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これまで以上に『理念』が大事になってくる by キンコン西野

このnoteは2019年12月6日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:都 美也子さん

おはようございます。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
「これまで以上に『理念』が大事になってくる」
というテーマでお話ししたいと思います。

舞台『ハリー・ポッター』はスゴい!

いまの時代、あらゆるサービスの質が上がって、たとえば飲食店にしても、どの店でも美味しいっていう感じで質が均一化されてしまっているんですね。

こうなってくると、
お店を検索するときに機能で検索するのではなくて、
誰が働いてるお店か?とか、誰が働いてる店にお金を落としたいか?
っていう『人検索』になってくる。

とはいえ、
サービス内容によっては人が表に出ない仕事もあるじゃないですか。

スナックはお店の人が前面に出てますが、ラーメン二郎は店員さんと喋ってコミュニケーションをとる雰囲気じゃなかったりするし。

そういうラーメン二郎のようなお店やサービスは、
人じゃなくて店とか会社にファンをつけなきゃいけないんですね。
で、その時に必要なのが『理念』。

今日はこの『理念』について、深掘りしていきたいと思います。

僕、毎年ニューヨークに行ってブロードウェイのショーを観て回るんですね。

アナと雪の女王とハリーポッターのミュージカルをみたんですけど、
ふたつのショーにすごい差を感じたんですよ。

まず、アナ雪のミュージカル。

エルサが魔法を使うとき、壁をさわると壁がプロジェクションマッピングで
バーってなって凍るんですね。お客さんはそれをみて「すげーっ」てなる。

でも、ずっとそれの連続なんですよ。
エルサが魔法使ったら、プロジェクションマッピングの演出。

アナ雪のすごい有名なシーンで、エルサが魔法で雪の階段をバーってかけるシーンがあるじゃないですか。 あのシーンをブロードウェイのアナと雪の女王は映像でやっちゃうんですよ。

もう、魔法表現のほとんどがプロジェクションマッピングだったんですね。

率直な感想としては「映画のほうがいいなぁ」と思いました。
映像をみるのであれば、映画のほうがクオリティ高いし。

一方、ハリーポッター。

ハリーポッターは舞台オリジナルのストーリーなんですけど、これが本当に秀逸でした。

魔法によって場面転換をするシーンがあって。
時間がタイムスリップするのか、ワープするのか、ちょっと忘れたんですけど、そのシーンでセットにある時計が反転し始めるんです。

グルグルグルグルって回り始めてスピード上がって、
もういよいよワープするぞ!ってなった瞬間にですね。

ステージ上の美術セットや小道具の輪郭にだけ、プロジェクションマッピングで光を当てて、一瞬だけ美術品の輪郭がボワンって揺れるんですよ。

たったそれだけ。
でも、それだけで時空が歪んだ感じが表現されているんです。

結局、プロジェクションマッピングを使ったのはそのシーンぐらいでした。

ハリーポッターって、アナと雪の女王と同じで魔法の話じゃないですか。
魔法表現むっちゃあるんですよ。

だけど、残りの魔法表現は映像に頼らず、
手品や舞台セットを駆使して表現していたんです。

ここにハリーポッターの制作陣の『理念』をみました。

「映像作品ではなくて、舞台を作るぞ!」って。

猛烈にキュンとしましたねー。

映像がいくらでも使えるこのご時世に「僕たちは舞台表現をするんだ!」っていう覚悟。これが唯一無二で。

結局、僕はふたつの舞台をみて、ハリーポッターチームのファンになったし、また観に行きたいと思った。

「理念」って大事ですよ。

僕のやってる『西野亮廣エンタメ研究所』というオンラインサロンでいうと、3万2000人(放送当時。2020年4月現在は4万8000人)のメンバーがいて、そんなに人数がいたら、ビジネスを始めるハードルって比較的低いんですね。

だけど、思いついたことなんでもかんでもやっちゃダメなんですよ。

ハリーポッターチームが「ここ映像でいけばおもしろいかも?」って思いついたかもしれないけどやらなかったように、思いついたこと全部やっちゃダメなんですね。

理念っていうのは
『何をやらないか』を決めることで生まれるから。

ハリーポッターチームだったら、
「映像表現をやらない」
っていうふうに決めたことが理念なんですね。

たとえば、キングコング西野の場合でいうと、
僕自身はすごいやりチンで、エロに関しては興味があるんです。

でも、だからといってエロをビジネスにしてしまうと、
キングコング西野の目的がずれて応援しづらくなると思うんですね。

エロ需要で一瞬は売上あがるかもしれない。
だけど、応援者が減るから長期的にはマイナスであるということですね。

いまの時代、さまざまなサービスが出揃っているし、どれも質が高いので、『応援する理由となる理念』を大事にするべきなんです。

人が前に出るサービスだったら人を売った方がいいし、人が前にでないサービスであれば「理念」を大切にしていった方がいいと思います。

というわけで今日は
『これまで以上に理念が大事になってくる』
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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