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キミの意見は何故通らないのか? by キンコン西野

このnoteは2020年5月16日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:ポジティブなニュースをあなたのもとへオヤジ&宇宙 松本浩二 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「キミの意見は何故通らないのか?」
というテーマでお話しします。

「好き嫌い」と「正しい間違っている」は別物だ


議論の進め方についてのお話です。

僕はいろんな仕事をさせてもらっていて、今であれば、映画『えんとつ町のプペル』を作ったり、絵本を作っています。今は、新作を3冊同時進行で進めていて、他にはブロードウェイのミュージカルのプロジェクトをやったり、オンラインサロンの運営もしています。

すると、それぞれで議論を行うわけです。映画を進めるにしても、絵本にしても、本当にたくさんのスタッフと議論を進めていかなければいけません。

オンラインサロンにしても、会員数は58,000人もいるので(※2020年5月時点。7月には6万7000人)、メンバーの考えは一つではないんです。当然、5万8000通りの考えがあります。

なので、炎上はしないものの、コメント欄には「いや、私はその考えとちょっと違います」、「僕はちょっと違いますね」というようなことが普通にあったりします。そういった方々と、議論を進めていかなければならないのです。

一方、僕は非常にヤリチンなのですが、これまでに、キングコング西野の写真が売られるみたいなことはありませんでした。エッチした女の子から、恨みのラインが公開されるということはあまりないですよね。

ここもやっぱり、アフターケアがしっかりしているからで、そもそも何故ああいうことが発生するかというと、女の子の方からちょっと恨みのようなものが生まれているからだと思うんです。

ハニートラップなど、ハナからハメる目的であるのはさておき、恨みみたいなものが発生してしまうから、ああいう事件が起きます。

やっぱりみんな人なので、感情でカーっとなることがあるでしょう。なので、口論になることもあります。その時に、良いところに落としどころを作らないといけないわけじゃないですか。

仕事にしても、恋人関係にしても、夫婦関係にしても、その時の『議論の進め方』はすごく大事なお話です。

とかく、人と人が議論する時に持っておいた方が良い軸は、「正しいか間違っているか」ということと、「好きか嫌いか」を分けて考えるということです。

この2つは、全然違います。

例えば、政治に対して、「俺が税金払ってんだからもっと金出せよ。不足してるんやったら、お金刷ったらええやろ。日本はそれができるやろ」という意見は、正しいかもしれません。
でも、僕はその姿勢があまり好きではない。
「やれることをやった上でそれ言ってる?」と思ってしまうからです。

休みの日に昼まで寝て、起きたと思ったら、ワイドショーつけてタレントの不倫とかにとやかく文句言ってる人もいれば、土日も朝からド深夜まで働いて、「こういうもんだから」と累進課税を受け止めて、黙々と税金を納めている人もいます。

僕の友達には、ホームレスから上場企業の社長まで幅広くいるものですから、その両方のタイプを見ています。リアルな話を言うと、それぞれが納めている税金の額もおおよそ想像がつきます。

なので余計に、「何かあれば政府がすべて問題を解決するべきだ。そのために税金を払っているんだから」という考えは、あまり好きにはなれません。

これに対して、「いや、だって、こうでこうでこうでこうで、法律にはこういう書いてあって、日本のお金のシステムってこういう流れになってるんだから」という正論を返されたところで、こっちが好き嫌いの軸で話をしているので、平行線にしかなりません。

問題は、話している本人も、「いま好きなことを話しているのか?それとも正しいことを話しているのか?」を分かっていないケースがあることです。

当然、言い返す側も「いま好きなことを話しているのか、それとも正しいことを話しているのか」が分かっていないケースがあります。

ここを整理しないと、お互いのことを理解できません。

「分かり合えない」ことを分かり合おう

でも、これにはめちゃくちゃ簡単な解決方法があります。
まず、4象限のフレームを書きます。4象限というのは、縦軸と横軸が『+』の形になっている図です。

縦軸を「好き」・「嫌い」にします。上に行けば行くほど「好き」で、下に行けば行くほど「嫌い」。
横軸を「正しい」・「間違っている」にします。右に行けば行くほど「正しい」、左に行けば行くほど「間違っている」。

まず、このようなフレームを作ります。

例えば、さっきの話をこのフレームにはめ込むと、僕の言い分は、正しいかもしれないけれども、嫌いだということを言っているので、右下の方に位置します。
間違いなく、一番下にべたつきで、右にちょっと寄っている。僕の言い分は右寄りの下になります。

これに対して、「政治はこうでこうでこうでこうだからこういうものだろ」という反論は、「正しい」に振っているので、右にべちゃんとついている。
ここで見えてきますよね。

主に、この2人の意見は、高さがずれています。僕の意見の右上の方に、相手の意見がある。

そして、議論を進めるには「何がどれぐらいずれているか」を把握しておかないと、ただの喧嘩になってしまうんです。このままで言い合いをしても、ずっと平行線です。

「自分たちの意見が今どこに位置しているのか?」ということを可視化することによって、分かり合えないことが分かり合えるじゃないですか。

つまり、この場合なら相手側が『嫌い』にならないと、意見は近づかないわけです。下に来ないと意見が合わないでしょう。

ここで、「これはルールだから好きとか嫌いとかじゃねーんだよ」と言い張ってしまうと、高さは変わらず、分かり合えません。
逆に言えば、僕がもうちょっと『好き』になっていかないと、議論は平行線です。
でも、僕はこれを好きになることはありません。

ということは、「僕たちは分かり合えないんだね」ということが分かり合える。それで、分かり合えないということが分かり合えたら、「じゃあ、この2人が議論を前に進めるためにはどうすればいいんだろうか?」という次の一手を打つことができます。

ここが非常に重要だということです。

試しに、 Twitter のタイムラインの口論を見てください。
多くが、「好き嫌い」か「正しい間違っている」が整理されていないまま、意見をぶつけ合っています。

「これ単純に、好き嫌いで言っちゃってるんだろう」と思われるツイートが結構あります。しかし、そのままでは議論は終わらないので、全く無駄であるということです。

なので、相手の意見が今どこにあるのか、自分の意見がどこにあるのか。そして、自分はこの意見をもうちょっと上に上げることは可能なのか、もうちょっと右に寄せることは可能なのか、を考えた方が良いでしょう。

「いや、やっぱり僕はこれは好き嫌いで言うと、好きにはなれないな」というところがあるのであれば、そのこともちゃんと相手に説明する必要がある。

そうすると喧嘩にはなりません。
「違うんだね」と言うだけで、話は前に進見ます。

人の考え方は、基本的に違うんです。意見が合致するのは、結構まれなケースで、基本的には違うと考えた方が良いです。

大事なのは、「どれぐらい違うのか」ということを分かり合うということですね。これが、議論の進め方です。

これを持っていると持っていないのとでは全然違うので、誰かと喧嘩になった時は、一度このフレームを使ってみてください。

というわけで、
「キミの意見は何故通らないのか?」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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