10年以上前にmixiで書いてた日記
※今回は廃墟一切関係ないよ〜
これは僕が大学2年生くらいの頃にmixiで書いていた日記です。
超久しぶりになんとなくmixiにログインして、昔の書き込みなどを色々見ていたらこの日記を偶然発見しました。読んでみたらなかなか面白くて、昔の自分結構やるじゃん…と感心したので、noteに移植して保存しておくことにしました。
全5話をひとつの記事にまとめたのでかなり長めです。
とあるレストランのキッチンで調理バイトをしていたときのお話です。
以下本文
1話
今日のバイト
極限の心理戦・・・・・・・!!
ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ・・・・・・・
今日のバイトは17時からだった
オーダーが入る
「チーズチキンカツ」
こいつの作り方はいたってシンプル
チキンを小麦粉→卵→パン粉
の順に浸しコンベアに流す
ただそれだけのこと
調理台をみる。
小麦粉
卵
・・・・・パン粉・・・。
パン粉が・・・・ない・・・・!?
食材置き場を探し回る
が、ダメっ・・・・!
パン粉見当たらず・・・・・!
店長に聞く。
パン粉無いってさ。
マジかよ。
でも昼間もパン粉なかったけど、チキンカツパン粉無しで作って客に出したらしい。
パン粉無しじゃ
もはやチキンカツでもなんでもないじゃん。
ただの焼いた鶏肉じゃん。
でも苦情1回も言われなかったらしい。
店長の言うとおりだった。チキンカツめっちゃオーダー入ってきたけど
パン粉無しチキンカツ、全然文句言われない。
余裕だった。
戦う土俵が違うのだ。
客はウサギ
こちらは銃をもった人間
圧倒的差・・・!
客からしたら勝ち目の無い闘い・・・・!
所詮お前らは踊らされる側の人間・・・・
2流っ・・・・2流2流2流っ・・・・!
そんな余裕をこいているとき
事件は起こった。
オーダーが入ってくる
「ミンチカツレツ」
・・・・・!
・・・・・ヤバい・・・・・!
ミンチカツレツはヤバい・・・・!
ミンチカツレツの作り方
ハンバーグに小麦粉→卵→パン粉
パン粉っ・・・・!
チキンカツにおけるパン粉の必要性とは比べものにならないミンチカツレツの圧倒的パン粉の存在感・・・・!
これはヤバい・・・・!
ミンチカツレツを注文した男・・・・・
出来るっ・・・・!
異才・・・!
悪魔的異才っ・・・・!
俺を潰しにきた・・・
もっとも強力なカードで・・・・・!
ここをどう乗り切るか・・・・
そう、えぬびーは感じていた。
己が心臓を鷲掴みにされているが如き恐れを・・・・・!
今まで俺が潰してきた人間たちとは違う・・・・・!
相手もまた銃を持った人間・・・・
異能・・・!まさに怪物的っ・・・・・!
両者の破滅を賭けた闘いが始まろうとしている・・・・・!
2話
パン粉無しミンチカツレツなんて
ただのハンバーグじゃないか・・・・!
しかしどうすることもできん・・・・!
こうなったら仕方ない・・・!
真っ向勝負よ・・・・!
オペ(調理)を開始する・・・・!
調理っ・・・・!調理調理調理調理ッッ・・・!!!
調理にとりかかるえぬびーに・・・策などと呼べる策はない・・・・・!
パン粉無しバージョンをコンベアに突っ込む・・・!
がむしゃらに突っ走るのみ・・・・!
たとえその先に待ち受けるものが・・・・・破壊・・・破滅・・・・死・・・!
それのみと知っていても・・・!
5分後・・・美味しそうに焼けたミンチが流れてくる
えぬびーは速やかに盛り付ける
そこで再び痛感するのだ・・・・!
ただの・・・・・
ただのハンバーグじゃんコレ・・・・・!
デミグラスソースを2倍くらいハンバーグにかけ、パン粉の存在感を薄くする
付け合わせのポテトを多めにしてパン粉の存在感を薄くする
ハンバーグの上に乗せる卵を多めにしてパン粉の存在感を薄くする
そこで再び痛感するのだ・・・・!
