気も好き。
 PENGUIN DISC主宰の南波一海さん(一海)いつもありがとうございます。大好きなライター(オタクの超大先輩)です!こんプロラジオも好き!


24位 E TICKET RAP SHOW / E TICKET PRODUCTION (2017)

 E TICKET RAP SHOWは、桑島由一の音楽活動名義「E TICKET PRODUCTION」が手がけたアイドルコンピレーションアルバムです。
 コンピならこれ!どの曲も良い。
 吉田凜音さん、ソロ作品も海外活動もファッションも大好きです。
 根本凪さんの楽曲にはMVがありまして....それが音も歌詞も映像もオシャレで、日常的で、艶かしくて最高なので、おすすめです。
 sora tob sakanaの二名がフレッシュにラップをやった「AS ONE」は僕にとって究極の神曲です。この二人という選出。山崎愛さんにもう一回会いたいです。ブログを何回も読み返してます。
 Eチケはこの手のアイドルヒップホップの中で最も"音がポップ"だから好き。


23位 16歳のアリス / 川上きらら (2020)

 川上きららは、お月様からやってきた、地球征服を目指すアイドルグループ「うさぎのみみっく!!」の紫担当メンバーです。
 外向けや初見にこれを言わない手はないということで、きららさんのボーカルは松田聖子さんの再来です。声質も歌い方も、それに合わせた楽曲も、全てのチューニングが整っている「小麦色のマーメイド」風の大傑作「戸惑いのモラトリアム」を2020年の新曲として聞ける奇跡に巡り会えて感動しました。キュートに、そしてぶりっ子で歌い上げる「Love Me Tender」も最高!昭和歌謡、シティポップのリバイバルでこのアルバムが取り上げられないのはありえない。モノマネで面白がるということじゃなく、今聞いて、今こういったアイドル楽曲シーンだからこそのありがたみを深く感じています。


22位 SWEETS AND POP1 / かすみ草とステラ (2022)

 かすてらは、学校生活をコンセプトの、どこか儚く甘酸っぱい青春を届ける11人組青春系アイドルです。
 2017年からライブアイドルソングを積極的に聴き始めた境遇が強く作用し、僕はこのアルバムに、10年代後半の王道アイドルポップスの総まとめを感じました。ベストアルバムのような。名曲コンピレーションのような。ボーカルのユニゾン。軽快な鍵盤。キラキラのウワモノ。よわっちくも誠実なベース。中音域が豊かなエレキギター。過激になりすぎない可愛さ。エレクトロでダンスで”ネコ”な「ネコにかすてら」から、アイドルではもう絶対に外すことのできないディスコファンク系のサウンドでオタクの好きな曲としての最大公約数を目指した「Dear Jasmine」は、最高のエンドロールに相応しい流れです。今後もアイドルシーンを振り返るタイミングがあれば、この作品の、数年間を包括したような内容に懐かしさの感動を引き起こされるのだと思います。


21位 WIFE / 清竜人25 (2017)

 清竜人25は、シンガーソングライターの清竜人とその夫人たちによる一夫多妻制のアイドルユニットです。メンバー全員が「清」姓を名乗っています。
 オタクは皆、清竜人になりたいと思う瞬間があったのではないでしょうか。絶対結婚しような!がこんなにも似合う楽しいアルバムは他にありません。結婚しちゃうし。元気貰えます。ブラスもストリングスもしっかりしていて、ベースも良い感じに踊り、メジャーの音です。良い!これを聴きたい時がなんかある。良いよなーーーー。MVも見ちゃう。幸せの形はたくさんあるけれど幸せにはなりたい...。なにを頑張れば良いのかわかんないけどなんか頑張ろうという気持ちにはなる。
 ねもぺろとの作品も最高。

 

20位 3776を聴かない理由があるとすれば / 3776 (2017)

