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キンコン西野が腰を抜かした「混ぜないインターネット」

このnoteは2020年5月15日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:市村よしなり さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

このラジオはvoicyという音声メディアに僕があげた音声を YouTube の方にもコピペてしております。

voicyは朝7時に投稿されて、 YouTubeは夕方の18時半に配信されます。

前までは両方とも朝7時だったのですが、YouTubeは18時半に配信されるようになりました。

これを受けて、YouTubeのコメント欄に「ちょっと西野さん、このラジオは朝に聴きたいです」みたいなコメントが届きました。

その方に一言いうのであれば、「朝に聞いてください」というところです。

18時半にアップしたからといって、別に18時半に聴かなきゃいけないということではなくて、YouTubeは別に何時に聞いても大丈夫だと思うので。朝に聴きたい方は朝に聴いていただいて、夜に聴きたい方は夜に聴いて頂いて。

それはもう任せしますというところでございます。

というわけで今日はですね、
「キンコン西野が腰を抜かした『混ぜないインターネット』」
というテーマでお話したいと思います。

これは素晴らしい!2020年上半期最大のヒットだ!

ちょっと話が遠回りしますが、これまでたくさんの人が「戦争は何故起きるか?」という問いと向き合ってきたと思うんですね。

これは非常に複雑な問題で、もちろん原因は一つではないと思います。

戦争が起こる原因の一つに「所有」というものがあると言われたりもしています。

もともと人類には狩猟採取の時代があって、この時代には戦争めいたものあまり起こっていなかったなどと言われているんですね。

確かに「腹減ったぞ、鹿を狩りに行こう」と、みんながみんなそうなっている時代なら、あまり争う理由もなさそうですね。まぁ、そんなことよりも鹿の肉とるぞという感じなので。

ところが 、日本だと多分、弥生時代とかその辺りの頃から、狩猟採集から農耕を中心とした暮らしへと変わったんですね。

田畑を耕して作物を育て、そして貯蓄した。という風に暮らしが変わったんですね。

それで、このあたりから「あれちょっと待ってよ」と。

「田畑を耕して作物を育てるよりも、誰かが耕して育てた作物を奪っちゃったほうがコスパよくね?」とか言い出した人がいた。

つまり、農耕によって土地というものが財産になってしまいました。

それで「財産をゼロから作るよりも、財産を奪った方が早いじゃん」って、多分、当時の東野幸治さんみたいな人が言い出したんですね。

それで、これが戦争の一つの原因などと言われています。

他にも、戦争の原因として言われているのは「宗教」とか、あとは「愛」が原因で戦争が起きたりもしますよね。

「愛する家族を殺したテロリストを私は絶対に許さない」という報復です。

これは、テロリストの側からしても「愛する家族を殺したアメリカを私は絶対に許さない」ということが起きている。

これは少し厄介ですよね。

「正義と悪」というものがあれば、まだシンプルだったのですが、この場合は正義の反対がもう一方の正義なので、どちらかが反省するとかそういうことはなくてですね。

「俺が正しい」「俺が正しい」とやり合うことによって、恨みが拡大再生産されてしまうと。

それで、こういった戦争の原因はいくつかのパターンに分類されると思うのですが、今ね、ツイッター上でみんなずっと争っているじゃないですか。

ある時は、高須院長と『ウーマン』の村本君。
ある時は、ホリエモンと東国原さん。

じゃあ、このツイッター上の戦争が起こる原因はどこに分類されるのか。
これはどうやら土地の所有ではなさそうですよね。

言い負かしたことによって相手のフォロワーを奪えるみたいなシステムはないので。

ではなぜ、ツイッター村は毎日争いが起きているのか。

これ考えられるとしたら、正義VS正義ですよね。
強者にも正義があって、弱者にも正義がある。

教室の後ろから突っ込む人にも正義があって、文化祭で張り切るひょうきん者にも正義があって。意見を発信する場としてSNSを利用している人もいれば、ストレスのはけ口としてSNSを利用している人もいる。

