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映画「えんとつ町のプペル」の届け方

このnoteは2019年11月7日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
提供:丸山 隼人さん

おはようございます、キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、本作家をしたり、
国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

優しい誘い方

「コミュニケーションとるときは、他者目線を持ちましょう」
っていう話を、よくさせていただいています。

質問するときも、
「自分が聞きたいこと」を質問するのではなくて、
「相手が話したいこと」を質問するとか。

僕の、最近の悩みは何かっていうと…
「一人の時間」が本当にないんですね。

「会おう」って言われるんですよ。

1日に5件〜10件くらい食事のお誘いがあって、
当然、物理的にそんなに食事にはいけないですから、お断りするんです。

基本的に僕、夜は空いてないんです。
夜は、作品をつくったりだとか、次回作の構想を練ったりとかする時間なので。

なんとか時間を作って「この日はもう、人と喋るぞ!」って決めた時は、
大体オンラインサロンに投げて、そこでコミュニケーションをとってるんですね。

それで…
毎日5件〜10件くらいお誘いをお断りするのが、結構、ストレスで。

自分に声をかける人ってことは、LINEを交換しているような人達ですから、
僕、その人のことが基本的に大好きなんですよ。
嫌いではないし、喋ってても居心地はいいんです。

けど…
物理的に時間がないから、断らざるを得ないんですね。

やっぱり締め切りはあるし、新作を作らなきゃいけないし。

別に僕お酒そのものが好きなわけではなくて、
面白い話や新しい挑戦するのが好きで。

そのために飲みに行くっていうんだったら、全然いく!っていう。
その順番でお酒を飲んでいるので。

「ただただ飲みに行く」とかって、全然興味がないんですね。

それで、毎日断るんですよ。
「その日は、ごめんなさい。」
「今日はこれが入ってましてごめんなさい。」
「ごめんなさい」「ごめんなさい」
…これ、断わり続けるだけでも、結構な体力がいるんです。

そこで一番困るのが、

お断りしたあとに、
「じゃあ、いつなら空いてますか?」
って言われるんですよ。

このコメントって、本当に優しさがないな、と思っていて。

「じゃあいつなら空いてますか?」っていうのは
大前提として、もう「時間を捧げること」が決定してしまっているわけじゃないですか。

だって「いつか」は空いてるんで。

でも、それを全部、捧げていってしまうと、
「僕一人の時間」っていうのは当然なくなりますよね。

それで、「じゃあいつなら空いてますか」っていう人に対してやっぱり思うのは、
「なぜ、あなたに時間をささげることが、決定してしまっているんだ?」
っていうことですね。

これ、けっこう冷たく聞こえるかもしれないですけれども…

やっぱり「誘う側」が持っておかなきゃいけないルール、マナーとして、
「相手に断らせずに、やんわりと話を消滅させる」
っていう優しさは、持っておかなきゃいけないなと思いますね。

相手の予定を聞いて「いつなら空いてますか」っていうのは、
もう逃げ道がないじゃないですか。
「絶対もう私と飲みに行くことが決定している。今日なのか、今日じゃないなら、いつなんですか?」っていう。
で、それをどっちも断ることって、難しいと思うんです。

人を誘ってる以上は、やっぱり「自分がフラれる」って言うことは受け入れなきゃいけないし、フる方も体力がいる。
だから、「フるコスト」を向こうにかけてしまっちゃダメで。

声をかける時点で、相手の時間を奪っているんだから、
「断らせずにやんわりと話しを消滅させる」っていう選択肢を用意したうえで、
「今度、ご飯行きませんか?」って言った方が、優しいと思います。

人を誘うときに一番言っちゃいけない一言は、
「いつ空いてる?」です。
これはもう、よっぽどな関係じゃない限り…厳しいですね。

やっぱり「誘われる人」っていうのは、本当に誘いが集中してるから。

たとえば、あなたが「あの人とご飯行きたいな」って思っている人は、
いろんな人からご飯に行きたいなと思われている。
だから、その人は、実は「むちゃくちゃ断り続けている」っていう苦労を背負ってるってことを考えてあげると、すごく優しいと思います。