 3776は、富士山のローカルアイドルです。何度も体制を変化させ、現在はプロデューサー石田彰とアイドル井出ちよのデュオのような編成です。
 僕は割りかしアートポップ系の音作りが苦手で、しかしこの3776のアルバムや次作の『歳時記』のアート感はかなり聴きやすく思えます。
 XTC『Skylarking』のラスト「Dear God」と重ね合わせてしまう「春は巡る」から「3.11」の流れは、オタクが崇めているものはアイドルなので....
 山頂から「今ここにある景色を目に焼き付けて」というフレーズを投げかけることも、当然下山はしなければいけないことと相まって切なくて良い。1時間以上あるアルバムでしか表現できない。
 3776は『歳時記』の次に何をやってしまうのか、怖いほど期待してしまう。
 クラシック音楽の踊ってみた動画とかもやばい。(ストラヴィンスキーとかバッハとか)
 システム感、ビート感、アート性をさらに強めた『歳時記』には、ジャンルを超えて届く”ドキュメンタリー性”があると思う。
 アイデアを詰め込みすぎないアートワークがあまりにも粋。ため息が出るほど美しいジャケ。
 大傑作を出してもなお特殊ライブ等の謎に包まれたローカルな活動を行っている3776が向かう先とは...

3776を聴かない理由があるとすれば / 3776 (2017) (サブスクなし)



【休憩】ミ米ミ「檸檬なあの娘」

 僕はレトロブームという現象に安心してしまいます。新しいものって必ず誰かに評価されるから。僕も今大好きなアイドルの新譜を聴きたいし。でも良かったことを忘れないように。オールディーズ!ミ米ミさんの佇まいが好き。



19位 963 / 963 (2018)

 963は、福岡と東京を拠点に活動しているアイドルです。「女の子がゆるいラップを歌う」というコンセプトと、ジャジーで<ゆるい>サウンドが特徴です。
 前田鮎花さんと辻優衣さんの二人がアルバムを通してユニゾンに拘った声で表現する世界は唯一無二です。ラップもトラックもゆるくふわふわと進む統一感のある展開を33分も聞けます。姉妹のような雰囲気の二人のボーカルの使い方がテナーサックスとアルトサックスの2管編成ジャズのテーマ部分をずっと聞いているような気持ちにさせてくれます。
 ラップではあるけれどメロディ志向のリスナーに好いてもらえそう。
 こだわりは強くも、なんとなく明るく楽しい作品という位置付けの感覚があります。何か音楽を聴きたい時、まあひとまずこのアルバムを流しておくかなと思う気持ちに何度も何度も遭遇しています。
 大手雑誌のグラビアに抜擢される二人の完成されたビジュアルは、"963(くるみ)は超絶美少女二人組ユニット。"と、公式Twitterのプロフィールに書かれてしまうほど。
 「ターニングポイント」が好き。
 963はカノサレとの合体ユニット、4/7もあります。カノサレはInstant Cytron「STILL BE SHINE」をカバーしています。原曲が収録されたあのアルバム、とんでもない名作ですからね。片岡知子さん、長瀬五郎さん、松尾宗能さん、大好きな作家です。
 このアルバムに携わっているikkubaruさんやKenichiro Nishiharaさんの名前を見て聞いてくれるオタクもいるはず。
 個人的には新城賢一さんの曲が素晴らしいスパイスになってこのアルバムの強度を高めていると思います。


18位 Blue Ocean Fishing Cruise / つりビット (2017)

 つりビットは、僕がリアルタイムで聞いてきた中でシティポップを最も真面目に取り入れたアイドルだと思っています。シティポップは爽やかなギターカッティングだけじゃないし、気の利いた踊れるベースラインだけじゃない。狭くて暑苦しい都会だけど、僕にとってシティポップの気持ちはもっともっと広い世界を願っているから。心底大好きな一枚。心に秘めていたシトラスの”青春”が海岸線を駆け抜ける!...という一文がレコードの帯に書かれている夢を見ました。メンバーの皆さんもそれぞれ皆さん好きでした。横浜の海を背に見たライブは絶対に忘れないです。
 タツロー直系のギターカッティングから始まったリスペクトも超高クオリティ。フュージョンとかポップスまでのメロディックなギター感やシンセのキラキラ
バカンス感もしっかり組み込まれているところがアツい。
 アルバム全体としてはもちろんですが、僕は特に「渚でラテアート」「おさかな形キャンディー」の二曲を語り継ぎたい。
 Spotifyはベスト盤のみの配信なので林檎で。


