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【海外】初の緊急事態宣言から一年。ライブ配信の市場どうなったか?【業界ニュース】


前回の記事で、「現状、ライブ配信は、ライブの代わりとしては成立しない」ということを書きました。

しかし、今は「投資の時期」だと思っています。

これまでの音楽動画と言えば、ライブDVDのような映像コンテンツが中心でした。
今のライブ配信は、それをリアルタイムにしただけなので、「貴重さ」や「臨場感」を感じることが難しいのです。
ライブ配信で得られる体験価値が、生のライブの体験価値に追いついていないのです。

そんな中、少し前ですが、こんな記事がアップされていました。

・ライブ・ネイションが有料ライブ配信に本格参入、スタートアップVeepsの買収はライブ収益化を加速させるか?
https://jaykogami.com/2021/01/17297.html

Veepsというチケット制のライブ配信のスタートアップを買収したというニュースでした。
世界最大手のプロモーターであるLive Nationの動きだけに、業界は注目すべきですね。

ライブ配信の今と今後について、海外の動きを踏まえて考えていきましょう。

ライブ配信の今

様々なものがテクノロジーの進化と共に変化・成長を遂げています。
当たり前のことですが、ライブは生の体験が大切なので、長らくライブ配信というものには価値を感じられない、もしくはライブとライブ配信は別物、という認識でした。

それは今も変わりはありませんが、ビジネスとして捉えた時には見方を変えなければなりません。

約1年前、日本で初めて緊急事態宣言が発出された後、ライブ・コンサート業界がパニックでした。
全ての活動をストップさせられたからです。ライブハウスがクラスターとされたことも逆風でした。
音楽業界はライブを全て止めざるを得ず、アーティストや周辺の産業はいきなり収入源を絶たれたのです。

そんな時に、少しでもライブを届けたい、という想いから有料ライブ配信をするアーティストが続々と増えてきました。

そして、この1年やってみた感想は「そんなに面白みがない」でした。

これは、出演者も視聴者も両方に言えることでした。
ライブ配信のメリットは「リアルタイムを共有できること」の他には、「現場に行く必要がないこと」や「売り切れが無いこと」そして、「座席位置を気にする必要がないこと」などがあり、実際そこに価値を感じて購入した人は多かったと思います。

しかし、前回の記事で書いたように、ライブの価値はライブそのもの以外にも、そこに至るまでのアプローチそのものに価値があり、そちらの比重の方がはるかに大きかったのです。

しかし、ライブ配信ではそれを再現するのが難しいのです。
違った形で映像の内容を追求することは出来るとは思いますが、まだそこまでは辿りついていません。

ライブ配信とライブの価値

「ライブ」と「ライブ配信」の価値は当たり前ですが、やっぱり別物です。
別物なら別物と割り切った価値を提供すればよいと思うのです。

今はライブ配信と言えば、ライブ生配信することです。
しかし、本質的にライブ配信ではライブの代わりにはなり得ないので、全く別の価値を提供する必要があります。

その内の一つが、コミュニケーションです。

今は、ライブ会場に行っても大声を出すことも、隣の人と方を組むことも出来ません。
ただ、そこにじっと立って(座って)、アーティストのパフォーマンスを受け取るだけになるのです。
アーティスト側にも勿論、手拍子や拍手、ライト等で応援することは出来ますが、やはり「歌を共有すること」が出来ないのは、非常に弱いです。
それがライブ会場の最大の魅力なのですから。

ライブ配信ではさらにコミュニケーションを取るのは難しいです。
声を届けることが出来ない(技術的には出来なくはないですが)のは勿論、アーティスト側からは参加者を観ることが出来ません。
ノッているのか、歌っているのか、その強さはどれくらいか、笑顔でいるのかいないのか、それが全く見えないのは、ライブと比べると圧倒的に情報量に差があります。

今は、コメントを弾幕で流せるようなLEDビジョンを配置したステージを持つ会場もありますが、この演出を使うにしてもアイディアが必要で、使いこなせている人はまだいません。

その内に、ライブ配信やっても旨味は感じられないし、そろそろ生のライブも戻ってきそうだし…という感じになっているのです。

ライブ配信の可能性について

しかし、ここは我慢のしどころかな、と思っています。
何故なら、私が提唱しているのは海外も含めた大きなマーケットを見ることだからです。

ライブ配信の最大の強みは「現場に行かなくても良いこと」です。

海外からでもアーティストのライブが楽しめるようになれば、ライブの代替品にはならなくても、マーケットは育つと思うのです。

何と言っても海外を視野に入れれば、母数が違います。
世界に目を向ければ単純に70倍のポテンシャルがあるからです。
日本国内で10万人のファンを持っていたとしたら、700万人に増える可能性もあるからです。

それこそ夢物語と思われるかもしれませんが、今の業界には夢がないことがそもそも問題なのです(笑)

おっきい夢みましょうよ(笑)
遅ればせながら世界最大のプロモーターLive Nationが、ライブ配信のスタートアップを買収したというニュースからもわかるように、世界のメインストリームもその可能性を感じているのです。

まだまだ改善の余地はあります。
視聴体験も、購入体験も、工夫する必要はまだまだあります。

しかし、ここで販売・購入のプラットフォームを持つことは、5G時代の新たなエンタメ時代の土台になり得るのです。
冒頭に述べた通り「投資の時期」だと思います。

これから、通信の速度が上がればVRのエンタテインメントが加速します。
これは没入感がまるで違います。とは言えまだまだ、という声も聞こえてきそうですが、時間の問題です。

10年くらいで、ほぼ生の体験と遜色ないレベルまで引き上げられると思います。
その時に、どれくらいのアーティストがこれらの技術を活用した新しいパフォーマンスを生み出すでしょう。

この時代になれば、日本の「ミクスチャー力」は最大限に発揮されると思います。

「ボーカロイド×ニコニコ動画」や、「YouTube×歌ってみた」、「歌い手×絵師」といった、最新の技術を使って、新しいエンタテインメントの形を作るのは、日本人は得意分野だからです。

VR時代の新たな演出のフォーマットを作るのは、間違いなく日本だと私は思います。

そうしたときに、このプラットフォームをどこが持つのか?
またGAFAが持つのでしょうか?

私は、SONYに期待しています。

コンテンツだけではなく、ゲームのようなハードも押さえており、しかもアメリカでの知名度が高く、なおかつ世界的にも知名度が高い、そんなエンタテインメント企業はSONYしか見当たりません。



来たる「本当のライブ配信時代」に、日本がトップを走っていることを夢見ています。

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