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拾遺詩編

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2017年4月の記事一覧

そこはすでに夏の窓枠

すぐそこ窓枠にまでもう夏がきていて
横断歩道が終わるまでいっしょに歩く見知らぬ同士ふたりに
よけられそうな初夏の小雨が降りかかっているのである
わたしはそのころ
雨粒ひとつひとつは打撃であり
その打撃から水が生じると考えていたが
虫たちもそう考えていたはずである

顔を見失うと声を見失うので
「声は顔から出てくる」というメモを残しておくが
見知らぬ同士ふたりのつかの間の横断歩道に初夏は開かれていた

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