Frankfurt Opera Concert 1975(Baden Powell)-天衣無縫の演奏。

かなり以前に、とあるところに、ギタリストBaden Powellについて書いた。最近聴いていて再び強い感銘を受けたので一部加筆して再録したい。

本盤はBaden Powellが1975年にフランクフルトで開いたライブ盤である。ライナーノーツを執筆された中原仁氏によると、「60年代後半から70年代初めの最もノリに乗っていた時代のバーデンは、手がつけられないほどの神がかり的な勢いでぐんぐん弾きまくる天衣無縫の演奏を聞かせていた」述べられている。

私にとって印象深いのは代表曲「Samba Triste」のような代表作も、優れたアレンジだが、本盤の凄さは例えば「Imagens」のような曲である。豊かな発想と技巧の限りが尽くされもはや人間技では無い曲。イントロは青空を髣髴とさせるようなそしてゆっくりとしたテンポのフレーズが3分ほど続く。その後、ハイテンポなフレーズが入り、やがてはブラジル北東部の伝統的なリズムに移行する。途中のソロに大歓声が起きるが、バーデンはそのファンの声に応えるように、さらなる圧倒的で超絶的なパフォーマンスの高みを聴かせるである。

当時、ブラジルから起きたブラジルのアーティストはジャズとの融合を求め米国に渡った。一方ヨーロッパを活動の拠点としたバーデンの音楽性の花は実に豊かに開花している。まさに「手がつけられないほどの天衣無縫」である。

他にもしっとり聞かせる「Euridice」や「SE TODOS FOSSEN IGUAIS AO VOCE」など聴き所はたくさん。Baden Powellの真骨頂に触れることの出来る名盤である。

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