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100億円を集めた日本最大のロボットベンチャーが売ったもの byキンコン西野

このnoteは2021年3月25日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:働く大人が輝く会社を作るイシバシケンジ さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。


《昨日のサロン記事の振り返り》

昨日は「パッケージ売りをする時は、キチンとバリューを設計しようね」というテーマで、記事を書かせていただきました。

「パッケージ売りは上手に設計しないと、お客さんにとってはデメリットしかないよ」という問題提議から始まる、ゴッリゴリのサービス設計の話です。

クラウドファンディングのリターンの設計とかを見ていると「パッケージ売りの落とし穴」にハマっている人がいて、そこに対する警笛です。

このあたりの因数分解と原因究明、その打開策に関しては、結構、得意分野だったりします。
かなりヤリ手のお医者さんみたいな感じです。

コメント欄はやはりサービス提供者さんからのコメントが多かったです。
興味がある方は是非、覗いてみてください。

(※コチラ↓)

そして、「お知らせ」です。

4月19日に開催するオンライン講演会『【教えて西野先生!】とっても大切なお金の話』の受講者が【2600名】を突破しました。

ありがとうございます。

お金に詳しい方なら誰でも知っているけれど、学校では教えてもらえないからほとんどの人が知らない「お金の超超超基本」を、キングコング西野がすっごい分かりやすくお話しします。

対象は小学校高学年〜お爺ちゃん&お婆ちゃんまでです。

チケット代は800円。
視聴にはFacebookアカウントが必要です。

参加希望の方はコチラから↓

そんなこんなで今日の本題です。

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一昨日、YouTube「西野亮廣エンタメ研究所」チャンネルにアップされた動画はご覧いただけましたでしょうか?

まだの方は是非、観ていただきたいのですが、ロボットテクノロジー企業『GROOVE X』代表の林要(はやしかなめ)さんと対談させていただいたんです。

林さんが何者かをご説明した方がいいと思うんですけど、もともとはトヨタ自動車出身で、世間の皆様が知っているところでいうと、ソフトバンクのヒト型ロボット「ペッパー」君を開発された方です。

で、その林さんが立ち上げられた新会社が、たしか、今から4〜5年前に大型の資金調達をして話題になっていたのですが、手元の資料によると、21年1月20日時点で、累計133億円の出資を受けたとあります。

で、ずっと「ペッパー君の次に、今度は、どんなロボットを作るんだ?」と皆、ザワザワしていた中、発表されたのが、家庭向けロボットの「LOVOT(ラボット)」でした。

皆さんも1度や2度は見たことがあるかもしれません。
なんか、クリクリの目をした、ペットみたいなやつです。

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約100人ものエンジニアが集まって、ようやく完成した渾身のロボットなんですが、「どんな仕事をしてくれるのか?」「何の役に立つのか?」が気になるところですが……何の仕事もしてくれないし、何の役にも立たないんです(笑)

何の役にも立たないどころか、ちょっと世話を焼いたりしなきゃいけない。

ロボットといえば「利便性」が、これまでず〜っと議論されてきたわけですが、L0VOTは「利便性の追求」と真逆に針を振っているんですね。

LOVOTがコケたら「もうっ」とか言いながら、起こしてあげなきゃいけないんです。

つまり、「起こしてあげたくなるような愛らしさ」「世話を焼きたくなる愛らしさ」が必要で、それを実現させる為に、100人ものエンジニアが集まり、133億円というお金(期待)が集まっているのが、実に興味深いなぁと思いました。

すごくないですか?
お金を払って買って、世話を焼くんですよ?
これは、カテゴリーでいうと、ロボットよりも、ペットに近いですよね。

わざわざお金を払って、仕事を増やしているんだもん。
でも、そこには、たしかな「幸せ」がある。

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僕らは、ペットやLOVOTを買う人が「何を買っているのか?」とキチンと定義した方がいいと思っていて……時間がないので答えを言っちゃうと、僕らが買っているのは「自分の役割」だと思っています。

僕らは、役割を与えられた時に、それがある種のストレスを覚えてしまうものであれば(一般的に)「仕事」と捉えるし、それが快楽を覚えるものであれば「サービス」と捉える。

そう整理すると、「快楽を覚える役割」を僕らは日常で時々買っています。
「BBQ」であったり、「キャンプ」であったり、「パズル」であったり、「プラモデル」であったり、「ペット」であったり、「LOVOT」であったり。

ロボットは人が幸せになる手助けをしてくれる存在じゃないですか?

「LOVOT」は、「人の幸せとは何か?」というところから設計していて、「ストレスがかかる仕事を代わりにやってくれるロボットがいてもいいし、快楽を覚える仕事を増やすのもロボットがいてもいい。それで救われる人がいるじゃないか」という所に着地していて、問題提議をしつつ、問題解決もしていて、見事です。

これを構想するだけの人はいるかもしれないけれど、これを実現させたのは本当に凄い。

だって、「人間の仕事を増やすロボットを作りたいんです」と言って、133億円集めれます?

「お金を払って、仕事をしたい人がどこにいるんだよ」という批判がまず最初に飛んでくるのが目に浮かぶじゃないですか(笑)

きっと、林さんも、散々言われたと思います。

これは、僕も実体験としてあって……

僕、時々、クラウドファンディングのリターンとかで「東京タワーの個展の設営の手伝いができる権」とか「エッフェル塔の個展の設営の手伝いができる権」といった感じで、〝仕事を販売すること〟があるんです。 

で、そういうリターンが、ソッコーで売り切れるんですけど(もう取り合いです)、この様子を見たアンチの人達が「詐欺だ〜」とか「信者ビジネスだ〜」とか言うんですけど……もちろん商品の内容(「働く権です」ということ)を全て言っているので欺いてもいなければ、それを買った人が、盲目になっている訳でもないんですね。

東京タワーや、エッフェル塔の設営は「営業時間外」におこないます。

館内の照明が全て落ちた夜中の東京タワーの展望台から、光り輝く東京の街並みを観たことがある人って、ほとんどいないと思うし、

営業終了して人がいなくなった夜のエッフェル塔の展望台から、光り輝くパリの街並みを観たことがある人って、ほとんどいないと思うんですけど……これ、こういう機会じゃないと、どれだけお金を払っても見ることができないんです。

文化祭の前日の夜、「やば〜い、間に合わな〜い」とか言いながら、準備を進めるの、楽しくなかったですか?
あの千倍楽しいです。

先ほども申し上げましたが「BBQ」しかり「キャンプ」しかり「LOVOT」しかり「エッフェル等の個展の設営」しかり……感情の針がストレスに振れるか、快楽に振れるかで、「お金」が仕事の対価ではなく、逆に流れることがあるということですね。

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「仕事を買うなんて詐欺だ〜」「信者ビジネスだ〜」と言っている人に、「ちなみにBBQをやったことはありますか?」と質問すると、何も言えなくなると思うんですけど、サービス提供者さんは、ここを深掘りした方がいいと思います。

お仕事でお芋を掘られている農家さんがいらっしいますが……あなたにとっては仕事かもしれないけれど、上手に設計すれば「芋を掘れる」はサービスにもなるはずで、買いたい人が出てくる。
そこを取りこぼしちゃダメだよね、という話です。




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