見出し画像

この現代で生き残りたいのなら○○を持て by キンコン西野

このnoteは2020年3月23日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供: ビッグファイブさん 

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「この現代で生き残りたいのなら○○を持て」
というテーマでお話したいと思います。

大局観とは何か


以前も少しお話ししたことがありますが、大局という言葉があります。

大局というのは、物事の部分的な勝ち負けではなく、全体の有様・成り行きのことです。勝負事というのは、この大局を見ることが非常に重要です。

例えば、値上がりしたり値下がりしたり、上がったり下がったりを繰り返しながら少しずつ価値が上がっていく株。ジグザグジグザグしながら、徐々に右肩上がりで勝ち上がっていく株があったとします。

この時、上がったタイミングで株を売り、下がったタイミングで買うといったことを繰り返す人がいますが、上がったり下がったりしながらも最終的に価値が上がる株ならば、最後の最後まで売らないのが正解です。

この時見なければいけないことは、その株のその日の上がり下がりではなく、「この株は最終的に上がる株なのか否か」ということです。

まさに大局を見なきゃいけない、全体のこの流れを見なきゃいけないのです。

ここを見通す力を大局観と言ったりします。

これは戦国時代から何も変わってないと思いますが、基本勝負事というのは大局観を持っていないと勝てなかったりします。

一箇所が攻め込まれているからといって、その都度うろたえて本軍を動かしているようでは勝つことはできません。この大局観を柔らかい表現に直すと、全体の大まかな流れを見て判断するということですね。

これが非常に重要です。

自分の商品を持て

さて、ここからが今日の本題ですが、YouTube というものが出てきて、今は人の数だけテレビ局ができましたが、このことによって時代全体はどのように流れるのか、全体像を捉えておくことが非常に重要だと思います。

この全体像を捉えた上で行動しないと「 YouTube で稼げるの?じゃあやる!」といったような、浅はかな結論を出してしまって負けてしまうということが起きます。

これは、僕が20代前半の頃に覚えた違和感なのですが、当時僕は、テレビの人気者をやっていました。スケジュールは月曜日から日曜日までレギュラー番組で埋まっていて、日本で一番視聴率を取っていた番組もやっていました。20代ですごいですね。

ただ、ある時からそんな毎日に違和感を抱き始めました。

『はねるのトびら』という番組では、超人気俳優さんを招いてコーナーをしたり、『音楽戦士 Music Fighter』という音楽番組でアーティストさんを招いてトークをしたり、『たべごろマンマ』という番組では食材を紹介し、食材やお店を紹介するなど、人気者のように僕は使われていたのです。

ただ、よくよく考えてみると、僕はずっと商品を紹介していたのです。なるべく面白く商品を紹介するのは、テレビでの僕の仕事だったのです。

そして、この時紹介した商品というのは、ゲストに来られた俳優さんのドラマだったり、映画だったり、ゲストに来られたアーティストさんの CD だったり、どこかの農家さんの食材やお店でした。

つまるところ、他人の商品だったのです。自分の商品ではなく、他人の商品をずっと紹介していたということです。

この時の本当の勝ち組というのは、俳優さんや、アーティストさん、農家さんやお店さんだったわけです。彼らには、テレビで面白いことをしたプラスして商品が売れるというポイントが入っています。

そこで、僕は商品を持っている人の強さというものを知り、「なるほど、あっち側に回らなきゃいけないんだ」と、その後大きく舵を切って、絵本という商品を作り始めました。

今では、ゴッドタンなどの特殊な番組を除いては、基本、絵本かオンラインサロンといった商品を紹介していただく時のみTVに出ています。相方の梶原君も同様に、基本は自分の YouTube チャンネルを紹介していただく時のみ、テレビに出させてもらっています。

ただ「出て」という番組には出ていません。「出させていただくんだったら、これを紹介する時間を設けてもらう」とか、そのような交渉をした上で出させていただくようにしています。

僕はこれが非常に重要だと思っていて、まさに大局の話ですが、テレビにしても、YouTube にしても、お金の出所はスポンサーさんからの広告費です。

YouTube によって国民一人一人が TV局を持つ時代に入ったからといって、
地球の人口が増えたわけではありません。消費者が増えたわけではないのです。

発信者が増えて、細分化されると、一人の発信を見る人の数は基本減るので、スポンサーさんはそこにお金を出さないでしょう。広告効果が低いところに広告費を出さないのは当然です。

これはすでにテレビの世界ではもう起きていて、今テレビの制作費はグンと落ちています。つまり、テレビに支払われる広告費が落ちているということです。

当然、制作費の中から捻出されているTVタレントのギャラも落ちています。これがいきすぎると、「毎日テレビで見るけれど、全然稼いでいない」といったことが起きるかもしれません。これは極端な例なので、そこまで稼いでないことはないでしょうが、これと同じような事がいずれYouTube でも起きます。

配信者が増えれば YouTube 全体に落ちる広告費は増えるので、ニュースでは「今、YouTube に落ちてる広告費がすごい!」ということばかりが取り上げられがちです。しかし、パイが大きくなれば、落ちる広告費も増えるかもしれませんが、基本は一人あたりに落ちる広告費は減ります。

増える人も当然いますが、減る人もいるので、勝ち負けがすごく明確になってくるでしょう。発信者が増えると、基本一人に落ちる広告が減るので、 YouTube の広告収入をあてにすることは良くありません。

『はねるのトびら』に出ていた人気俳優さん、『音楽戦士 Music Fighter』 に出ていたアーティストさん、『たべごろマンマ』に出ていた農家の方、及びお店の方のように、自分の商品を持った上で、それを売るために YouTube に出るというスタンスを取れる人が強くなってくるはずです。

むしろ、それをしないと、ここからは厳しいのではないかというのが全体の見通しです。

結論として、「商品を持った方がいいよ」というお話ですが、自分が売るものを持たずに広告費の世界を生き延びていくのはかなり厳しくなってくると思うので、商品は持っておいた方がいいと思います。

もちろん今回お話ししたのは、大局の話であって、部分部分では、そうではないケースが出てきますが、大まかな全体の流れは「なんとなくこっちの方に行くだろう」と頭の片隅において、ご自身の人生設計をしてみてください。

というわけで、
「この現代で生き残りたいのなら○○を持て」
というテーマでお話しさせて頂きました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
興味がある方はコチラ↓





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?