17位 ザ・ファウンダー / フィロソフィーのダンス (2017)

 新人発掘の名(迷)プロデューサー加茂啓太郎さん、超かわいい歌詞を書く超頭いい天才ヤマモトショウさん、そして世界の名曲を軸に日本で世界一良い曲を作る宮野弦士さんがバックについていたフィロのスの作品で僕が最も好きなアルバムです。
 「ライク・ア・ゾンビ」の1サビのおとはすの歌が最高!!!
 フィロのスを知ってから、アイドルソングを聞いている時の、良い曲だな、良い音だな、良い声だな...のハードルが急激に上がったような気がします。
 一番好きな曲の話をしましょう。
歌詞:「シスター」
オケ:「ヒューリスティック・シティ」
歌:「ライク・ア・ゾンビ」
ギターソロ「ドント・ストップ・ザ・ダンス (with DEZOLVE)」
 ショウさんは今、静岡でfishbowlというご当地アイドルをやっているし、外部への楽曲提供も積極的だし、ハードワークすぎる。僕には理解不能な仕事力です。淡々と結果を出す。憧れる。
 弦士さんは音楽オタクで、Twitterの使い方も好き。味方というか親近感。音楽めっちゃ詳しい近所の兄ちゃん。僕がただのリスナーだとしても彼から学べることは多すぎます。声優系に提供している曲も大好きですよ。最近ご自身のソロ作も出ました。おめでとうございます。
 また機会があれば、ふぇのたすやタルトタタンの話もしたい。


16位 octave / 桜エビ~ず (2019)

 桜エビ~ず(ukka)は2018年から2019年にかけて12ヶ月連続シングルリリースをやりました。その1年分の楽曲とアルバム新曲1曲をまとめたアルバムが『octave』です。僕がリアルタイムでノった企画の中でもトップクラスの面白さでした。良い曲ばっかりで作家陣がすごい。これをやりきった運営がすごい。新曲をいっぱい披露したメンバーの皆さんがすごい。これはすごいことが起こっている!と思っていました。
 今改めてこのアルバムを通して聞くことはあまりないのですが、しかしお前の好きなアイドルのアルバムはなんだと聞かれると、まずあの頃をぼんやりと思い出します。Tokyo Idol Festivalで「灼熱とアイスクリーム」のイントロが真夏の晴天にフェードインしてきた風景など。
 特に1曲目から6曲目の前半がぶっ飛ばしていて最高。
 「Magik Melody」「灼熱とアイスクリーム」「ねぇ、ローファー」が僕のベスト3です。
 改名後、ukkaのベスト3は「Party goes on.」「Shining City Lights」「ガールズナイト」です。『T.O.N.E』の中間部。


15位 うまくいかないおんなのこは / 中道ひびき (2021)

 中道ひびきは、完全自己プロデュースのシンガーソングライターです。鯨デパートのGt.Vo.でもあります。セルフプロデュースのアイドル「月羽珠」もやっていました。ミスiD2021ラッキーミュージックヒロイン賞を受賞されており、ご本人による「アイドルぶるのやめます!!!よろしけ🎶🎶わたしはわたし🎶音楽人間ぶらせて🎶」(午後9:10 2021年5月11日)というツイートを後から見ることになるわけですが、僕が初めてこのアルバムを聴いた時の感情は、彼女はあまりにも大きな夢を心の内に秘めているアイドル的な輝きを自分で作る音楽で抱きしめているんだといったような、あるいは歯軋りで飛び散る火の粉で自分の口の中を傷付けながらもニコッと笑い続けることができる諦めに見えた大きな勇気があるというような...心を握りしめていた。演奏やDAWのソフトに閉じ込められた彼女の音楽から夢を感じずに、どうやって可愛さが力強く肯定される世界になるだろう。ベッドルームで眠れないアイドルは空っぽの浴槽でバスルームポップを作った!