こんなことしたってこれは・・・・・
どうみてもただのハンバーグや・・・・!
誰の目にもそれはただのハンバーグであった・・・・!
この程度の策では敵の思考を上回ることなどできない・・・・!
脳裏に浮かぶイメージ・・・・・
敗北っ・・・・!
その先にある
破滅っ・・・・・!
うっ・・・
歪む・・・・・!
目の前が・・・・歪む・・・・・!
このままでは負ける・・・・・!
しかし策など無く・・・・・
だがそれでも・・・・
負けるとわかっていても・・・・
それでも料理を出しにいくしかないっ・・・・!
行け・・・・
行けっ・・・・・!
涙を拭い、えぬびー
暗雲立ち込む悪魔のもとへ・・・・・
出陣っ・・・・・・!
3話
脈動・・・・・!
鼓動・・・・・!
高鳴る・・・・
アツい・・・・!
客は男1人、女1人の2人組
チーズチキンカツを注文した雑魚から片付けたいところだが・・・・
最初にこの爆弾・・・・・!
元凶・・・・!
ミンチを通す・・・!
死んでも通すっ・・・・・!
「お待たせしました。ミンチハンバーグでございます」
そう、えぬびーの策
ミンチカツレツと言わず、ミンチハンバーグと言うことにより、「カツ」に必要とされるパン粉の存在を打ち消し、ハンバーグであると決め付けてしまうという強攻策であった。
しかし・・・・!
男も女も
「あ、それ私です」とか「こっちです」とか反応を示さない
なんだこの間は・・・
男が口を開く
「ミンチハンバーグじゃなくて・・・ミンチカツレツなんだけど・・・?」
しまった・・・!策が裏目にでた・・・
この男・・・細かいぜ・・・・!料理名にそこまで固執するとは・・・・・・!ミンチカツレツと言っておくのが正解だったか・・・・!?
「ミンチ」まで合ってるんだからいいじゃん
「それぼくです」でいいじゃん
気にすんなよ名前くらい・・・・!
名字さえあってりゃいいじゃん・・・!
(この間2秒)
えぬびー「あっ、そうです、ミンチカツレツです」
料理名をちょい間違っちゃったナーみたいな軽さを演出・・・・・!
力技だ・・・・!無理矢理通す・・・!
コトッ
何か言いたそうな男の前に無理矢理料理を置いた・・・・・!
これで一安心だ・・・・・
残る雑魚を蹴散らす・・・・!
「チーズチキンカツでございます」
コトッ
あとは伝票を置き
この場を離れれば終わりだ・・・・・!
そう思ったときだった
男っ・・・・・!
男、動くっ・・・・!
男「ミンチカツレツってさー
こんなんだったっけ」
破滅を賭けた勝負
その夜はまだ終わらない・・・・・・・!
4話
「ミンチカツレツって
こんなんだったっけ」
・・・・!?こいつ・・・何を言い出すかと思ったら・・・
それは・・・
それはミンチカツレツではありませんっ・・・・!ハンバーグっ・・・ハンバーグですっ・・!
俺は困惑した
どうすることもできなかった
最早これまでか・・・・・!
そう思ったときだった
女「それであってんじゃん
自分が頼んだものくらいちゃんと覚えといてよねー」
俺は呆気にとられた
この女・・・・
男「え・・いや、でもさ・・」
男、まだゴネる・・・!奴の目線の先は明らかっ・・・!デミグラスソースの間隙から見える、パン粉の無い剥き出しのハンバーグ・・・・!
女「いやいや、それでしょう」
女がこう言っている今がチャンスなんだ・・・
パン粉の有無を指摘されたら全て終わり・・・!水泡っ・・・!
どうすればいいっ・・・!どうすれば・・・・
―――――!!
そのときえぬびーに
ある閃きっ・・・・!
戦略っ・・・・!
