愛の半分は秋にうしなう

行き止まりの朝から戻ってきて
坂の下で静止するボールのなかから夜空を仰ぐものがある
行き止まりの部屋の扉に貼ってある地図に迷いながら
散歩に出たきり帰らない犬をさがすときの夜だけがひろがる
離れればなくなる愛がかなしいという女のためにボールがころがる
舞い上がると夜空に捕獲されてしまう女のためにボールがころがる
歩いているうちに渡ってしまった川を見失っている

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