14位 ひらけごま / 50天 (2019)

 50天は、広島発のガールズパフォーマンスユニットです。ダブステップやフューチャーベースを取り入れた楽曲やパワフルなダンスが特徴です。
 リーダー、メインボーカルのSakuraさん、音楽プロデューサー、ダンサーのKAYLLYさんを中心に最高のステップで踊れる可愛いアイドルポップが広島にある。今一番ライブを見てみたいアイドルです。
 作品としてはインストの収録もナイス。
 その後も「わたアメ」「ふて寝」最新作「ENCORE」まで、メロディが可愛らしくとっつきやすいダンスミュージックを継続的にリリース。一風変わった歌詞とのブレンドでここでしか聞けない(広島にいけないと見れない)アイドルダンスミュージック独自の可愛さが好きな作品です。
 50天は急激にハマり、短時間で何度も何度も繰り返し聞いていた時期がありました。耳から得た音楽情報が自分の血液に構成要素として加わっていくような感覚まで行きました。僕にとって「自分を構成する○枚」の自己紹介で入れたい作品は、イヤホンやスピーカーから聴き続けている音楽ではなく、常に自分の血管の中で流れているような音楽なのかもしれないです。


13位 Points / ・・・・・・・・・ (2019)

 ドッツは都市やインターネットを中心に活動していました。グループ名の公式の呼び名はなく、メンバーはサングラスのようなもので顔が隠れており、シューゲイザーを中心に、80年代パンクのカバー、ノイズなどもパフォーマンスしていました。活動期間は2016年4月から2019年4月。ドッツ運営チームが始めたアイドルグループ「RAY」は現在日本のアイドルシーンを超えて注目されています。
 「RAY」でリリースされたEPやアルバムはどれも良いです。しかしドッツ時代の、制作のメソッドがまだしっかりと確立されていないインディーズ精神が大好物。だからこそあれから時が経てば経つほどやっぱりドッツの作品凄かったな...と、衝撃を受けます。とてつもなく大好きなアイドルシューゲ。
 一曲目「しづかの海」のイントロで、これは!と思ってもらえるかと。作詞作曲は管梓さん。(For Tracy Hyde,エイプリルブルー) いつも最高の曲をありがとうございます。
 恋する女の子が喫茶店で過ごすワンシーンを甘く感傷的に捉えたtipToe.「クリームソーダのゆううつ」からのカバーは、その、王道の青春リプライズにうまくノれない時の感情をまどろむ白昼ドリーム。真夏のシューゲイザーに変身してしまった原曲がもはや枠組みだけに聞こえてくることに、「クリームソーダのゆううつ」が何よりもシンプルで素晴らしい作詞作曲だったのだと感じます。
 …内山さんのディスクレビュー凄すぎる!!!愛読しています。

https://twitter.com/__yuuaself__


12位 十字路 / 透色ドロップ (2021)

 透色は近年の坂道シリーズから、あまり良くない歌詞(避けられない時代遅れ感とそこに対する諦めのクリエイティブが見えるもの)を書く時の秋元康と、巨大事務所に釣り合っていないのではないか?と疑ってしまうサウンドだという悔しい感情の引き算に成功させた、気を衒わず真面目に清楚に”まとめる”タイプの王道ポップスをただひたすらやり続けているアイドルグループだと思います。
 『十字路』はメンバー体制変化後の再録が10曲入ったアルバムです。無理をしない打ち込みと気の利いた生楽器の音を違和感なく安定的にブレンドさせることは今アイドルでやれる精一杯の、J-POPへのリスペクトだと思います。
 さらに「キュンと。」「ぐるぐるカタツムリ」の2曲に関してはアレンジやオンショクの不可分性がずば抜けており、僕が愛している日本のバックバンド、ティン・パン・アレーのあのシーンまで辿れるほどの感情を引き起こしてくれました。新曲「星くずの夢」もその系譜です。
 僕は音楽が好きで、音楽が作られる技術的な過程にも興味があります。(アイドルではメンバーのストーリーが大切になっています)
 楽器をちょっとやってたり、バンドをちょっとやってたり、DTMをちょっといじってたり、おそらくそういうタイプのポップス音楽リスナーには共感してもらえると信じています。それはこの音楽を応援したいという感情です。
 僕が2016年頃に見ていたいわゆる”坂落ち”という現象(坂道のライブや握手会へ行っているオタクが地下アイドルの現場でチェキをたくさん撮るようになること)で落ちる対象グループは「まねきケチャ」「天晴れ!原宿」「26時のマスカレイド」が筆頭でした。2023年の今、あの現象がどうなっているのかは世代的にも正直よくわかりません。しかし現在、”地下アイドル”は”ライブアイドル”へと名称の変化を進めている空気があります。それは世界的に評価されるようなスピード感や新しさがなくても、たとえゆっくりな進化あっても、アイドルもオタクも自分たちのシーンをよく見ていたからこその変化なのだと思います。
 僕は透色の目指すところで音楽を聞きたい。


