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精神的疲労の原因を知り燃え尽き(バーンアウト)を回避しよう

 精神と身体のつながりについては余地が大きいのですが、精神的疲労が心だけではなく身体と相関していることはよく知られています。うつ病は、ホルモンや脳内モノアミンと呼ばれる神経伝達物質の不足から起こると言われています。その結果、体調面で不調を来たし、睡眠不足や食欲減退の症状が現れたりすることもあります。

 精神的疲労を感じる原因としては、心理的・身体的ストレスのいずれも考えられます。心理的な原因としては新しい環境に適応しようとした際にかかるストレスが挙げられます。例えば、年度が変わって進学や就職又は転職や職場内での異動などによって起こる上下関係の逆転や立場と周囲の変化、人によっては引越しを伴う生活環境の変化なども考えられます。

指導者や上司などが代わったことによる劇的な方針変更や取引先の担当交代など、お互いの接し方について戸惑うケースもあります。自身の周囲に取り巻く環境の大きな変化に適応すること自体がストレスとなり得ると考えられ、人間関係も精神的疲労になります。

 そのほかにも、ちょっとした体調不良やパフォーマンスの低下、成績不振自体も疲労につながります。精神的疲労と肉体的疲労とのどちらを先に自覚するかは個人に異なります。因果関係を証明するのは難しいですがストレスによって心身が疲労して、十分に疲れが取れなかったり、取り組んでいる事の精度の低下によって成績が落ち込む恐れがあります。

 多くの方が休むこと自体を不安に思い、オーバーワークや依存のような状態になることもあります。そうするとさらにパフォーマンスは低下し、回復が間に合わず、精神的疲労や肉体的疲労が蓄積する悪循環に陥ってしまいます。限られた期間の中で結果を残して期待に応えなければならないというプレッシャーを感じてしまうため、十分なケアが必要です。

 先行研究では、女性の方が男性よりメンタルコンディションに目を向けやすく、心理的不調を自覚しやすいそうです。健全なる精神は健全なる肉体に宿るという諺がありますが、精神的なストレスを抱えやすい人は心身共に強くあらねばならないと、無意識に強く思い込んでいることがあるようです。

そのような考え方は自身だけではなく、育ってきた環境や受けてきた教育などに少なからず影響されているようです。自身が持つ〇〇としてふさわしくあらねばならないといった強い自覚や意識は追求性の高さとして反映されます。そのために休息への不安や恐れがもっとやらなければという考えに至り、高い負荷が持続した結果、オーバーワークになるというプロセスを経ることがあります。

 精神的疲労の表現として代表的なものが、燃え尽き(バーンアウト)です。改善せず持続してしまう場合、継続が困難となる場合も出てきます。燃え尽きを防ぐために大切なことは、自身が「取り組んでいる意義」や「続けたい気持ち」を持つことが大切です。そのモチベーションこそが動機づけとなり日々の生活に意欲をかき立てます。

 すでに自身の中で動機づけが出来上がっている人は、精神的疲労にもうまく向き合える傾向があります。一方で周りから評価されたい、褒められたいといった理由であると伸び悩み壁にぶつかったときに動機づけが低下し、結果として燃え尽きといった精神疲労の蓄積やさまざまな不調が現れることがあります。

そのような状況で周囲の人が叱咤し無理やり継続させても精神的ストレスによって心身に異変が生じ、長期スパンで見た場合には良いことばかりではない恐れがあります。

 精神的疲労から守るためには、本当に好きなことを選択し、自己効力感を高め自身が「続けたい」と思うような内的動機づけを向上させる必要があります。精神的疲労は見た目では判断が難しい場合がほとんどであり、適切な対処・判断をするのは難しいものです。

 精神的疲労を自覚した際には1人だけでは完全に回復するのが難しい場合もあるので利害関係のない友人や家族などの身近な方々に頼り、ときには外来受診も視野に入れ包括的に精神的疲労と向き合って欲しいと思います。

 身体的・精神的ストレスが溜まっているからといって、ただ休養して回復に当てるだけでなく、今取り組んでいる事はどういうものなのかを、ほかの事象と比較する機会があることが理想的です。

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