見出し画像

疲労と回復(アクティブレスト)

 スポーツで思い切り身体を動かしたり、高い集中力を発揮したり、また仕事や遊びの後など、身体に疲労が生じることは極めて自然な生理反応であり疲労すること自体にまったく問題はなく、決して悪いものではありません。

 重要なのはその疲労を身体からより早く取り除きしっかりと回復させ、そして次の疲労を迎えるという理想のサイクルを回すということです。アスリートであれば、筋肉はダメージを与えることで成長するものと周知し日々疲労と対峙していると思います。スポーツのシーンでなくとも普段の生活からリカバリーを意識することは健康な体づくりにおいてもとても大切です。

 疲労のケアとしては入浴を長めにする、水分・栄養補給するなど、さまざまな方法がありますが、最も大切なのは休養の仕方であります。

 身体をしっかりと休める方法(消極的休養)が良いとされてきましたが、昨今では疲労状態でも積極的に身体を動かすことで血流を促し疲労回復効果を高めるアクティブレスト(積極的休養)が疲労回復法の主流となっています。これは、アスリートのように激しい運動をする人だけでなく、サラリーマンやOL、主婦など普段あまり身体を動かす機会が多くない人にとっても効果的とも言われています。

 血中乳酸値を測定した研究結果では、横になるだけの回復法と軽い運動によって血流を促す回復法を比較すると、20分の休養を取った時点での血中乳酸除去率は横になった状態20〜30%に対し軽い運動70〜80%と、2〜3倍の差が出ており、アクティブレストを行ったほうが疲労回復が早いことが判明しています。

 身体に起こる疲労は筋肉に疲労物質が溜まることが原因です。疲れている時に敢えて身体を動かすことで、血液の循環を促進し、酸素や栄養を効率良く身体に行き渡らせ、溜まった疲労物質を取り除いて疲労回復を早めるというのがアクティブレストのコンセプトであります。

 具体的な方法として、運動終了直後や試合の翌日に行うクーリングダウンにヒントがあります。アクティブレストにおける身体の動かし方は、「主運動と同じ運動を軽めに行う」という考え方が基本です。キャッチボール、ジョギング又はウォーキング、強度を抑えた試合形式のレクリエーションなどを行います。
 その意図としては心拍数を100〜120拍/分にとどめ、総走行距離を抑え、ハムストリングやふくらはぎに収縮をかけず、また筋だけではなく腱の硬さ(スティフネス)も解消したいといった目的があります。筋温を上げた後に、副交感神経を優位にさせる為に長めのストレッチやヨガなどを行うとより効果的です。

 ただし、アクティブレストさえ行っていれば良いというわけではありません。リカバリーの肝は睡眠と栄養補給であり、疲労回復には横になってゆっくりと身体を休めることやしっかりと睡眠をとることが非常に大切になります。アクティブレストは自身の身体に血液を循環させ疲労回復効果を高めるものです。身体をゆっくり休めることと適度な運動をバランスよく取れば疲労回復の割合は格段に上がっていきます。

いただいたサポートは挑戦するアスリートへの活動支援に使わせて頂きます。