11位 Shining Wonderland / ごいちー (2020)

 ごいちーさんは新潟アイドルグループ、cana÷bissのメンバー(2024年4月解散)、「DJごいちー」を名乗るDJやソロ音源のリリースやライブなど、ソロ活動を積極的に行うアイドルです。オモテカホとのユニット”みにまみゅ〜ず”としても活動しています。新潟県出身で元ヴィレヴァン店員。
 アルバム冒頭「le Sagittaire」のモータウンビートからごいちーさんの素晴らしいボーカルが入った瞬間に、その一曲の数十秒で名作を確信し、そして大傑作だった...と、聴き終えていました。
 60~70年代のモータウンサウンドと最も相性の良い音楽は、明るく楽しく可愛らしいアイドルソングでしょう。僕はそういった音で表現されるタイプの可愛さがアイドルの音楽を聞く上で軸になっているのかもしれません。
 『Shining Wonderland』はモータウン社への真っ直ぐなリスペクトから始まり、やんわりエレクトロポップを経由して、よりメジャーなJ-POPを吸収した可愛らしいバンドサウンドに終わります。
 僕にとってこの作品で重要な感情は何よりもごいちーさんの歌声が大好きという気持ちです。
 彼女はこの先も一年ごとにまとまったソロ作品をリリースしており、ボーカルの変化も楽しめます。どれもトラックの良さを引き出した歌い方だと思います。
 次作『恋してビャンビャン麺』で早くも技術的な完成に近づいた彼女のボーカルは、さらに翌年の作品『聴かせてよ、ミスター』で少し実験的な空気すら感じさせてくれます。どれも甲乙つけ難いほど素晴らしいアルバムです。何もかもが上手く噛み合っている、丁寧な下味と調味料で味わい深いポップスなのでどれから聞いても大丈夫。
 僕は「シャララ」と「新しいメロディ」がフェイバリットです。
 自分のモータウンLOVEを誇示したくなったので、以前、僕が作った”ダブライズ 乃木坂46×The Supreme”こと『N46 MOTOWN』のプレイリストをシェアします。いつかこれのライブアイドルver.もまとめられたら楽しいかなと思っています。ライブアイドルにもそういう曲が数えきれないくらいいっぱいあります
 「You Can't Hurry Love」が世界一の名曲だと思っているオタクです。


10位 走り出す瞬間 / けやき坂46 (2018)

 ひらがなけやきのみなさんには沢山の思い出を作ってもらいました。たとえばアルバムという作品において重要な、新曲が多いという要素だけを取り上げても、18曲の新曲を収録した『走り出す瞬間』にまつわる全ての瞬間が今でも宝物です。
 メンバー、ライブ、握手会、仲間との交流、僕の心の中では作品を超えてをいつまでもきらめき続ける、やはり思い出なのだとしか言いようがありません。
「ひらがなけやき」の優しさに救われました。「誰跳べ」の一曲で最後までぶち上がりました。「僕ってる」の初解禁で響いた音は忘れません。「白線」にはどんな時に聞いてもどんな時に見てもみんながいました。「それでも歩いてる」以上にあのエンディングが似合う音楽はありませんでした。「NO WAR」をドームよりスタジアムよりもっと広い会場で見たい。「イマニミテイロ」を今聞いて何を思いますか?「キタジ」がアルバム表題で大正解だったと心から思います。「わずかな光」が僕にとって理想のアイドルを表現してくれたのだとお月様に座るみーぱんを見てそう思いました。いつかみんなで「車輪」を大合唱したいですね。2023年の僕はこのアルバムで「三輪車に乗りたい」が一番好きな曲です。「やくたま」の舞台を見届けても、僕はこれからもマイペースですがみなさんを応援していきたいです。ありがとう!!!



