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ロジックで辿り着いた答えを「逆張り」としてしまう敗者 by キンコン西野

このnoteは2020年3月29日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:宇宙に帰るモンローのりこ さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「ロジックで辿り着いた答えを「逆張り」としてしまう敗者」
というテーマでお話します。

『西野亮廣エンタメ研究所』のコロナ対策

いま東京はロックダウンするか、しないかなどと騒がれていて、大変な状況ですね。損切りオタクの僕としては、1、2週間後にするぐらいなら、今すぐしてほしいなと思っています。

当然、そこで発生する痛みは、戦時中じゃあるまいし、「欲しがりません勝つまでは」といった精神論で乗り切るのではなくて、助ける体力が残っている人、その手段を知っている人がシェアすればいいでしょう。

連日お伝えしておりますが、現在も僕らは、オンラインサロンで、被害の大きい海外組のサロメンバーのフォローに当たっております。

ここでお伝えしておきたいのは、ニュースに出るときはどうしても「キングコング西野が」という、僕の名前が前に出てしまうのですが、僕なんかは偉そうに指示を出しているだけのゴミで、実際に朝から晩まで作業に当たってくれているのはうちのスタッフさんです。

いつか、コロナが落ち着いた時には、彼らをねぎらってあげてほしいなと思っております。よろしくお願いします。

昨日は、都市機能を完全に止められたフィリピンマニラで活動されている美容室NORAさんの、応援ページ、ヘアカットの前売り券販売サイトを立ち上げました。


これって結構いい仕組みだと思うんです。なぜなら、髪の毛っていずれにせよ切るじゃないですか。ならどうせ切るのであれば、今のうちから前売り券を買うことで、この大変な時期を乗り切れるといいなぁと、NORAさんの応援ページを立ち上げさせていただきました。

今日も今日で、ブロードウェイのパフォーマーさんなどのニューヨークチームは、今非常に苦しい思いを強いられているのですが、彼らを応援します。

具体的には、そこで発生した収益を、全額ニューヨークチームに寄付する動画を1本作りました。『西野亮廣エンタメ研究所』の公式 Youtube チャンネルでご確認ください。共感・応援いただける方は、その動画をシェアしていただけると嬉しいです。


ご覧の通り僕は元気ですので、とりあえず、4万2000人(※2020年4月時点)のサロメバーは必ず全員助けると決めております(2020年6月時点は、6万5000人)。

このラジオをお聴きのあなたも、もし体力が余っていて、助ける手段を知っているのであれば、隣で困っている人がいたら、手を差し伸べてあげてください。

僕は、阪神淡路大震災の被災者で、その時も、今と似たような経験しました。不謹慎と言われるかもしれませんが、このような非常時は人と人の距離を詰めるチャンスでもあって、悪いことばかりではなかったりします。

災害が、人との繋がりに気づかせてくれることもあるということですね。なので、みんなで頑張りたいと思います。

以上、近況をお伝えしました。

そんなわけで今日は、
「ロジックで辿り着いた答えを『逆張り』としてしまう敗者」
というテーマでお話します。

理解できないものを『逆張り』と片付けるな

「敗者」と言うと少し怖く聞こえますね。ごめんなさい。

僕は、日々いろんな活動をしていて、「ディズニーを超える」と言ってしまっているものですから、とにかく猛スピードで前に進まなければいけません。

そこで、「前に進んでるか否か」という基準で物事をとらえた時に、一般的に言われる『成功』や『失敗』という考え方は本質的ではなくて、少しややこしいですが、すべてのアクションについて「データが出たか出ていないか」で見ます。

僕は、うまくいってる仕事を毎年1つはやめるようにしているのですが、その理由は、「こうするとうまくいく」というデータが出たからです。

データが出たのにも関わらず、その活動を続けてしまうと、これ以上のデータが取れない活動に、自分の時間を割いてしまうことになります。そこで、他の新しいデータを取りに行く時間が削られるわけです。となると、そこでどれだけ売り上げを出していようが、本質的には『後退』なのです。

ここで、少し具体例を出します 。

僕は、ビジネス書でベストセラーを出す方法はもう知っています。「この手順を踏めば、20万部、少なくとも10万部くらいは売れるんだな」ということが分かっているので、「3ヶ月後に10万部売れるビジネスを出してください」という問題を出されたら、簡単に答えられます。

