冤罪で逮捕されるまで

はじめまして。
先日、窃盗(置き引き)容疑で現行犯で私人逮捕され、そのまま10日間留置所で過ごしました。
留置所での生活や取り調べの様子などの情報がネットにあまりなく、ご家族が逮捕された連絡を受けた方や、勾留が決まった連絡を受けた方に向けて、逮捕されてから不起訴で釈放されるまでの私と妻の体験を12日間について書いていきます。
私生活に影響を及ぼしたくないため、過度にならない程度にフェイクやボカシをいれさせていただきます。

逮捕されるまで

繁華街へ友人との飲み会に参加し、終電近くで最寄駅のある近郊のベッドタウン駅周辺へ移動し、飲み足りず一人で飲み直しました。
日が昇る前まで飲んでいて、その後、駅前のファストフード店でシメのご飯を食べました。
料理の受け取りと食器の片付けを客側が行うセルフサービス店だったため、ご飯を食べ終えたあとに提供カウンターの横の下げ代に食器を下げ帰ろうとしたところ、私の座っていた席の後方の席にビジネスバッグが置いてありました。
私が入店してから退店するまで人の動きを感じなかったこと、料理の受け取り時や食器を下げる際に人の動きがなかったこと、食器などがテーブルに置いてなかったことから咄嗟に忘れ物だと思い、バッグを持って店先に持ち主を探しに出ました。

このあと何度も取調官に言われることになりますが(そしてあとになって私もそう思いますが)、その時点でお店に引き返し、店員に渡しておくべきでした。当時はお酒が入って冷静に思考できなかったのか、その時点では「これを交番に届けてあげよう」「一日一善だな」と善意が動機での行動でした。

店先に持ち主と思われる人がおらず、家までの道中に交番があることからタクシーで交番に寄ってもらって帰ろうと、飲食店の目の前にあるタクシープールでタクシーを拾って乗り込み「◯◯通りをまっすぐお願いします」といつもタクシーで行き先を告げるときと同じように伝えました。

タクシーの扉が閉まる寸前に外から声が聞こえてきました。(なんと言っていたのかは聞き取れませんでした)

これもあとから何度も取調官に言われますが、通常の思考であれば持ち主である可能性が高い人物なのですが、当時の私の頭では、持ち主は既にバッグを忘れたまま帰路についてしまっており、交番に届ける使命感を持っていたため、外から声をかけてきた人物が被害者であるとは思いませんでした。

※今後、この声をかけてきた人物を被害者と呼ぶことにします。

外からタクシーの扉を開け、声を荒らげてバッグに手を伸ばしてきたことから、バッグを強奪されると思い込みタクシーの運転手に「早く出してください」と伝えました。

タクシーはその時発車しませんでした。
被害者の話している言葉も聞き取れずバッグの引っ張り合いになったのですが、善意で行った行為ながら変なことに巻き込まれたくなく、途中でバッグから手を放しました。運転手も面倒事に巻き込まれたくないからか私に降りるように声をかけ、私はそれに従ってタクシーから降りました。
降りると、もう一人20代と思われる人物がいました。被害者は50代だと思います。

※今後、この声をかけてきた人物を目撃者と呼ぶことにします。

二人いたことからすっかり私の頭の中では彼らがグルで、強盗グループかなにかだと思い込んでいました。
被害者は「私のバッグや」と主張し、目撃者は「お前やばいで」のようなことを言っていました。
被害者だとは思っていなかったため、被害者のバッグであるか判断できず、私は当初届けに行こうと思っていた交番へみんなで行こうと「交番行こうや!タクシー代出せよ!」と目撃者に対して何度も言いました。
被害者は「私のなので」と何度か訴えかけましたが、私はそれを信じられないから交番に行こうと押し問答が始まりました。
この時、被害者・目撃者がアルコールを摂取していたかはわかりません。

押し問答する中で、目撃者が「110番した方がええっすよ」と被害者に言ったことから、私も持ち主がハッキリするならその方がいいと思い、被害者に「110番してください」と伝えました。
その後も私と目撃者で言い争いをしていましたが、程なくしてパトカーが到着しました。私は言い争いの中で交番に行こうという主張ばかりしていました。

現場で被害者と目撃者、私はわかれて事情聴取を受けることになりました。
私は事情聴取に応じている中で「バッグの持ち主はあの人(被害者)だったのか」を質問し、警察官から被害者の持ち物であった旨の回答をもらい「じゃあよかった。持ち主に返ったんですね」と発言したことを覚えています。(加害者が何を言ってるんだと思われると思いますが、バッグを見つけたときから最後までずっと持ち主に無事に届いて欲しいと思っていました。)

途中から事情聴取の場所をパトカーの後部座席に移り、当時の状況や私の心境を警察官に伝えていたところ、警察官がもうひとり後部座席に乗り込み、手錠を手に取り逮捕する旨を告げられました。
善意からの行動で逮捕に至ることが納得できず抵抗しましたが、ドラマなどでよく聞く「あとは署で聞くから」と両手に手錠をかけられ、警察署へ運ばれました。

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