【休憩】 今年のおすすめ曲: 絶対!らぶれすぽんす / ひめもすオーケストラ

 「絶対!らぶれすぽんす」はひめもすオーケストラのメンバー、百瀬せいなさんのソロ曲です。今年、音源化されました。作詞は百瀬さんご自身によるもの。
 …天才だ。聞けばわかります。めちゃくちゃ好きな曲です。振りも生歌も最高。



9位 ChöuChöu. / ChöuChöu. (2021)

 ある日、いつものようにTwitterをぼんやり眺めていると、オタクのRTで1枚の写真が僕の目に留まりました。この写真のこの人が歌う、この人がいるグループが作る音楽を必ず好きになってしまうだろうという、深く染みるようなタイプの衝撃を受けました。
 僕からこのEPを紹介する時にあのツイートに添付された写真以外は不要だと言いたいところですが、グループは解散済みでありながら当人は他のグループでアイドルを続けており(アイドルシーンではこのような現象を転生と言います)、リスナーが増えてほしい気持ちを込めて説明をします。
 ChöuChöu.は、「あなたの日常に花束を______. 」がコンセプトの6人組アイドルグループです。2020年6月28日デビュー、2021年10月14日解散の短い活動期間ながらも、EPとシングルの合わせて6曲を音源として残しています。
 僕はここの曲が好きすぎて、ああ….という気持ちになります。
 そろそろ春かな、そろそろ夏かな、と思うと絶対に聴きます。春から夏の、徐々に暑苦しくなっていくあの最もイライラする時期を捉えた5曲...トラックもボーカルもとことん弱々しく、だからこそ好き。弱々しいけれど”あれやこれや”が音楽的に優れているから良いとかそんな前提の弱々しさへを語ることは不要です。抱きしめてあげたくなるような音楽です。しんどい時に聴いているのならそれは抱きしめられているのでは?そして少しでも日常の支えになっていたのならそれは好きな人という括りなのでは?僕は音楽にしかガチ恋できないオタクで本当に幸福でした。さて、あの人に、いつまでも会いに行かない理由はなんの直感だったのでしょうか............


8位 Atmosphere / amiinA, Serph (2019)

 amiinAとSerphの共作『Atmosphere』は、エレクトロニカ、ダンスミュージックのシーンで活躍するSerphがリミックスを行った、10年代のアイドルシーン最重要リミックスアルバムだと思います。
 ギターサウンド中心の2010年代アイドルポップスからの脱却に挑んだ作品の中でも、幻想性の一切が失われず、チェンバーポップやアンビエントにまで迫るほどの45分をビートで踊れるリミックスでまとめ上げたアルバムは唯一無二。
 「awake mind into ideal naked Avalon」のコンセプトをエレクトロな音像にクリアなギターやケルトの音を乱反射させてキラキラと輝く二人組ユニットamiinAからは、圧倒的主人公感を持つ初期メンバーamiと、『ライオンキング』などの舞台経歴を持つmiyuが手を取り合った物語に、まるで、共に空想の楽園を歩いているような夢心地の風景が見えました。
 そんな彼女たちが歌う音楽で響かせる壮大な空間をSerphが限界まで拡張させた大傑作。
 10年代のアイドルが取り入れたミニマルミュージックの発想を最も統一的に組み込むことに成功した作品とも言えそう。
 原作を聞けばとても自然にリリースされたように思えるインスト盤も必聴。


7位 SOUP / Maison book girl (2019)

