仮眠しかない丘から舞い上がる

飲み忘れた薬をもったひととなって商店街を縦断し
永遠に落下するもの、という言葉にくりかえしとらえられる仮眠しかない
冷えきった海水を汲んだ水筒をさかさにして
理由のない海を背にすると理由のない潮が背後から満ちてくる

仮眠しかない丘から舞い上がる土埃のように移動する午後しかない
途中で折れる文章では伝えられないものを追うために砂浜しかない

あいまいな川が流れ込んでいる
なにも言えない夜が過ぎ去ってもうすべてを語ってしまった朝がやってくる
めまいにも似た日射しにうたれているひとを川は見つめ返している
傘もさせない行き止まりの秋しかないし
愛の半分は秋にうしなう秋しかない


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