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細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』を公開前にネタバレ的に予想してみる

先日何気なくテレビをつけたら細田守監督の映画バケモノの子がやっていた。

そこで流れるCMで今度の新作「竜とそばかすの姫」の公開がもう今週なのだと知ったので、今分かる情報からどんな話か妄想とも言える勝手な予想をしてみようと思う。

念のために書いておくと、自分は特別細田作品が大好きと言うわけでも無いし、試写会は…やってないのかな?とにかく、特別詳しい立場にも一切いないので、完全に大外れの可能性が大。もし当たっていたらそれこそ偶然以外の何物でも無い。

テレビのCMからまんまとyoutubeやその他ネットニュース等をググって見て、ちょっと思ったことがあったので書いてみた程度です。

(万が一、当たっていたとしたらネタバレというのだろうか…一応注意と書いておきます)


発端は美女と野獣

一番最初の発想は『ネット世界での美女と野獣』と細田監督自身が語っており、さらに、どんな恋物語になるのかと言っている。

詳しくはこちらの公式記者会見の27分あたり


美女と野獣は大雑把に言うと

人を見た目で判断していた王子様が魔法で醜い野獣の姿へと変えられてしまい、その後美女と暮らすことで真実の愛によって魔法が解け、人間の姿に戻って幸せになるというもの。

この『美女と野獣』の美女の名前がベルで母親が既に亡くなっているという設定も、『竜とそばかすの姫』の主人公すずと同じですずのAs(ネットアバター)の名前がベル(すず→鈴→ベルだと思われる)となっている。

また、『美女と野獣』では野獣の城の中にティーポットや家具に変身させられた使用人がいるが、これをネット世界のアバターと捉えると

”美女と野獣の城の中=竜とそばかすの姫のネットの世界”

となるのだと思われる。

『美女と野獣』では他人を外見で判断していたことのカウンターとして自身が醜い野獣の姿になってしまうが、今回の『竜とそばかすの姫』では、現実の生体データをスキャンしてその人専用のオリジナルアバターとしてネットで活動する

つまり、現実のコンプレックスやトラウマ等もまたスキャンされアバターに反映される。

その結果として竜という醜い野獣のアバターが生まれたと考えられる。


竜とはなんなのか

この映画のもう一人の主人公とも言える存在の竜。

そもそも、美女と野獣を元ネタにしながら、野獣やバケモノではなく『竜』としたのは何なのかについて考えてみた。


竜は解放されて姿が変わる?

主人公すずがネット世界で歌姫ベルとなってかつどうしているところにやってきて暴れ回る竜。

公式の予告動画(予告2)を見ると、大まかな話の筋として

①現実では歌えない冴えない主人公がベルとしてネットで活躍
②竜が現れて大騒ぎ
③世界が竜を叩き始め大炎上
④怖くなってベルも歌わないネットから消える
⑤竜の正体にたどり着いて解放する
⑥止まらない世界をベルの歌で救う

大体こんな感じじゃないかと勝手ながら予想している。

竜がベルの歌を妨害し現実まで飛び火して世界中で大炎上っぽい流れは上記の公式予告で分かると思うが、これは最近よくあるネットでバズッた人とそのアンチ、そしてアンチを叩く炎上の流れのことで、しかしながらアンチにはそれなりの理由、その人の境遇があり、ある意味でマイノリティを世間が袋叩きにして追い出す恐怖のような話を竜側の視点では描くのだと思う。

竜がいるとネット世界が終わるような、だから世界中で正体探しと言う流れに見えるが、これは竜自身がネットを恨んでいる等の、ネットを崩壊させようとしているのか、それとも単にアンチがいると荒れる、駄目になるという話なのかどちらなのかでも話はかなり変わって来ると思う。

おそらく、単にアンチ排除ということかなと個人的には予想している。

ただ、今回の映画が『美女と野獣』だと考えると、最終的に野獣である竜は魔法が解けて美しい王子の姿になるはずで、つまるところ主人公すずが竜の正体にたどり着き、竜をコンプレックス、トラウマから解放することで映画後半には別の姿へと変化するのではないだろうか。

なので公式サイトのAsの説明でも”常時生体情報と連動”と書かれていて、現実の自分に変化があればAsもまた変化するということではないかと思う。


竜である意味

では、なぜそもそも単にバケモノではなく『竜』なのか。

おそらく、これは心理学的な象徴としての意味合いだと思う。
龍ではなく竜と表記する場合、これは西洋のドラゴンの意味合いがあるらしく、そこで”ドラゴン 象徴”などで検索するといくつかのサイトで書かれていたり、またウィキペディアのドラゴンの項目を見ても分かるが、ユングの心理学から来ているのではないか。

