月日は悲鳴もなく閉じられる扉の一部か

どれだけの雨を運んできたのかしらない風の吹く翌日
となりのビルの屋上の球形の給水タンクと同じ高さで目をとじている
雲の切れ目には別の雲があり
光は来ない、光が来ない理由も来ない
私たちは、耳に残る濁音とともに
くりかえし瓦礫を運ぶトラックの軽油になって消費されたいと願った
翌日、それから翌日の翌日
月曜日の雨がまだ降っていた
地中の水となって咳込んで前屈みなったひとの背に噴水として降り注いだ
私たちもまた泣く代わりに咳込む
私たちは一冊の書物になって
冷やす雨が残る街路を去りたくないと熱の中で目をとじている
私たちは咳込む
一冊の書物の中にどれだけの雨が降ればいいのか私たちにはわからない

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