そんなことを、今朝は思いました。

…というわけで。
今日は、全然違う話なんですけど、

映画「えんとつ町のプペル」の届け方、
というテーマでお話ししたいと思います。

みんなで作る

冒頭から、なんだか熱っぽく語ってしまいました…。
でも、けっこう切実な問題でね。

やっぱり自分が新作を作らないと、たくさんのスタッフさんの生活がストップしてしまうので。
作んなきゃいけないんですよね。

「考える時間」って、ほしいんです。

だから、夜はあんまり飲みに行きたくないし、
「ひとりの時間がほしい」っていう、悲鳴でした。

さて本題にうつります。


昨日、映画『えんとつ町のプペル』の会議がありました。

昨日は、
「声優さん誰にする?」だとか
「広告戦略どうする?」といったことを話しました。

改めて申し上げますと、
絵本『えんとつ町のプペル』は映画化が決定していて、
来年12月ぐらいに、映画公開が決まっています。

制作は、もうスタートしているっていう状況ですね。


それで、この映画『えんとつ町のプペル』を、どうやって届けていくか?

自分の中ではいろいろ、
「こんなのはどうだろう?」みたいなアイデアがあるので、
みなさんと共有していきたいと思います!


まずは、知っている方もいらっしゃるかもしれませんが、
絵本『えんとつ町のプペル』と映画『えんとつ町のプペル』は、内容が違うんです。

同タイトルだし、同じ世界観だから、
大枠は当然一緒なんですけど。

ただ、絵本の『えんとつ町のプペル』は、
映画『えんとつ町のプペル』を見てもらうための「ふり」であって、「チラシ」なんです。

そして、すごく驚かれるんですけど、
絵本『えんとつ町のプペル』には、まだ「物語の主人公」が出ていないんです。

絵本『えんとつ町のプペル』で出ているのは、脇役。
「ルビッチくん」っていう煙突掃除屋と「ゴミ人間」っていうのは、主人公ではないっていうことです。

…まぁ主人公っていえば主人公なんですけど、
「話の一番柱にいる人物ではない」っていうことです。

『えんとつ町のプペル』のど真ん中にいるのは誰かというと、
煙突掃除屋のルビッチくんのお父さんの「ブルーノさん」という人です。

このブルーノという人が、『えんとつ町のプペル』という全体の物語の芯なんです。

で、これを描くのが、映画『えんとつ町のプペル』なんです。

当然、物語の始まり方も終わり方も、絵本とは全然違います。
絵本で描いているところは、「全体の2割」ぐらいで、そこから前後に物語が付きます。

で、まず押さえておかなきゃいけないのは…
このことを知らない人がほとんどなんです。

つまり、絵本の読者の方も
「あれはあれで完結してんじゃないの?」
って思っている方がほとんど。

なので、まずやらなきゃいけないのは、

映画のポスタービジュアルで、「絵本と映画、全然違いますよ!」っていうのを可視化する必要がある。

そのために、
「絵本には出てこなかったキャラクターを出す」のか、
それとも、
「このシーン何?!みたいなのを出す」のか。

映画では、すっごいびっくりするほどの「爆発シーン」とか「何百人規模の乱闘シーン」があるんですけど、
そういう、
「えんとつ町のプペルに、そんなシーンあった?!」みたいなのを、
表に出して行ったほうがいいいいんだろうな。

そうすることによって、絵本『えんとつ町のプペル』を読んだ人が、
「あ、絵本と映画は、内容が違うんだ!じゃあ見に行こう。」
っていう風になるので。

「映画と絵本は違う」、「ストーリーの軸は一緒なんだけど、全く一緒ではないですよ!」
っていうところは、謳っていったほうが優しいだろうなって思ってます。


2つ目は、「ポスターデザインのデータをフリーにする」。

つまり、誰でも映画『えんとつ町のプペル』のポスターを刷れるようにしておいて、
データをフリーにしてしまって、自分で取り込んで何百枚でも刷れるようにする。
もちろん、ポスターの販売もしないで。

