【キンコン西野】『買って利用する人』と『仕入れて売る人』

このnoteは2021年2月26日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:プペルを毎日みたい30プペ中のロム専 しおはらたつろう さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

本題に入る前にお知らせをさせてください。
『映画 えんとつ町のプペル』の公開から二ヶ月が過ぎて、そろそろ上映が終了する映画館が出てくる頃ですが、ありがたいことに、新しく上映がスタートする映画館がいくつかございます。

まずは、本日(2月26日)から上映がスタートするのは…


【2/26から上映開始】
神奈川県横浜市 ムービル

千葉県旭市
旭サンモールシネマ

沖縄県宮古島市
よしもと南の島パニパニシネマ



そして、来週(3月5日)から新たに上映がスタートする映画館は…

【3/5より上映開始】
長野県伊那(いな)市
伊那旭座

兵庫県赤穂市
プラット赤穂

鳥取県倉吉(くらよし)市
倉吉シネマエポック


…の3館でございます。

 
そして、今も、「ウチの地元の映画館でもプペルを上映して欲しい」という運動が各地で起きていて、もう、本当にありがたい限りです。

絵本の頃まで振り返ると、「分業制で作る」と発表した時は、ファンの方からも反対意見がたくさん挙がって、もともとは、誰からも求められなかった作品なので、今の状況は、ちょっと感慨深いものがあります。

この状況は皆さんに作っていただいたものなので、本当に、全力で恩返しさせていただきます。

昨日、サロン内で発表させていただきましたが、取り急ぎ、日本の「地方」を盛り上げる運動を始めます。

「地方創生」に興味がある方はチェックしてみてください。そこそこ有言実行の人間なので、たぶん、結構頑張ると思います。


そんなこんなで今日の本題です。

今日は少し踏み込んだ話をしたいと思います。僕が8年も9年も前からやっていることについてです。


たとえば、さっき言った「『ウチの地元の映画館でもプペルを上映して欲しい』という運動が各地で起きている」という話。

実は今日から沖縄県・宮古島で始まる『映画 えんとつ町のプペル』も、東宝さんがクジか何かを引いて「次は宮古島!」と決めた訳ではなくて、宮古島の皆様が動いてくださって、いろんなところに掛け合ってくださって、上映に至っているんです。

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ちなみに、どうですか?

「あの映画を観たいから、ちょっと地元の映画館に呼ぼう」と思ったことありますか?

たとえば2019年に韓国で公開されてメガヒットを記録して、その翌年に日本でも公開された『エクストリーム・ジョブ」という面白い作品があったのですが、日本では上映館が少なくて、観られた方はそこまで多くなかったと思います。

でも、すっごい面白いんです。

これを聞いてどうですか?
せいぜい考えて「DVDが出るのを待とう」ぐらいで、「地元の映画館で上映してもらうように働きかけて、地元の映画館で観よう」とは思わなくないですか?

思わないですよね。
つまり、「映画の上映の決定権は自分には無い」と思い込んでしまっている。


でも、『映画 えんとつ町のプペル』は沖縄・宮古島の例もそうですが、「地元の映画館で上映してもらえるように働きかけよう」という運動が実際に起きている。

これって「西野のファンが熱狂的だから」ですか? 本当?

それが理由なら、ジャニーズの方が主演を務められている映画で、毎回、同様のことが起きていると思いません?

旬なイケメン俳優が勢揃いしている映画で、同様なことが起きていると思いません?

熱狂度やファンの多さでいうと、中年芸人&絵本作家と、ジャニーズさんやイケメン俳優さんは比べ物にならないハズです。

ここが今日の本題です。

皆、何かしら商品を売っているじゃないですか?

アパレルブランドであれば「洋服」だし、クリエイターさんであれば「作品」だし、タレントなら「自分」を商品としてそれぞれ売っています。


この時に整理しなきゃいけないのが、「商品を買う人は2種類いる」ということ。

「商品を買って利用する人」と「商品を仕入れて売る人」です。

 
一昔前までは、「商品を仕入れて売る人」といえば小売店さんでしたが、でも今どうですか?

SNSがありますよね? メルカリがありますよね? 

お客さんが発信力を手にしていて、販売力も手にしている。


……という時代に入っているにも関わらず、「商品を買って利用する人にしか商品を売ってない」という人が多い。

「一般の方に売る」ということで頭がいっぱいになっていて、「一般の方に仕入れてもらう」ということに頭が向いていない人って、多くないですか?

でも、たとえばアパレルブランドの『シュプリーム』はどうでしょう?

新作が発表される度に、多くのお客さんがシュプリームの新作を求めて、店の前に行列ができますが、その直後に、メルカリで出品されていたりしませんか?

 
あの現象を整理すると、シュプリームは「商品を買って利用する人」にも売っているし、「商品を仕入れて売る人」にも売っているということですよね。

お客さんが発信力を手にして、お客さんが販売力も手にしているから、こういうことが起きているわけですが、もう一つ…お客さんの頭の中に「シュプリームの新作を売る」という発想があるから起きている。

ブランド品には「仕入れて売ろう」という発想があるじゃないですか?
だから、「商品を買って利用する人」にも買ってもらえるし、「商品を仕入れて売る人」にも買ってもらえる。

ですが、

たとえば「タレントを仕入れて売ろう」という発想って無くないですか?
「ウーマンラッシュアワーを仕入れて、売ろう」という発想って無くないですか?

 
その発想があるのは各地元の興行主さんだったり、地元商店街を盛り上げたい商店街の会長だったり。

そういう人達が芸能事務所に掛け合って、ギャランティーを交渉して、地元に呼んで、チケットを販売したりしている。

 
だけど、一般の方で、そういうことをする人はまずいない。
一般のお客さんは、まさか個人がタレントを地元に呼べるなんて思っていない。


これは、売り手が「発想させていない」からです。

「私は一般の方でも仕入れて売ってもらって構いませんよ」というプレゼンをしていないからです。

「あ。ここだな」と思って、僕、8〜9年前に「商品を買って利用する人」だけにキングコング西野という商品を売るのを辞めたんです。

 
クラウドファンディングのリターンで「キンコン西野の講演会を開催できる権」を出して(販売して)、一般のお客さんでも仕入れられることを見せたんです。


映画の上映も、これと全く同じ発想です。

「映画って、僕たち私たちでも、地元の映画館のオーナーさんに掛け合って、条件さえ揃えば、地元に呼べるものなんだ」と思ってもらうことが大切で、それは売り手側のプレゼンですね。

いろんな人が、あの手この手で、いろんな商品を売っていますが、「『商品を仕入れて売る一般のお客さん』に買ってもらう」という前提が抜け落ちている人が結構多いなぁと思って、今の時代をボンヤリと見ています。



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