過去に出した『革命のファンファーレ』というビジネス書は、その趣旨で作りました。「本はこうすれば売れます。ちなみに、この本で立証してみせます」ということを本の中に書いて、その戦略をそのまま実行し、20万部売りました。

ただ、ビジネス書を3、4カ月に1回、10万部とか20万売り続けたところで、僕が目指すディズニーは超えられません。これは、目的に対するアプローチ、この場合だと時間の使い方が大幅に間違っているので、こういうことをバシバシ切っていく形にしています。

もう一度申し上げますが、前に進むためには、「データが出たか否か」が非常に大切です。

そして、データを正確にするためには、自分の行動をミリ単位で説明できるようにしなければいけません。

例えば、「こうするとこういうことが起きて、そこであれをすればこういうことが起きるから、絵本を無料公開しました」とか、「こうでこうでこうするとこういう展開が見込めると踏んだので、黒髪で無造作ヘアにしています」という感じです。

自分の動作の一つ一つに理由がないと、成功しても失敗しても「なぜ成功したのか」「なぜ失敗したのか」が説明できないので、再現性がないのです。

ホームランを狙った時に、確実にフォームランを打てる確かなスイングを持っておくことが重要で、まぐれでホームランを打ってしまうと、その確かなスイングとやらを手に入れることができません。

なので、空振りしたっていいから「なるほど、この角度でここにバットを出しても当たらないんだな」というデータを取り続けることが大事です。

これは、僕のオンラインサロンメンバーさんならもう当たり前のように知っていることですが、そもそもサロンに投稿している記事というのは、毎日その仮説検証の繰り返しです。

「なのでこういう狙いで行ってみます」、「いけました」、「ダメでした」という過程をサロンメンバーさんに日々共有しています。

ここで言いたいことは、僕はこのように考えて活動しているので、思いつきで動くことはまず無いということです。

場合によっては、最初の1本目は「面白そうだから」というパッとした理由で踏み出すことはありますが、2本目以降は、すべての理由・理屈を説明できます。

「ひな壇に出ない」というアクション一つとっても、1億人全員を「ああ、なるほどな」と納得させられるロジックを持っています。

ところが、多くの人は、そこにあるロジックに目がいかず、ただただ「キンコン西野は他の芸人がひな壇に出ているから、その逆をやって目立とうとしているだけでしょ、逆張りでしょ」っていう整理をしてしまいます。絵本の無料公開にしても、もしかするとオンラインサロンにしてもそうかもしれません。

僕の行動が、その他大勢の逆張りだと思っている人が少なくありません。

これは結構よくある話で、ネットに疎い人ほど、ビジネスの嗅覚が悪い人ほど『逆張り』や『炎上商法』という言葉を使います。

僕の友人には、今の日本をけん引している人はたくさんいますが、彼らは総じて、『逆張り』なんてしていないし、『炎上商法』もしていません。その時代に合った真っ当な努力をしているだけです。

何が言いたいかというと、少し厳しい物言いになりますが、自分が理解できないところで成功していたり、注目を集めていたりする人に対して、『逆張り』という判断をしてしまわない方がいいということです。

それは『逆張り』でも『炎上商法』でもなく、あなたを含む大勢が古くなってしまっていて、思考が追いついていないだけの話です。

これから考えられる展開としては、東日本大震災の時にTwitter が一気に普及したように、今回の新型コロナウイルスで注目されるサービスや新しく芽生える文化があるでしょう。

つまり、ここから数ヶ月で、時代や常識は大きく前に進み、ルールチェンジが起きます。

その時、必ず『逆張り』と言いたくなるようなアプローチが散見されるでしょうが、それは『逆張り』ではなく、あなたの思考や文化のアップデートが追いついていないだけの場合が往々にしてあるのです。

『逆張り』という喉まで出かかった言葉をいったん飲み込んで、「あいつは何でああいうアプローチをしているんだ」という問いを持ったり、「あいつ」が出している本を読んだりした方が良いでしょう。

くれぐれも気をつけておかなければいけないのは、何もしないでいるとどんどん古くなって、自分は自分のことを正しいと思ってしまうということです。そして大体、『逆張り』という言葉を使ってる人は、負けています。

というわけで、
「ロジックで辿り着いた答えを「逆張り」としてしまう敗者」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
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