最後の駅を発ってから眠れ(2)
仮設住宅の隙間を通ってきたという風に背をおされて冬の地理が成る
廃校の屋根を見上げるたびに積もることのない雪をきみはゆびさす
積もることのない雪を見るたびに廃校の屋根をきみはゆびさす
思い出は切れ端となって死者のように近すぎる
引き出しから出てくる一行も書かれていない手帳の最初のページから引き返して私たちはここに至る
私たちは昨日の欠席者となって引き出しの中の一行も書かれていない手帳を開く
昨日の欠席者は積もることのない雪をいつも思い出す
それから記録されない一日をあなたと生きると記録する
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?