自分は詳しくないので残念ながらちゃんと理解はできていないのだが、大雑把に言うとドラゴンとは母親の暗喩、昔の英雄譚などで旅に出て竜を倒してお姫様と結婚するのは、母親と別れ自立しパートナーを得るということらしい。

ちなみに水は集合的無意識を表しているようで、これを世間の空気や大きな流れと考えると、今回の映画のネット世界の名前『U』とは現実の下Underかと思っていたけれど、無意識、Unconsciousなのかもしれない。


そう思って予告動画を見てみると、

主人公すずは母親を事故で無くしており、それが原因で現実では歌えなくなっているし、動画50秒あたり、濁流の前に佇む少女の後ろ姿が、すずの幼少期で母親の事故とはこの時のことではないかと思うようなシーンがある。

また、竜の背中にあるらしき痣や、動画46秒のガラスの割られた女性の絵画?写真?など、竜にもまた何か事情がありそうなシーンがある。
(単純に考えれば母親からのDVなどによる痣と、母親を拒絶したことでの女性の絵画の割れ)

予告は前後が無関係だったり、ミスリードの可能性もかなりあるので全然違うのかもしれないが、とにかく、竜が象徴しているのは母親との関わりだと思われる。


竜の正体と物語の終りについて

見てもいない、そもそもまだ公開されてすらいないくせに何を言っているんだという話だけど、勝手な妄想として物語の根幹、竜の正体について考えてみた。

結果、このどれかかなというのが4つ


まず、上記の予告動画での竜のセリフが

「俺を見るな」

「君は何も分かっていない」

「ホントのこと言えずにごめん…」

ここから竜は主人公すずが知らない、あるいは忘れている何かを知っている。

そうでないと、そもそもベルの歌を邪魔しに来る理由がただ本当にバズっててイライラしたみたいな話になってしまう。

あくまでベル(すず)が歌うことで、Asによって本人すら自覚していない何かを思い出すことを阻止したくて妨害しているのではないか。

その上で正体を考えると

①幼馴染のしのぶ君

今出ているキャラクターの中で普通に考えたら彼かなと思う。
男女の恋愛話として考えたらまぁ彼かなと。

幼馴染ということもあり、すずの母親の事故の真相も知っていて、それで何かとすずを気にかけている、すずが歌うことでその真相を思い出すことを危惧してと思えば、竜のセリフにも納得がいく。

美女と野獣をそのまま作れば野獣は王子様であるので、まぁいま公表されているキャラクターだと彼しかいないかなと。

ただ、これでは本当に美女と野獣の恋愛ってだけで細田守監督がネットの世界で語る意味があまりない様な気もして多分違うのではないかと思う。



②竜はすずの父親の可能性

竜、ドラゴンは母親の隠喩で、英雄がドラゴン退治に行くのは母からの自立だという心理学的な面があると先程書いた。

この男女が入れ替わったパターンの可能性もあるのではないか?

母を事故で失い、おそらくその一因になった幼少期の記憶を忘れているすずがネット世界で歌うことで思い出すことを危惧して、父親が竜になって妨害し、大衆からすずを守っている。

①と同様に母の事故の真相についての竜のセリフと考えると割と納得できる。

現代の高校生と、その親世代のネット観とのギャップ、恋愛物語にみえて実は家族の話というのは、家族の話を描くことの多い細田監督らしいとも思えるし、ネットの世界ではそういう現実の関係すら超越して関わることができるというネット観もなんとなく語りそうと言えば語りそう。

個人的にはこれがありそうかなと言う気もするが、元ネタが美女と野獣だと考えると、まぁ少しズレていて違う気もする。


③全く出てきていない新キャラクター

公式サイトのキャラクター紹介にも書かれていない全く新たなキャラクターが竜の正体の可能性。

実は上記の予告動画(予告2)に若干登場しているのではないかと思うのが動画1分11秒の泣いている彼。
彼は誰?すずの男友達の過去だったりするのだろうか?

それによっては全然話が変わってくるのだけど、彼が竜の正体である可能性が予告動画で分かる(実はこれ予告のミスリードな気もしているが)。

まず、上記の予告動画(予告2)の1分11秒のシーン

よく見ると背後の壁に描かれているのはハチドリと花。
おそらく部屋の壁紙だと思われる。

そして実はもう一つある公式の予告動画(予告1)

こちらの42秒のシーン

本当に一瞬だけ映るのが、親友ヒロちゃんが慌てているカット。

このヒロちゃんの後ろ、PC画面だと思われるが、おそらく世間が竜の正体探しをしていて現実の住所を特定しかかっているシーンだと思われる。

二つ並んだ高層マンションとMUSASHI KOSUGIの文字。

その画面左上の四角い小窓の周囲の模様が先程のハチドリと花の模様になっている。
小窓の外には武蔵小杉のタワマンが。はい、特定されそう、ピンチ!という場面だと思われる。


要するに

予告動画(予告2)の謎の少年の背後の壁と予告動画(予告1)の特定情報の壁の模様が一致しているわけで、竜の正体は予告2に登場するこの涙を浮かべている少年の可能性がある。

そう考えると、竜は武蔵小杉周辺に住んでいることになるので、高知県で暮らしている主人公達との接点は?という話になるのだけれど、まぁ逆に言うと新海誠監督の君の名はのようでもあり、まぁ運命の出会い、偶然じゃなかったって話?