 ブクガは、2014年11月結成の4人組アイドルグループです。
 2014年7月に横浜アリーナで行われたBiS解散ライブ「BiSなりの武道館」にて、いずこねこを手掛けていた作曲家サクライケンタがBiSのコショージメグミから新しいプロジェクトの始動を発表しました。
 ブクガはほぼすべての曲をサクライケンタが手がけています。コショージメグミによるポエトリーリーディングの作詞、一部の楽曲は外部のクリエイターを起用し、リミックスバージョンが存在します。
 現代音楽にポップミュージックを組み合わせた「現音ポップ」と呼ばれるサウンドが特徴で、いずこねこで行われていた音楽の続編といえます。
 僕は後期ブクガが好きです。その中でも特に、2つのEPを約8ヶ月でアルバムにまとめた期間*をフェイバリットとしたいです。
*《『SOUP』(2019.4.3) ~『umbla』(2019.7.31) →『海と宇宙の子供たち』(2019.12.18)》
 いずこねこが2012年にリリースした傑作『最後の猫工場』の疾走感は初期ブクガの音楽に流れ込んでいると感じます。そんな慣性のほとんどを失った(失うことができた)ブクガは2018年にアルバム『yume』をリリース。
 先ほど僕がお気に入りにあげた期間はその後の音源という時系列です。
 僕は、家や町から海へたどり着く物語の魅力に、潮騒で包み込まれていく喧騒...のような音の移り変わりを感じます。変拍子やミニマルなフレーズの高層ビル的な固いイメージをどこまで広く想像できるのか。詩も音も、その静さは巨大で恐ろしい海なのだと示されたブクガの作品は改めて聞くと、とても親しみやすいです。今、夏に沸き立つ海を眺めながらでも聞けるくらい。
 やっぱり都会の狭苦しさがイイのかもしれない...ブクガはそんなことを思いながら聴いていると楽しいです。
 『SOUP』に収録されている「まんげつのよるに」がブクガの全ての楽曲で最も好きです。寝る前によく聞いていました。今でもたまに聞きます。次点で「MORE PAST」ですかね。


6位 万祝 / SAKA-SAMA (2022)

 激動のインターネットがあらわにしていった病みの時代、そしてコロナパンデミックを忘れないために。
 題名、ジャケット、音、詩、歌声も全てが好き!mekakusheさんやTomgggさんなど最高のポップスを奏でる作家がここに集結!
 TRASH-UP!! RECORDS、ありがとう!

「2人でこれからもでたらめにいよう」「これから先のことどんぶり勘定」(万祝)

「愛の日差しは強いから 休みましょう 避けましょう 日傘のような恋をして」(恋は愛の日傘)

「わたし世界と地続きです フローリングと地平線」(わたし世界と地続きです)

「不織布で濾された 混じり気ない愛で 少し苦しくても ここで遊んでいたいの」(E.S.P.)

「明日からどうすればいいの?革命前夜」(革命前夜)

「タイムラインでまた会えるわ」(寿司でぃ・ないと・ふぃーばー!! 2022 ver.)

「誰かの愛をフィーチャリングしたつもり?しらけている」(ネガティブ・グライダー)

「わたしに教えて しあわせのルールがあれば なにをしていたって心地悪いの」(ライラック・ランデブー)

万祝
作詞・作曲・編曲:うーちゃん(どついたるねん)

恋は愛の日傘
作詞 河内宙夢 作曲・編曲 岩出拓十郎

わたし世界と地続きです
作詞・作曲:mekakushe 編曲:野澤翔太

E.S.P.
作詞・作曲 : 今泉雄貴 編曲:谷口雄

革命前夜
作詞・作曲:mekakushe 編曲:mekakushe/髙橋柚一郎

寿司でぃ・ないと・ふぃーばー!!
作詞:遊星あい 作曲・編曲:teoremaa

ネガティブ・グライダー
作詞・作曲:mekakushe 編曲:野澤翔太

ライラック・ランデブー
作詞・作曲:mekakushe 編曲:Tomggg


5位 あこ〜すてぃっく! / きららとりつこ (川上きらら, 児玉律子) (2020)