あいつの人間性・・・
観察力・・・・
そしてこの女・・・
うまく使えば・・・
勝てるっ・・・!この勝負っ・・・!
勝てるっ・・・!勝てるっ・・・・!勝てるっ・・・・!
勝つ道ありっ・・・!
いや・・しかし・・・100%ってわけじゃない・・・・
思惑通り男が・・・こちらの策にハマってくれればいいが・・・
もし空回りして策が滑ったら・・・・
死っ・・・!死ぬこととなる・・・!
やめるべきか・・・
そんなことをせずとも今なら奥に店長が・・・
そうえぬびーが考えたとき
突然・・・
まさに突然・・・
直感すっ・・・!
雷光に打たれたように・・・!
キッチンで好き放題してるくせに・・・・
ホールにでたらすぐに逃げるなんて・・・
そんな姿勢では・・・
そんな姿勢ではダメっ・・・!
この勝負から逃げ出し・・・・生き延びたこの命で何をする?何が出来る?
無意味だ・・・!
そんな命に意味はない・・・・!
価値、0・・・・・!
勝つ道を今・・・・掴みながら・・・臆してそれを手放すようでは・・
ゴミッ・・・・!屑・・・・!
とても出来やしない・・・・・
1代でこの国の頂点へ上り詰めるなど・・・・!
そして・・・ここで逃げるなんて・・・・
日記的にどうなの・・・・!?
という予感・・・・
直感っ・・・!
得られない・・・
俺はチャンスを・・・自ら閉じているんだ・・・・!
おれの限界はここ・・・これどまり・・・と・・・・!
ほかの誰でもなく・・・・俺が・・・・俺自身が・・・・
見限っているんだ・・・自身を・・・その可能性を・・・!
区切っているっ・・・!
出来ることと出来ないこととに・・・・!
だめだっ・・・・!何をしている・・・・俺は・・・!
区切るなよっ・・・・・!
前だっ・・・!
まだ前っ・・・!
いけっ・・・!
閃きを無駄にするな・・・・!
越えろっ・・・・
恐れを・・・・!
躊躇を・・・・!
疑心を・・・・!
押しのけていけっ・・・・!
敵は今・・・
心を緩めている・・・・・
ないっ・・・!
これほどのチャンスは・・・・!
今だ・・・・・今、行くんだっ・・・!
さあ・・・・行けっ・・・・!
もう一度・・・・・
漕ぎ出せ・・・・・
勝負の大海へ・・・・・・!
勝つんだ・・・・・!
もう一度・・・・・
もう一度・・・・生き死にの博打っ・・・・・!
5話
ミンチカツレツを疑心に満ちた目で見る男に俺は言った・・・・
「こちらがミンチカツレツでございますが・・・・」
これで後には引けなくなった
退路を失った俺は前に進むしかない
男が感じるであろう
俺から迸るオーラ
それは
なにか料理に問題があったのだろうか、という疑問が6割・・・不安が3割
そして
なんか問題あんのかよ・・・・。こっちゃ忙しいんだよ、という
怒り・・・!
負の感情を1割・・・!
「負」を隠し味として言の葉に混ぜ込む・・・・・!
男はパン粉無しミンチカツレツに釈然としない感情を抱いている・・・・
が、所詮それまでっ・・・・・・!
料理が違うと確信できる証拠を奴は持っていないっ・・・・!
メニューも取り上げてある・・・・
写真で確認することも出来ない・・・!
そして奴の人間性・・・・!
証拠が無ければ動かない・・・動けない・・・・!
言い出せないのだっ・・・・・!
「パン粉は?」
の一言で勝利が確定するこの勝負・・・・
しかし言えないっ・・・
あの男には無理っ・・・・!
言えないのだっ・・・・!
ふふ・・・ふふふ・・・・!
惚けた老獪・・・・!
間抜けな人殺しっ・・・・・!
しかし男っ・・・!
まだゴネるっ・・・・!
「え・・・でも・・」
くっ・・・!
ヤバいか・・・・!?
そのときだった
女、動く・・・・!
