偉大なる神たちよ、其方らは何処へ消えたのか。

私がまだ、某所で字書きをやっていた頃の某サイト、某アカウントを覗きに行ってきた。
ここももう、そろそろ潮時かなって。

雑に言えばいわゆる二次創作。だけどその時の私の熱量は半端なくて、今思えばあの頃が一番社交的で様々なことを手広くやっていた。

当時の私の書いた物語は、今見てもやっぱりなかなか気に入っている。逆に今こんな話はもう書けない。文体であったり、表現であったりーーー。当時そのサイトは全盛期を誇っていて、沢山の人がそこで毎日更新するそれを見るのが楽しみだった。なかでもお気に入りの作者が幾人かいて、時々話の合間に語られる日常生活の様子からするに彼女らはやっぱり私より一回りくらい大人だった。そんな偉大な作者たちが消えてからーー、もうどのくらい経つのだろう。私も更新しなくなって、どんどん非公開にしていって、今でも更新している人はもうきっとゼロに等しい。サイトのトップに現れるのは分かりやすく今をときめく流行ジャンルばかりで、その書き手の年齢やクオリティの低さに辟易する。

偉大なる神たちは、とにかく文才があった。純文学を書いても良い線いくんじゃないか、というレベルで、こんなところにいるのが勿体ない!というような人たちばかりだった。私もそのサイト、そのジャンルの書き手としてそれなりに人気を博していたが、到底神たちには敵わない。むしろ神たちから学ぶことばかりで、こういう表現やこういうミスリードの誘い方があるんだと心底驚いた。その頃は私もまだまだ一端の活字を読んでいて、近代文学から現在の受賞作まで幅広く知識を得ていた。知識を得るために読んでいたわけではなかったけれど、読むということは驚くほど脳に吸収されていく。自分の世界が広がって、気分が高揚する。それと遜色無いほどに神たちは偉大だった。驚くことに神たちはその大部分が主婦層で、字書きをやるのはこのサイトが初めてだと言う。

今から約10年ほど前、神たちは確かにそこにいた。私もそこにいて、神たちと共に鎬を削り、接触せずともお互い存在は認識している、そんな心地好い距離感に揺蕩っていた。

私はとうの昔に字書きからもそのジャンルからも離れてしまったけれど、神たちはどこで何をしているのだろうか。ひっそりとどこかで書き続けているのかもしれないし、そんなことは黒歴史だったと綺麗さっぱり忘れているのかもしれない。願わくば、何らかの文章を今でも発信していて、あわよくば偶然、それを目にしたい。

気ままにどうぞよろしくお願い致します。 本や思考に溶けますが。