 この作品を聞いた時、僕は思いました。
 川上きららさんと児玉律子さんに、さらにごいちーさんを加えた3人のユニットが完成すれば、あのシュープリームスに並ぶほど、ボーカルからもモータウンレコードを最大級にリスペクトした傑作がアイドルで誕生するかもしれない!と。
 Bill Evans(Pf.)とJim Hall(A.Gt.)によるデュオ究極の名盤『Undercurrent』が歌モノで表現されたようなアイドルの"あこ〜すてぃっく"四重奏(編成: Vo. Vo. Pf. A.Gt. ) の誕生を目撃してしまった!と。
 原曲の味わい深いアイドルポップスをさらに研ぎ澄ませたシンプルなバッキングに、己が持つとびきりの可愛さを丁寧に引き出したボーカルが乗る、そんな生まれるべくして生まれた緊張感をも超えていく、エバーグリーンで瑞々しい、アコースティック編成の超大傑作です。


300枚限定!
IPCD-007

2020.03.22に行われた『川上きららアコースティックライブwith児玉律子』
その日披露された中から4曲を待望の収録・音源化!!

1.Good day (作詞作曲 渡辺泰司)
2.Love me tender (作詞作曲 吉田由香里)
3.7DAYS FOCUS (作詞作曲 渡辺泰司)
4.しずくとカーテン (作詞作曲 Inagi)

川上きららと児玉律子による歌唱に加え、Pf.長谷泰宏(ユメトコスメ)とGt.後藤充彦による珠玉のアレンジ版!!
ミックス・マスタリングは川上きららソロ曲も担当する前田克樹が手掛けました。

あこ〜すてぃっく! / きららとりつこ (川上きらら, 児玉律子) (2020) (サブスクなし)


4位 erewhon / erewhon (2022)

 ここの音楽を聞いているとダメになってしまいそうです。各々のオタクは様々なアイドルを追い求めていますが、僕の可愛いという感情の中心の一番表面にある音楽こそerewhon『erewhon』でした。深く味わおうとしなくても内面で理解する期間を考えなくても、とにかくもう僕にとってこれはダイレクトに肌へ塗る薬品なんです。踊る必要もなし。
 YouTubeに全曲の振り付け動画が上がっています。本当に頭がおかしくなるかと思いました。好きすぎました。
 佐々木喫茶さんが全曲の作詞作曲編曲で参加されています。最高傑作!!!
 メンバーの変化も経て、新譜も出ました!


3位 alight ep / sora tob sakana (2018)

 オサカナちゃんたちの作品は結成から解散までの全ての作品を今でも満遍なく聞き続けているほど好きです。何もかもが良かったからどれにしようかと。改めて一番のお気に入りシーンを考えてみた。「蜃気楼の国」から「Lighthouse」の流れかなぁ。そんなわけで『alight ep』を選びました。

sora tob sakanaの好きな10曲
おやすみ
ケサランパサラン
ribbon
透明な怪物
蜃気楼の国
silver
燃えない呪文
ブルー、イエロー、オレンジ、グリーン
踊り子たち
untie


2位 Rirune!Rirune!Rirune! / リルネード (2021)

可愛くなっちゃいます?
わああ!どこを見ても
可愛いが渋滞してスクランブル
ガラスケース越しにみんな
「わたしを選んで♡」と手を振る 

東京プリンセス
作詞:nobara kaede 作曲・編曲:浅野尚志


1位 thirdShoes. / tipToe. (2018)

 少なくとも1000回以上は聞きました。数えてないけど。
 この『thirdShoes.』に収録されている「砂糖の夜に」は、僕がこれまで聞いてきた全てのアイドルの音楽の中で最も好きな曲です。

さっきのコンビニ店員は猫を2匹飼っているということ、
実は星は砂糖だということ、
ここから星が見えないのは自分が絵の具で塗りつぶしてしまったからだということ、
「あんまり美味しくなかったからね」と、少し笑った

砂糖の夜に
作詞:都塚寧々,作曲・編曲:瀬名航






(公式ではLimited Singleと書かれていますが僕にとってはアルバムなので許して)


後書き

 書いていてこんなに楽しいことなんてそうはないです。歌ってくれるアイドルのみなさんと、それをサポートしている方々のおかげで、僕はこんなにたくさんの好きな音楽と出会えました。みんなありがとう。今回の趣旨は思い出を振り返ることでしたが、もちろんこれからもアイドルが表現する音楽に注目していきたいと思っています。
 ここまでお読みくださりありがとうございました。週末のTIFが楽しみ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?