こういった相反する正義が一つの場所でごちゃ混ぜになってしまっているから、どうしても摩擦が起きてしまう。

だから、ツイッター上ではいつまでたっても議論が前に進まない。

それで、「こんな場所から面白いものが生まれるわけがない」と思って、僕は5年前にツイッターをやめて、自分の考えの発信先をオンラインサロンに絞ったんですね。

それで、ここに同じような考えを持った人たちが集うわけですが、そうすると、オンラインサロンのコメント欄って全然荒れないんですよ。

全く荒れない。もう何百件コメントが来ようが荒れないんですよ。

反対意見はありますよ。「私は違うと思います」と反対意見はあるのですが、それはそれで「今回は考え方が違うんだね」で話は終わる。

ここから口論になることはまさかない。
要は、コメント欄がめちゃくちゃ建設的なんですね。

そうこうしているうちに、僕のオンラインサロンの会員数が5万7千人を突破(2020年7月現在は6万人越)して、結構な規模になってきた。

ここでちょっと仕掛けてやろうと思って、サロン限定のツイッターをスタートさせてみたんですよ。サロンメンバーしか使わないツイッターです。

条件は、全員実名、全員鍵アカウント。
そして、全員サロンメンバーの鍵アカウントしかフォローしてはいけない。プライベートアカならぬ、サロンアカです。

これをやってみたんですよ。

これが5人位の規模ならばタイムラインがまあ流れないのですが、数万人で共有する鍵アカですから、普通にツイッターとして機能するんですね。

告知とかもちゃんと出来る。僕がつぶやいたら「いいね」が1000個とかつくんですよね。本当にツイッターとして機能しているんですよ。

これのなにがいいかっていうと、まずサロンアカを荒らすメリットが一つもないんですね。

みんな実名参加なので、汚い言葉でカミツキまくるみたいな人はいないんですよ。そんなことしたら自分が一番損するから。炎上商法が効かないということです。

要は、公式アカウントが「ごちゃ混ぜ村」ならば、サロンアカっていうのは、「混ぜない村」ですね。

混ざってないんですよ。ここには建設的な議論をしたい人しかいない。

これがめちゃくちゃ良くて、たとえばある人が「明日は早起きして息子の弁当作りがんばるぞ」みたいことをつぶやいたら、別の人が「頑張ってください」とリプを返したりするのですが、まったくの他人同志なんですよ。

同じ村の人というだけです。
だけれど「応援しあう文化」が出来上がっている。

これは、今サロンアカを経験している人の総意でもあると思うのですが、僕の意見では「こんなに優しいインターネットがあったんだ」ですね。

びっくりした。

そしてもう一つ。鍵アカってリツイートができないので、知りたくない情報が入ってこないんですよ。

つまり、あなたがAさんのことを指示していたとして、そのAさんはBさんのことを支持していて、そのBさんのツイートをリツイートしたら、あなたのタイムラインにBさんのツイートが流れる。

でも、あなたは別にBさんのことを良いとは思っていない。

ここで、自分とは違う価値観を仕入れることができるのは、ツイッターの良いところだったのですが、今回、サロンで鍵アカでリツイートができない世界を作ってみて分かったのは、僕らはこれまで見たくもない情報を飲み込んでかなり精神を削られていたということですね。

時々、それでイラだったりするんですよ。

だって、タレントの不倫とかに怒ってる人とかいますが、その人の人生において、そこでの怒りって何の意味もないわけじゃないですか。

ただその人の感情が削られて、ただ週刊誌がちょっと儲けるぐらい。

東出くんの不倫に延々起こっている人がいましたが、その時間要ります?

そんな無意味なことに時間を使って感情を削られるぐらいなら、目の前にいる大切な家族とかに時間を注いだほうがいい。笑ってる顔を見せた方がいいじゃないですか。

そもそも自分たちの時間を、感情を、いたずらに削っている張本人は誰だったかというと、リツイートですね。これが全く無くなった。

それで、俗世間の情報を飲み込みたければ本アカに行けばいい。ごちゃまぜ村に行けばいい。

ここの切り替えが出来るのと出来ないのとでは、生活が大いに違うということですね。

このサロンアカを僕らは「混ぜないインターネット」って呼んでおります。

これちょっとやばいですね。ぜひ一度経験してもらいたいです。

僕の2020年上半期の最大ヒットでした。めちゃくちゃ面白いです。
ぜひ試してください。

というわけで、
「キンコン西野が腰を抜かした『混ぜないインターネット』」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
じゃまたね。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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