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勝ち組になりたければ○○を持てbyキンコン西野

このnoteは2020年5月11日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:森 祐介 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
「勝ち組になりたければ○○を持て」
というテーマでお話したいと思います。

「論破」では意見は通らない

みんながSNSやYouTubeで「個」で発信するようになって、「個」で発信する人が特別な存在ではなくなりましたし、「個」の発信は見つけてもらいづらくなったと思います。

5年や10年くらい昔ならば「あの人、普通にOLなのに自分の意見を発信してる」というだけでポジションをとれていたりしました。

ところが、今は誰だってSNSをやっているし、みんなYouTubeのチャンネルを持っているし、そういう時代だから、「個」の発信というものは珍しくなくなりました。

そして時代は「個の時代」から、「集落の時代」になってきています。

今は「個」で発信する人同士が、互いを「同じ集落の人」として、贔屓するようになってきています。

オンラインサロンなんかまさにそれで、例えば、僕は仕事を外注するときにサロンメンバーさん以外に頼むことってほとんどないんですよ。

先日、キングコングで『えんとつ町のプペル』のカバー曲のPVを撮ったのですが、それもサロンメンバーさんがやっている映像会社さんに「この予算内でお願いします」とお願いして撮って頂いたんです。

今、テレビで流れている『キャリオク』の CMの撮影スタッフも、全部サロンメンバーさんなんですよ。

ちょっと考えられないですよね。現場に来てくださったメイクさんも、現場でケータリングの昼食を出してくださったのも、サロメンバーさんのお店です。

考えてみればそれはそうだよねって話なのですが、肌が合うかどうか分からないサロンメンバー以外の会社の人に、わざわざ仕事を発注する理由って1ミリもないんですよ。

よくわかんない人に仕事を外注して「もう肌が合わない全然駄目でした」みたいなバクチをする理由が一つもない。

どうせ仕事を頼むのなら、個性は違っても「おもしろいことしようよ」「優しいことしようよ」「楽しいことしようよ」と同じ方向を向いている人に頼んだほうが合理的で、今、自分はそんな感じになってきています。

同じ集落の中で、仕事やお金が回っているという状態ですね。
日本人が日本人に仕事を発注しているような感じです。

基本的には、自分と同じ言語を扱う人に仕事を発注したほうが仕事がスムーズにいくじゃないですか。

そうなってくると当然、同じ集落、同じコミュニティ内で、グルグルグルグル仕事を回すので、コミュニティ内での立ち振舞い力、コミュニケーション能力は、リアルに決め手になってくると思うのですが、ここで持っておいた方がいいのは「負け顔」ですね。負けてる顔、もうここです。

これはもう芸人同士で話すような内容なのですが、「負け顔」を持ってる人と、持っていない人で、やっぱり、相手から話しかけられる量が全然違うんですよ。

例えばね、あなたが誰かをいじるときに「いやいや、それはこうだからこうに決まってるじゃん」ってムキになって言い返してくるA君と、いじったときに「ごめんって、もう恥ずかしいからもうやめて」って返してくるB君がいたら、当然、その瞬間に負けてくれるB君をいじることを選ぶじゃないですか。

だって、そもそも揉めたくていじってるわけじゃないのでね。

言いくるめたくていじっているわけじゃなくて、この場を盛り上げようと思って、いじっているわけじゃないですか。

ならば当然、その瞬間に負けてくれるB君を選びますよね。

それで、ここだけを切り取ると「都合のいいやつになれ」という結論になってしまうのですが、そうじゃないんですよ。

じゃあまた別の機会に、A君とB君、どっちの意見を聞くかと聞かれた時に、おそらくあなたはB君の意見を聞きます。

あの日あの時、あそこで面白いゴールを切るためにあえて負け側に回ってくれたB君の意見をあなたは聞く。

一方、面白いゴールを後回しにして、持論でマウントを取りにきたA君の話は聞かないですよね。

芸人の中でもあるんですよ。そこはムキになって言い返さずに「追い込まれてぐうの音も出ない」という表情で落とせよっていう。

『南海キャンディーズ』の山ちゃんってすごい口が達者で、彼のポテンシャルならば、言い返そうと思えばいくらでも言い返すことができるのに、時々ちゃんと追い込まれてくれるじゃないですか。

「なんかもう言葉が出ない」みたいなことをやってくれるじゃないか。「今負けてまーす」「技決まってまーす」というプロレスをしてくれるじゃないですか。

「ここは技を食らった方が盛り上がるんだから技を食らおう」という選択をしてくれると。

そういう人ってやっぱり、すっごい信用できるんですね。

視野が広いから。対局で物事を見ているからです。

そのような、状況によって「負け顔」を出してくれる人が発する「ここはこうしたほうがいいかもね」という意見にはもうすっごくパンチ力がある。

たぶん、その人は自分のことだけではなくて、全体を考えてその意見を出してくれるから。それで、そういう人のところには人が集まる。

昔、『ガキの使い』のトークコーナーで『ダウンタウン』の松本さんが、とにかく口からでまかせのデタラメなことを、次から次へと発して、それに対して、浜田さんが、振り回されながら突っ込んでいくのですが、時々、松本さんが次のデタラメが思いつかなくて、浜田さんに追い込まれる瞬間があって。

それで、浜田さんの質問に対して「何がですか」という時間稼ぎをする瞬間があったのですが、あの瞬間に、あの松ちゃんの「負け顔」が見られた瞬間に、僕ら世代はみんな松ちゃんに恋したんですね。

僕は当時、中学生だったのですが、「松ちゃんかわいい」と思っていました。

「負け顔」って、やられているようで実はシュートを決めているんですね。

あの瞬間の松ちゃんには点が入っていました。しかも結構大量得点。

『朝まで生テレビ』に出てる人たちの意見って全然入ってこないじゃないですか。聞く気にならないですよね。言い負かすことが目的になってしまっているので。

『朝生』で口論になっているときに、誰か一人でも「あ、確かにそう言われるとそうですね、すいません僕さっきちょっとテレビなんで張り切ってカッコつけちゃってました。さっきの一旦忘れてください」って言える人がいたら、その人の意見は聞きたいですよね。

その人が次に発する「ただやっぱりこれだけは僕思うんですけど」は、絶対に効くじゃないですか。

「負け顔」を持つとは、そういうことですね。

「負け顔」を持つことは、人とコミュニケーションをとるときに、最も重要なスキルだと思います。

『2ちゃんねる』のひろゆきさんとか、あの人はそもそも「論破しよう」みたいな感じでやってるじゃないですか。

僕はひろゆきさんと番組で何度もご一緒させて頂いているのですが、「論破モード」に入っている時は問答無用で論破するんですよ。

言い分として間違っていても、なんとしてでも論破するっていう、そりゃあもう多分エンタメとして論破しているのだと思いますが、ところが、論破の番組ではなく、コンサルの番組にご一緒させて頂いたときには、やっぱりひろゆきさんは論破しないんですよ。

「ああなるほど」「確かにー」みたいなことを、普通に言うんですよ。

その後にひろゆきさんが出す「いやでも、これはこうかもしれない」というようなことは、やっぱりすっごい耳に入ってくるんです。

「負け顔」を、受け身を1回とってくれたので、余計に声のボリュームが大きくなっている。

コミュニティの中で生きようと思った時に、「負け顔」を思っていることは非常に重要だと思います。

というわけで、
「勝ち組になりたければ○○を持て」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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