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目先の数字は追わずに、ずっと作っている 【キンコン西野】

このnoteは2022年10月18日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。

 
 

僕自身も「数字」を追わなきゃいけない場面がある

 
今日は、為になる話とかじゃなくて、2〜3ヶ月に1度あるかないかの「あなたにエールを送る回」です。
 
もし良かったらお付き合いください。
 
 
僕らって、常に「不安」と隣り合わせじゃないですか? 
 
「食っていけるのかなぁ?」とかそういった類の不安と。
 
この不安を拭ってくれるもの(誤魔化してくれるもの)ランキングの堂々1位は「数字」だと思うんですね。
 
YouTuberさんだったら「再生回数」や「チャンネル登録者数」が伸びればホッとするだろうし、一般の方ならば「収入」や「貯金」が増えれば少し安心する。
 
なので、僕らは「数字」を追いかけて、「数字なんか追うな」と言われても、やっぱり不安だから追いかけちゃう。
 
あとは、数字を追いかける理由の一つに「自分の成長を『数字』でしか確認できない」というのもあるかもしれない。
 
 
僕自身も「数字」を追わなきゃいけない場面があります。
 
たとえば「映画」なんか分かりやすいですよね。
 
どれだけ良い作品を作っても、「興行収入」「観客動員数」がついてこなかったら、ゲームオーバーで、次はありません。
 
映画 えんとつ町のプペル』の場合だと、損益分岐点というか合格ラインが「観客動員数120万人」と言われていて(誰が言い出したか忘れましたが)、ここを超えないと僕らの挑戦は終わるところだったんです。
 
なので、「やれる努力は全部やる」と決めて、四六時中全国を走り回って、どうにかこうにかそのハードルを超えました。
 
最終的には196万人ぐらいの方が劇場に足を運んでくださいました。
 
これは「僕も数字を追いかける時がありますよ」という話です。
 
 

厄介なことは、日本の数字を追えば追うほど…

 
ただ、ことエンタメにおいて、すべての場合に当てはまるわけではありませんが、いくつかの場合に当てはまってしまうチョット厄介なことがありまして…それは何かというと、「日本の数字を追えば追うほど、世界が遠のいてしまう」です。
 
これは日本と海外(主にアメリカ)を行き来するようになってから本当に痛感していることなんですが…日本人の僕らを安心させてくれる数字は「共感」が出発点になっているものが多くで、なので僕らはついつい「共感獲得合戦」に参加してしまうわけですが、「日本人の共感」ってかなり特殊なので、世界からは共感されないんです。
 
生まれた時からそれだったから麻痺してしまっているけれど、そもそも「日本語を話せるのは(ほぼ)日本人だけ」とか「日本語を話せたら食っていけるから、日本語しか学ばない」という環境が特殊すぎる。
 
「島国」というのもありますし、くわえて「人口」がちょうど中途半端なんです。
 
人口がもっと少なかったら「さすがに英語ぐらいは話せるようにならなきゃ生きていけないっしょ」となるし、人口がもう一桁多かったら「これでいいじゃん」となると思うのですが、その間だから「見通しは明るくないけど、ギリ食っていける」みたいなところ根を張ってしまう。
 
 
ニューヨークでミュージカル『えんとつ町のプペル』のリーディング公演を繰り返して、現地のキャスト&スタッフと同じ釜の飯を食って、観に来てくださった関係者の皆様からフィードバックをしては、「文化の違い」を思い知らされます。
 
ニューヨークでやるには、当然、コアな部分は持ちつつ、ニューヨーク用にチューニングしなおさなきゃいけなくて、その作業は「翻訳」だけじゃないんですね。
 
「彼らがどういう歴史を辿ったから、今、その感情を持ち合わせているか?」みたいなことをたくさん自分の中に入れなきゃいけない。
 
その上で、作品を作り直すんです。
 
僕は昨日の夜も『えんとつ町のプペル』を作っていたのですが、気が付いたら、この作品を作り始めてから10年が経っていました。
 
それでも、「世界の定番にする」には、まだまだ完成していなくて、なんか今日もヒーヒー言うてます。
 
 
日本で「数字で結果を出せ」と言われたら、僕、比較的得意な方だと思うのですが、そこに時間を充ててしまうと、僕らが目指しているゴールから遠退いてしまうので、食い繋いでいけるだけの数字だけ出して、あとはアトリエに籠もって、筆を走らせています。
 
 

「自分のゴールに辿り着く為のアプローチをしよう」という人へ

 
今、日本とアメリカを行って来いしている中年の本音を叫びましたが、ただ、これって、僕に限った話じゃないと思うんですね。
 
「世の中は数字を求めてくるんだけど、数字を出したことによって得られるものは『刹那的な安心』で、それが、もっと先の自分を支えてくれるものじゃないことは薄々気づいている」という人って、結構、多いと思うんです。
 
「だけど、目先の数字を追うしかない」という人もいれば、「目先の数字は諦めて、ちゃんと自分のゴールに辿り着く為のアプローチをしよう」という人もいる。
 
 
僕は後者の気持ちが分かって、今日の話は、どちらかというと後者に向けて話しています。
 
お互い置かれている状況が全然違うので、何か具体的な解決策はないのですが、「僕も似たような感じで踏ん張っています」という言葉をエールにかえさせていただきたいと思います。

まぁ、今後も時々、10分間かけて「頑張ろう」というだけの回がありそうな気がしますが、それによって「一人じゃない」ということが伝われば嬉しいです。
 
 

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