自分で刷ってもらって、
お部屋だとか、ありがたいのは自分のお店とか、
そういう人目につくところに貼って頂けると嬉しいです。

これまでだったら、運営側が映画がポスターたくさん刷って、
「ポスターを貼らせてください!」
って一軒一軒まわっていたんだけれども。

それをやめてしまって、
「ポスターデザインのデータをフリーにして、一人一人に刷ってもらう」
…という風にしてみてはいかがだろうか、と。

で、このへんの許可はすべてとれております。


3つ目は、
制作過程をお客さんと共有するために、
私、西野亮廣が『えんとつ町のプペル』のストーリーを映画館でしゃべる全国ツアーを開催する。

全都道府県の全映画館をそれぞれ回って、ストーリーを口頭でしゃべる。

やっぱりよくよく考えてみると、
僕「おしゃべりができる」ってすごい武器なので。

うしろで、その時点で完成している映像を流しながら、バーっとストーリーをしゃべるっていう全国ツアーを映画館でやろうと。

で、こういうイベントって、5年後10年後、30年後はできないわけじゃないですか。

西野が、映画『えんとつ町のプペル』をつくっている期間にしかできないエンターテイメントです。
つまり、同じ時期・同じ時代を生きた人にしか体験できないイベントになる。

こういうのは、実は完成品よりも価値が高いんだろうな。

「制作過程を共有する」のは、すごく価値が高いと思うので
この全国ツアーを、来年の春あたりからスタートすると思います。


4つ目は、「映画の予告編」ってありますね。
15〜30秒くらいで、映画の内容をまとめたような。
その予告編を、映像素材を「フリー」にしてしまって、お客さんに作ってもらう。
そして、それぞれYouTubeに挙げてもらう。

それで、一番いいものを作ってくださった人にダイレクトに連絡して、
「はじめまして、西野です。いいの作ってくださって、ありがとうございます!これ使わせてもらっていいですか?」って。

もちろん、使用料もお支払いして。

つまり、これまでだったら「運営が予告編を3つくらい作る」という感じだったんだけど、
映画の予告編が1,000個くらいあると、面白いかもしれないなって。

つまり、基本的には「みんなでつくる」っていう。
これ僕の得意技だと思うけど、
みんなを巻き込んで、みんなの作品にしてしまうっていう風にしてしまう。

映画自体を、もう「息子のピアノ発表会見に行く」みたいなことにする。

するともう、みんながそもそも制作に携わっているから、

オープニングで『えんとつ町のプペル』っていうタイトルがバーンと出た段階で、
もう、感極まるんじゃないかなーと思って。

やっぱりその感動って、制作過程を共有したから生まれると思うんですね。

なので映画『えんとつ町のプペル』の届け方をまとめるとですね、

基本的には、「お客さん全員の作品にする」

…っていう方向で、広告戦略を立てていこうと思っております。


まとめ

こんな感じで、映画『えんとつ町のプペル』は制作を続けております。

非常に、自信作になってます。

僕が『えんとつ町のプペル』の物語を書いたのが…今から8年前ぐらいかな。
この8年、9年の集大成が、来年。

いよいよそこで、『えんとつ町のプペル』っていう物語が「完結する」っていうところですね。

人生の結構の時間を割いた、「魂を削った作品」になっております。

当然、国内で出したあとには、海外にも展開していって、
「エンターテインメントで世界を取る」!
その「1番隊の隊長」が、『えんとつ町のプペル』なんです。

いいのが出来上がっておりますので、
ご家族、お友達、恋人と一緒に、ぜひいらしてください!

今回は、「映画えんとつ町のプペルの届け方」というテーマでお話しさせていただきました。
それでは素敵な一日をお過ごしください!

西野亮廣でした。

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