清沢洌評論集(山本義彦編、岩波文庫)

清沢洌(1890-1945)というジャーナリストがいた。

リベラルな論陣を張り、岩波文庫に、「清沢洌評論集」「暗黒日記」がある。

この清沢洌の評論に「甘粕と大杉の対話」という、甘粕事件を題材にした評論がある。

殺害された大杉が、獄中の甘粕の前に幽霊として現れるという内容だ。

この甘粕事件は、事件そのものも不可思議である。甘粕が狂信的な国家主義者で、大杉に一泡吹かせたいと思っていたとしても、殺害するというのは、当時の人々としても不可解だったと思う。

清沢洌はその不可解さをなんと「甘粕と大杉の対話」という形で表現した。

この奇想とも言える設定の対話が印象的である。

幽霊となった大杉に語らしめている内容に、当時の国際情勢が反映されているようで、興味深い。

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