その批判、切れ味が悪くない? by キンコン西野
このnoteは2020年6月9日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:みなさんにとって素敵な1日になりますように 山城 勇治 さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日は、
「その批判、切れ味が悪くない?」
というテーマでお話しします。
最近はすっかり無くなりましたが、もともと僕は週に4〜5回は炎上する「炎上芸人」でして、やることなすこと非難されてきた人間です。
なので、炎上業界の事情には詳しいのですが、…アンチの方の言い分は、『現象に対しての意見』ではなくて、「やることなすこと批判してやる」といった決めうち…つまり、『人に対する感情が言語化されたもの』なので、ロジックが伴っておらず、切れ味が悪いことが多かったりします。
たとえば、今から8年〜9年ほど前。
まだ世間がクラウドファンディングという言葉を知らなかった頃に、後輩の結婚式の開催費用をクラウドファンディングで募ったことがありました。
このクラウドファンディングの支援は、一口4000円で、リターン(返礼品)は「式に参加できる」というものです。
(※コチラ↓)
この時、アンチの方々から「結婚式で金を取るな!」という非難が殺到しました。が、「じゃあ、貴方が結婚される時は、どうぞ御祝儀はお断りください」と返事をしたら、全員が黙りました。
「そもそも結婚式というものが、自己負担とクラウドファンディング(参列者からの御祝儀)で成り立っている」ということを、そこで気づかれたのだと思います。
この時批判した方々は自分の結婚式で「御祝儀」という名目で、一人から3万円ほど徴収しています。
このように感情先行で出てしまった言い分というのは秒殺される運命にあります。
一時、『アンチ西野が騒げば騒ぐほど、「西野の言い分が合ってるじゃん」となり、西野ファンが増える』という自殺点が続く時期が実際にありました。
切れ味の悪い批判って、逆効果なんですね。
流石に最近は「やることなすこと批判される」ということも無くなり、アンチ西野と呼ばれる方も以前に比べると減ったように思います。
ただ、SNSのタイムラインを見ていると、(僕に対してではなく)「ああ、これは斬ろうとしているんだろうけど、切れ味が悪いなぁ」と思っちゃうコメントがあります。
それは、「オンラインサロン」というものを懐疑的に捉えている方(の一部の方の)の意見です。
イエスマンが多いわけじゃないよ
最初に僕のスタンスを明確にしておきます。
僕は、オンラインサロンというものに対して「NO」を出す人がいて当然だと思っています。
人の数だけ好みがあるわけですから、「私は、そういうものには興味がない」という人がいない状態の方が不自然です。
そして、もう一つ。
僕自身、様々なオンラインサロンに入らせてもらっていますが、めちゃくちゃ素敵なサロンもあれば、ひっどいサロンもあるんです。
「これで、月額3000円とるのかよ」というような(笑)
「こんな情報、ネットにいくらでも転がってんだろ」と思っちゃうサロンもあります。
要するに「ピンキリ」なんです。
ただ、それは、すべてのサービスがそうじゃないですか。
まずいラーメン屋さんが存在するからといって、「ラーメン屋」という形態が悪いわけではありません。
「そこは、分けて考えた方がいいよね」というのが僕のスタンスで、くれぐれも、すべてのオンラインサロンを肯定的に捉えているわけではありません。
その上でね、僕が気になっている批判(定番文句)があります。
それは、
「サロンメンバーは、サロンオーナーのイエスマンばっかりだ」
というものです。
想像で喋っている方もいれば、実際に御自身がサロンに入って、そのコメント欄を見て感じた本音を言っている方もいらっしゃるこかもしれません。
たしかに、サロン内のコメント欄は荒れません。
SNSのタイムラインと比べると、「わかります」の割合が多いと思います。
ただ、これに対しては、「イエスマンが多い」ということではなくて、「そもそも考えに共感している人達が集まっているんだから、そりゃ、肯定的な意見の割合は多くなるよね」という話だと思います。
たとえば、矢沢永吉さんのライブに行って、永ちゃんのロックで乗っているのお客さんを見て、「音楽にはヒップホップもレゲエもあるのに、皆、ロックで乗っている。ここは矢沢のイエスマンばっかりだ」という批判は成立しないと思うんですね。
もう、めちゃくちゃヤバイことを言っちゃってる(笑)
「いやいや、永ちゃんのロックが好きな人が集まっている場所だから」という話です。
永ちゃんのライブに納得がいっていない人は、永ちゃんのライブ会場に来ることを、すでに辞めているので。
同じように、オンラインサロンも「違うな」と思った人は辞めています。
「結婚式のクラウドファンディング」の批判の時のように、自分に置き換えて考えると分かりやすいかもしれません。
いつも一緒にいる友達の意見って、だいたい共感するじゃないですか?
そもそも、共感量が他の人よりも多いから、その人と友達でいるのだから。
「友達になる」という時点で、フルイにかけていて、意見の衝突量は減っています。
ただ、これがオンラインになった瞬間に、共感量が多い現場を見て「イエスマンが多い!不自然だ!」という疑問を抱いてしまう。
「評判を下げてやろう」と思って作為的に言っているのであれば冒頭申し上げたように逆効果ですし、意見の衝突の少なさに天然で違和感を覚えておられるのであれば、「揉め事があって当然」というSNS文化に少し毒されているのかもしれないなぁと思いました。
くれぐれもオンラインサロンの片棒を担いでいるわけじゃないですよ。
もう一度申し上げますが、ひっどいオンラインサロンは、ひっどいと思ってます(笑)
そもそも、僕らの日常は、反対の考え全てに声をあげるそんな「ゼロor100」の世界ですっけ?
僕は臭いタクシーに乗った時は「くっせえなぁ…」と思いながらグッと我慢しますし、肌が合わないスタッフがいたら、いちいち意見する前に、そっと距離をとります。
思ったことをすべて口にはしませんし、四六時中、誰かと意見を戦わせていません。
意見を戦わせた方がいい場面は戦わせますし、「考えは違うけど、ここは静観しといた方がコトが前に進むなぁ」と思った場面では、静観します。
そして、なるべく共感量の多い人と行動を共にします。
その方が生産性が上がるからです。
「サロンはイエスマンばっかりだ」と言っている人も、たとえば、この3日間…リアルな友達から「お前の意見には俺は反対だ」とは言われていないと思います。
じゃあ、「その友達がイエスマンか?」というと、そうじゃありません。
イエスマンが多く見えるのは、「そもそも考えに共感している者同士で集まっている場所だから」というだけの話だと思います。
というわけで、
「その批判、切れ味が悪くない?」
というテーマでお話しさせていただきました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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