でも、細田監督はそういう話は作ら無さそうで、だとすれば、例えば宮崎駿監督の千と千尋の神隠しでハクが昔、川で溺れた千尋を救っていた的な、この少年も昔、旅行か何かで高知に来ていてそこで濁流の川へと繋がるのか?とも思える。

例えば、幼少期にすずと同じ高知に住んでいた彼が、現在は武蔵小杉に住んでいる。
過去に、母親からのDVや何かトラウマを与えられており、アバターにもそれが色濃く出て竜となった。

また、過去に自身やその母親等がネットで話題になって大変な目に合っていて、だから今注目されているベルに対して「君は何も分かっていない」というセリフになるのだろうか?
(例えば母親のDVがニュースになって以前ネットで炎上している等)

ただ、これは巧妙な予告映像でのミスリードな気もしていて、実は予告2の涙を浮かべている少年は、最近現実でもある、誤情報による冤罪炎上、実は何の関係も無い少年なのに、いきなり竜の正体、犯人はコイツだと世間にレッテルを貼られて困っている被害者なんじゃないかと。

それで困って涙を浮かべているのではないかと。
そう言う現実の問題も劇中に入れてあるのではないかとも思える。


以上の①~③を考えたが、個人的には①か②で③の彼は冤罪という流れじゃないかと思う。

どれかに絞るとしたら竜を倒さないとUが壊れるなど、ネットに対する観念の差、ギャップが問題になりそうな部分で②の父親が竜説か。

近い予想として、実は母親が生きており、ドラゴンの暗喩の通り母親が竜で再婚して武蔵小杉に住んでいて…と言う可能性も考えたが、流石に公式の設定を覆すのは的外れも過ぎるかな。


超大穴として、実は親友のヒロちゃんが竜で、やはり解放された後に予告2の1分20秒の彼女へとなって一緒に歌って世界を救うENDも考えた。

というのも、この親友の声を担当しているのが歌手の幾多りらさんということ、そんな今話題の人で予告にも多数出てくるキャラなのに最初の動画の記者会見にはいないことなど何やらまだ秘密があるのか?と邪推した結果だ。

実は予告動画(予告2)の22秒。すずがヒロちゃん宅の玄関?にいるシーンの背後に竜の絵が。
まぁしかしこっちの竜はドラゴンじゃなくて日本や中国での龍の方だけど…。

ただ、これはむしろ予告にキャラが出過ぎているのと、そもそもその予告動画でこの親友ヒロちゃんのアバターが飛び回っているようなので、まぁ無いだろうという結論に至った。

他の細田作品の公式予告動画を見ても、例えばバケモノの子のラストクジラに変身する彼も予告動画ではほんの一瞬しか映らないなど、基本的に本当の核心のキャラは予告ではあまり見せないのでは?と思われる。


物語のラストは

最後に、ラストはどうなるのかと考えると

もしかしたらアバターをやめて『U』でも現実の自分の姿になるのではないかと何の根拠も無く思った。

ベルとしてではなく、すずとしても歌えるようになった主人公がベルとしてネットで歌うと自身の姿が現実のすずになる。
(デバイスが生体データを読み込んで更新した結果)

それに共感、呼応する形で世界の人も精神面に変化が起きて『U』の世界でも現実本来の姿で活動するようになり、現実とネットがひとつになる。

予告でもさんざんいっている、50億人が”すれ違う”状態から現実と同じくちゃんと顔が見える形で関わるように。

つまるところ、匿名性から実名でのネットの世界になることで、竜の正体探しや暴走などの問題も無くなるような、そういう話なのではないか?


そのこと自体についての現実での良し悪しはまた別のこととして、映画としてはそういうハッピーエンド、新しいネットの在り方の提案になるのかなと、本当に何の根拠も無く思った。


以上が、本当に何の根拠も無く、ただ予告動画を見ただけで妄想したお話。

コロナの緊急事態宣言もあり、ちゃんと正解の『竜とそばかすの姫』を見るのは個人的には当分先のような気がしているが、とりあえず忘れないように見る前の予想を書き留めてみた。

これで大外れだったら相当恥ずかしいが、当たっている自信も一切無く、まぁ今さら何で書いたんだという気も少ししている(笑)


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