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キンコン西野の自慢の後輩byキンコン西野

このnoteは2020年3月16日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:才式 祐久 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
キンコン西野の自慢の後輩
というテーマでお話したいと思います。

アイツは凄い!

僕らのチームの活動報告みたいになっちゃうのですが、

去年、パリのエッフェル塔で行った個展の制作の裏側を追ったメイキングムービーが今朝『西野亮廣エンタメ研究所』の公式 youtube チャンネルにアップされました。

この映像はうちのインターン生のおだっちが作ったものなのですが、うちのスタッフだからといって贔屓するつもりはなく、冷静にみてクオリティはまだまだなんですね。

僕はそれなりに厳しい世界で20年近く生きていて、結果を出せずに夢半ばで辞めていった連中を山ほど見てきたし、彼らが叶えることができなかった想いも背負っている。

それに、僕と一緒にエンタメで世界を取りにいっているスタッフさんたちの信用やブランドの問題があるので、やっぱり軽々しく「この映像が最高だった」とは言えないんですね。

話にならないです。

事実、インターン生から最初に動画が送られてきたときは本当に酷くてズッコケました。

エッフェル塔で撮った素材を雰囲気で繋いだだけで視聴者さんの感情曲線がデザインされていなかったし、映像や音の切り替わりのタッチがめちゃくちゃ乱暴で、こいつはもう車の運転もセックスも下手なんだろうなっていう感想を持ちました。

セックスが下手ってのはけっこう僕が口にすることで、一方通行の表現をする人に対してそう言うのですが、まあそういう感想を持ちました。

送ってもらったこの映像作品を受けて「そうじゃないよ」とか「ここはこうしてここはこうした方がいいと思うよ」っていう指示を伝えたら、そこだけをその通りに直してきて、

「 AをA’にしなきゃいけないってことは、 BもB’にしないといけないんだろうな」みたいなことを汲み取らないんですね。

指示に含まれているそういった部分を全く汲み取らない。もう言われたところだけ言われた通り直す、みたいな。

で、エッフェル塔の個展をやったのって去年の10月なんですよ。

会社としても、この個展にはけっこうな予算をつぎ込んだ大きなプロジェクトでしたし、それなりに話題にしたはずなんです。

そのためのメイキングムービーだから、「キングコング西野が日本人で初めてエッフェル塔で個展をしたらしい」という噂が回っている時に、まだ熱が残っている時に、この動画を発表するはずだったのに、いつまで経ってもできなくて、結果、発表するまでに5ヶ月もかかっちゃった。

もはや今だしても何の広告効果もない。ただの記録映像ですね。
身内が「こんなことやったね〜」と思い出すだけのただの記録映像です。

その上、5ヶ月待ったクオリティでもない。

本当に要領が悪くて、本当に不器用な奴だなぁ、と思いました。

でも、このインターン生のおだっちが素晴らしかったのは、腐らなかったんですね。この5カ月の間、腐るタイミングはおそらく何度もあったはずなのに。

要領が悪くて不器用なやつなのですが、「西野の時間を奪ってしまっている」っていう申し訳なさみたいなものもずっとあったはずで、同期が横でどんどん結果を出していって、新しく入ってきた後輩が早速ブイブイいわしていたりする。

そんな中、自分だけがいつまで経っても西野の期待に応えられないという状況で、まぁ逃げ出したくもなっただろうな、と思いました。

で、今僕が作っている新作の絵本『みにくいトーマス』では、主人公のトーマスっていうモンスターが、まあ口下手で不器用でどんくさくて、だけど腐らない。

おだっちみたいなやつなんですね。

その主人公のキャラ設定と被るって、つまり、応援しがいがあるということじゃないですか。

おだっちから送られてきた映像をみて「なんだよこれ」ってマジで何回も思いました。

ですが、「これどう伝えたらおだっちに伝わるか」「前こういうふうに伝えて伝わらなかったなぁ、じゃあこの角度から言ってみたら伝わるんだろうか」っていうことを、もうずっと頭抱えて「おだっちこうしてみたら」みたいなことを提案し続けたんですね。5ヶ月も。

これ、僕だけじゃなくて、うちの会社の上の人間みんな「じゃあこうしてみたら」っていうことを提案し続けたんですね。5ヶ月もですよ。

こんな奴の代わりを、ロボットやAIができるわけがない。

ロボットやAIっていうのは、もうちょっと要領いいし、もうちょっと優秀だし、もうちょっとこっちの仕事を減らしてくれるので。

おだっちと仕事すると、仕事増えるんですよ。だけど、「どうやったらおだっちに伝わるかなー」とか「こうしてみたらいいんじゃないかなー」とかいうことを思わせたわけじゃないですか。僕らに。

それって、今の時代、本当に素晴らしい才能だと思います。

僕らが応援をやめなかったのは、おだっちが何があっても腐らなかったから。

この春から、おだっちは、いったん外の会社で働くらしいんですけれども、外の世界もちゃんと見てみたいということで、すごくいいことだと思っています。

多分あの調子だと、社会に出たら最初苦戦するんだろうなということは容易に想像つくのですが、

でもね、僕らの会社は、いつおだっちが帰ってきても歓迎する。

その時、「外に出て戻ってきたんだったらちゃんと成長してんだろうな」っていう成長が確認できるように、不器用で要領の悪いインターン生が5ヶ月かけて作った不格好な映像作品はボツにせず世の中に残しておきたいということを思いました。

本当はボツですよ。仕事相手でこんな映像上がってきたら、5ヶ月かかろうが、予算いくらかけてようが、「そんなもん話になんねーボツだ「って平気で言う。

ですが、これはちゃんと成長が確認できる素材として残しておいた方がいいなと。

そういう判断のもと、youtube の公式チャンネルに、学生が5カ月かけて作ったもう本当にお恥ずかしい作品ではございますが、残しております。

おだっちが一生懸命作りました。
是非ご覧ください。

というわけで、
キンコン西野の自慢の後輩
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。



※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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