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滝ヶ原ファームが素晴らしいお宿なのと、私も暖炉が欲しいこと。

前の記事でも少し書いたのだけど、小松への一人旅では滝ヶ原ファームというゲストハウスに泊まった。ここは130年以上前に材木で財を成したお金持ちが建てた大きな古民家を改築した場所。ひょっとすると滝ヶ原の村の中でも最も大きい家かもしれない。二階建てで、延床300㎡くらいはありそう。

ゲストハウスのある大きな古民家

建物に入ると、一階はキッチンの他は滞在中いつも自由に使えるラウンジスペース。オーナーが青山にあるオシャレな家具屋さんなだけあって、ものすごく素敵な家具ばかり。

玄関を上がると、暖炉と食事をするスペース
リビングスペース
会議もできそうな大テーブルもある

特に気に入ったのはこの暖炉。暖房器具として暖かいのはもちろんだけど、火があるだけで幸福度が上がる気がする。

玄関近くにある暖炉。オレンジ色できっと何かのビンテージ

客室は、二段ベッドがたくさん入った大部屋のドミトリーと、4つのベッドが入ったバンドルーム、独立した離れなどいくつかある。振り返れば、一泊4500円のドミトリーでも全然良かったのだけど、誰と一緒になるかわからないのも不安だったので四人部屋を一人で予約した。こちらのお部屋の宿泊費は朝ごはんもついて一泊9000円。

バンドルーム。定員四名

1日目に到着したのは午後3時くらいで、夜ご飯を食べられるような場所は周りになくどうしたものかと迷っていた。するとお宿のお兄さんに、一緒に晩ごはんを作りませんかと誘っていただく。ありがたいお申し出にホイホイのる。

献立は餃子と麻婆豆腐。キッチンでキャベツを刻んだり、餃子を包んだり。18時半くらいから調理開始。

広々キッチン
米粉の皮で包んだ餃子。小麦粉よりちょっと乾きやすい
豪華な餃子ディナー

ボランティアで滞在中のフランス人の日本語勉強中の女の子と、オーストラリアから来ているワーホリ中のシェフ男子も一緒に調理作業をする。

滝ヶ原にはお金を使えるところが全然ないのだけど、ワインとビールだけは売るほどあるから欲しかったら言ってね、とお宿のお兄さんに声をかけてもらう。冷蔵庫の中を見せてもらい、白いナチュラルワインを購入して二晩に分けて飲むことにする。

太った酔っ払いおじさんのジャケットに共感する

北陸のなかでも、滝ヶ原はかなりに田舎なのに、やってくる人の半分は外国人だという。口コミやAirbnb経由が多いらしい。そしてヤギや鶏の世話などの仕事をする代わりに安く宿泊できないか、という問い合わせが結構あって若者がいつも長期滞在をしているおかげで、賑わいがありかつ働き手にもなっている模様。

暖炉最高

お宿のお兄さんと暖炉前で話し込みつつ、夜は11時くらいに消灯。

二日目は朝7時40分、目覚まし時計の5分前にドーン!というものすごい音がして目が覚める。

な、なんだ、この世の終わりか??と思って起きたけどそれは雷で、そういえば石川県は国内でも有数の雷が頻繁に落ちる場所なんでした。この時期の雷は鰤起こし(ぶりおこし)とも呼ばれていて、雪が降って雷が鳴ると美味しいのにブリが捕れる時期のはじまりなんだそう。

カーテンを開けて窓の外を見たら、けっこうな雪が降っている。

あたり一面、一気に白くなっている

朝食はお宿にお願いしていたので作っていただいた。滝ヶ原ファームの庭で栽培している椎茸は旨味たっぷりで美味しくて、飼っている鶏の卵の目玉焼きも味が濃くて贅沢。福井から一人旅で来ていたお姉さんとおしゃべりしながら少しずつ目を覚ます。ちゃんと豆から挽いていれてくれたコーヒーを飲みながら話し込んでいると、10時近くになる。寒いし、雪も降ってるし、出かけるか迷う。もういっそ、終日暖炉の前で猫みたいに過ごすオプションもあるし・・・。(結局、近所のお寺や温泉ななどに行って活動的に過ごしたのだけど、その話は別途。)

朝食はボリュームたっぷり


やっとこさ宿に戻った二日目の夜。またお宿のみなさんと一緒にお料理をして鱈鍋とお刺身。スーパーのお刺身がうまい。

鱈鍋とお刺身で晩御飯


食後はフランス人の女の子に借りた水彩絵の具セットでお絵かきなぞしてみる。筆から水が出る仕組みで楽しくて、その場でAmazonにてポチっと購入。

最も減っていない絵の具だけで書いた適当な絵。水筆楽しい

食後、夜9時くらいにはスタッフの皆さんは別棟にある寝室に行ってしまい、この日は他にゲストもいなかったので私はひとりになる。大きな家に一晩一人ぼっちはちょっと怖い気もした。え?もう皆いなくなっちゃうの?と。

でも暖炉を独り占めさせてもらって、火の前で本を読みながらゆったりワインを飲んでいたら最高に幸せでもう何もいらないと思った。いや、正確に言うと暖炉が欲しいとは思ったのだけど、暖炉(とワイン)以外は何もいらない。そんなこんなで0時くらいまで薪を足しながら本を読みながら過ごし、消灯。

暖炉独り占めの贅沢

三日目の朝は、寒波到来でこの冬初めての本格的な積雪となった。来た時とは打って変わってあたり一面すっかり真っ白になってしまった。オーストラリア人男子は、ホワイトクリスマスは人生初だ、と雪の中を走り回っていてかわいい。この宿には黒い大型犬のクロちゃんもいるのだけど、彼(彼女?)もむしろ雪は楽しそうだった。

クロちゃん
雪の中のオーストラリア人男子。少年のような動き

お兄さんによると、ここに来る人はただ寝るだけじゃなくて、この場所にステイすること自体が目的で来てくれるから、ただの宿とはちょっと違うんだそうだ。確かに、それであればこそ、ただのすれ違いじゃない出会いがありそうな場所。

夏は川遊びも出来そうだし、家族で滞在するのも安くて楽しめそうなので夏にまた訪れたい。あるいは、寂しくない一人ぼっちを味わいたい時にここに来ればいいんだ、っていうのがわかってまた一つ豊かになってしまった。




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