女「それでしょー
それっつってたじゃん」
来たっ・・・・・・!
波っ・・・・ビッグウェーブッ・・・・・・・・・・・!!!
この女、はやく食べたくて仕方ないらしい
男の料理に興味はないようだ
それだ・・・・利用できるっ・・・・・!
男は俺だけではない・・・・あろうことか味方であるはずの女からも攻撃を受けているのだ・・・・・!
女の言動の後、すかさず男に言う
えぬびー「え・・と・・・・なにか・・・?」
この言葉・・・・
不安、疑問の割合は4・・・・・!
怒り・・・・1・・・・・!
そして・・・・
呆れ・・・・・・5っ・・・・・・!
そう
怒ることは出来ない
本来客と従業員との関係性とは絶対的なものであり
如何に理不尽なことであろうと従業員は客の召使い、奉仕者である
「怒」の感情など、決しておもてにだすことはしてはならない・・・・タブー・・・・・!
しかし同じ「負」でも・・・・
「呆れ」となると話は別っ・・・!
ゆるされる・・・・・!
勿論それは状況によるが・・・・
ゆるされてしまうのだ・・・・・・!!!
女が追い風となってくれている今・・・・この態度は許される・・・
悪者は男っ・・・!
間抜けは男っ・・・・・・!
そして男に異変・・・・・!
今まで疑心に満ちていた男の心に・・・・
「恐れ」が生じたのだ
あれ・・・・?俺が間違ってんの・・・・?
いやいや・・・
ていうかおれ悪者になってない?
という・・・「負」・・・・恐れの感情・・・・・!
一度芽生えた恐れはそう簡単に拭い去ることは出来ない
心の奥底に根を張り・・・・
勇気・・・・活力・・・・・運気さえも養分として吸い取り・・・・
グングン・・・・グングン成長っ・・・・・!
男の心に恐れという名の種が蒔かれたのを確信した俺は言った
えぬびー「ご注文の品は以上でお揃いですか?」
最後の修羅場だ・・・・・!
俺は恐れた・・・・
男のギリギリ・・・・・最後の声・・・・
死の淵での・・・・・・
最後の意地をっ・・・・・・・・!
女「はい、だいじょーぶです」
えぬびー「ごゆっくりどうぞー」
・・・・・・・・・・った・・・・・!
勝った・・・・・!
勝ったんだっ・・・・・・・!
えぬびーは勝利した
前半は危うい展開もあったが
後半では腹の減った女の存在に支えられ・・・
目の粗い戦略であったが・・・・
しかし・・・・・
ともかく・・・・
えぬびーはもぎ取ったのだ・・・・!
筆舌に尽くしがたい恐れを乗り越え・・・・・
男から・・・・・勝利をっ・・・・・・・・!
こうして伝説の夜は終わった・・・
そして翌日・・・・・
2月10日
俺は17時からバイトだった
店について俺が聞いたのは
またしてもパン粉が無いという言葉だった
だがなんの心配も要らない
ミンチカツレツをストップしてしまえばいいのだ
昨日みたいな闘い・・・・
そう何度も出来るものではない・・・・・・!
人間はそう簡単には捨て身になどなれぬっ・・・・!
次々とはいるオーダー
「チーズチキンカツ」
パン粉の無いチーズチキンカツを食べる客たち・・・
勿論・・・・苦情などないっ・・・・!
あるはずがないっ・・・!
クク・・・ククク・・・・
クククク・・・・・!
そうだ・・・
俺は狩る側の人間・・・・!
お前らはウサギっ・・・・・!
飛び跳ねていればよいっ・・・・!
ウサギッ・・・・・!ウサギッ・・・・!
まさにそう思っているときだった
ピピーピピー
オーダーの入る音だ
その料理名
「チキンのパン粉焼き」
・・・・・・ざわ・・・・・
・・・・・・・ざわざわ・・・・ざわざわざわざわざわ・・・・・・・・・・・ざわざわざわざわざわざわざわザわざわざわざわざわざわざわざわ・・・・・・・・・・・・・・!
完
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