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「時間割ベース」の働き方は効率が悪いbyキンコン西野

このnoteは2020年2月3日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:岩本義弘さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
『時間割ベース』の働き方は効率が悪い
というテーマでお話したいと思います。

「再起動の時間」を計算に入れろ

昨夜、急に思い立って次々回作の絵本の主題歌を作り始めたんですね。

僕はチームで一つの世界観を作る時に、その指針、コンパスとなる曲を必ず作るんですよ。

『えんとつ町のプペル』なんかは、何なら一番最初に曲を作ったんです。

曲が先にあって、そこからストーリーを作っていった。

曲が持っている情報量って本当に多くて、アップテンポな曲を作って指針にすれば、アップテンポな世界観ができ上がる。

たとえば、もしも三代目J SOUL BROTHERSさんの曲を指針にして空間を作ったら、ろうそくとがランプとかではなくて、近代的な照明が用意されると思うんです。

曲によって世界観はぜんぜん変わりますね。

だから、世界観の指針となる曲を必ず作って「この曲の世界で、作業を進めていきましょうね」みたいな発注の仕方をします。

なので、僕の自宅のアトリエにはギターと電子ピアノが置いてあってたしなみ程度に弾けるんですけれども、そこで、仮で弾いて、鼻歌を録音して、それをスタッフさんやサロンに投げて、メンバーと一緒に編曲したりしてます。

昨日の夜はずっとその作業をしてました。

僕がギターで弾いて、それをサロンメンバーが楽譜に起こしてくれたりね。

で、その作業が楽しくて、まあ気がついたら朝が来ちゃったから、作業を一旦中断してラジオを撮っているんですけれども。

こういう事ってあるじゃないですか。

時間がきたら、次の仕事っていう『時間割ベースの働き方』ですね。

まあ、ほとんどの仕事がそうですね。
99.9%の働き方が『時間割ベース』だと思うんですね。

僕は幸か不幸かデビューした時からずっと忙しくて、この時間からこの時間はこれをして、その後この時間まではこれをして移動中にこれをして、といった感じでした。

ゴリゴリに時間割ベースで、パズルみたいに仕事を空き時間にはめ込んでいってたんです。

何なら、きれいに仕事が時間にすぽっとハマると心地よさすらあった。

そのやり方でずーっとやってきたんですけど、数年前、それこそ映画『えんとつ町のプペル』の脚本を書く時です。

初めて仕事を10日間まとめて休んで山小屋にこもったんです。

長野県の山小屋に。

電波も繋がらないような山で、脚本執筆だけに集中した。

そこで、空き時間に他の仕事を入れないっていうことを初めてやってみたんですね。

そのときの経験が自分の中ですごく大きくて、今日はそのことをここで共有したいんです。

山小屋にこもって1日目、本を書き始めるじゃないですか。
脚本執筆に向き合うわけです。

けれども、脚本の執筆に集中できる環境だからといって、別に初日は筆が走るわけでもなかったんですよ。

で、「あれ、全然走んねーな」と思ってなんとなく1日目が終わって。

それで、そのまま筆が走ることもなく2日目も終わったんですよ。

終わっちゃったの、1日目、2日目は。

長野まで来て、山小屋にこもってまでやる意味あったかな?っていうぐらい激しい変化はなかったんですね。

変化があったのは、実は3日目の朝です。

朝起きてね、さあ書くぞーってなった時に筆が走ったんですよ。

そのまま筆は走り続けて夜になって寝ると、夢で『えんとつ町』の夢をみるんです。

自分が『えんとつ町』の中を歩いて『えんとつ町』の人たちと喋っているような夢を。

言ってしまったら、この3日間『えんとつ町』の情報しか入れてないのでそうなっちゃったんだと思うんですけど。

で、その夢が醒めて4日目からはもう筆が走りまくりです。

結果、脚本の大筋はその2~3日で全部書けちゃった。

10日とってたのに随分時間が余ったんですね。

とにかく3日目あたりからすっごい勢いだったんですよ。

でね、その後、日常というか『時間割ベースの仕事』に戻るじゃないですか。

そこで、ハッとするんです。

脚本を書いていて、時間がきたから仕事をして、その仕事が終わった時にもう一度脚本に向き合う。

その時、

「あれ?あのキャラクターは今どこにいるんだっけ?」とか、この建物の裏側ってどういう構造になってるんだっけ?

ってわからなくなったんですよ。

いちど思考を閉じてしまったから、起動するまでに時間がかかるんです。

頭を使う仕事の場合、この『再起動の時間』が実は最大のロスであるっていう話です。

そもそも何のために仕事を中断していたかというと、時間を効率的に使うためだったはずじゃないですか。

だけど、頭を使う仕事って一度中断したら『再起動』に時間がかかる。

実は効率がめちゃくちゃ悪いということがわかった。

『再起動の時間』を計算に入れてなかったという話ですね。

僕らは往々にしてスケジュールを埋めたがる。

スケジュールが埋まっていることで、働いている感を実感できて、それを安心につなげている。

でも、それは、本質的ではない。

くれぐれも、手作業ではなくて脳作業(頭を使う仕事)の場合ですね。

めちゃくちゃ勇気のいることですが、思考を巡らす仕事をする時は、再起動しなくてもいいぐらいに大胆に時間を設けることをお勧めします。

僕、長野から東京戻ってきてすぐに、書家の紫舟さんにこのことをお伝えしました。

紫舟さんも本当にお忙しい方だから「いや、私これまで、そういう『スケジュールベースの仕事』してたわー」みたいなことで、「1回、ちょっとやってみるわ」と言って、本当に紫舟さんもやってみたら、

「完全にこっちのが効率いいじゃん!」となりました。

その後、紫舟さんはまとめて仕事ドンって休んでまとめて考えるという風にしてるんですけど、やっぱりやってみたらそっちのほうが効率がいいということがわかったと。

僕なんか大人として終わってるんですけども、ゾーンに入っている時に次の仕事が来たらこれはもう事故だと思って次の仕事に行かないもん。

めちゃくちゃ怒られるんだけど、チーム全体のことを考えたら僕はそこで開いた世界を閉じずにいた方が絶対にいい。

ゾーンに入った時に、自分にブレーキを踏むことほどもったいないことはない。

最近はね、もう周りのスタッフさんも「今、もう入っちゃってるから、仕方がないよね…」っていう感じで諦めてくれるようになった。遅刻しても別に怒られないようになった。

まあ、でも、それはよっぽどの関係と実績を築かないと難しいと思うので。

まずは細かく区切ってスケジュールをきれいに埋めることに酔わず、一度大胆にスケジュールを区切って考える時は集中して考えられるだけのまとまった時間を設けてみてください。

意外とこっちの方が効率いいなっていうのは、わかってくると思います。

オススメなので、一度試してみてください。

というわけで、
『時間割ベース』の働き方は効率が悪い
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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