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ヨットのように生きる by キングコング西野

このnoteは2019年11月12日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:大空 真紀さん

おはようございます。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

オンラインサロンがすごい!!

ここ最近はあんまりゆっくり眠れていなくて、っていうのも近々発表になると思いますが、年明けに結構大きめの舞台がですね、急遽決まったんですね。

ふつう、大きめの舞台だったら、1年前くらいとか、2年前とかに決まって、そこから準備をしていくんですけど、

3ヶ月前、10月とかに「やろっか」って話がフワッとあがって「よしやるぞ」ってなって、3ヶ月で数万人のキャパの舞台を成功させないといけないっていう大きめのプロジェクトなんですね。おもしろそうだな、と思ってやることになったんですけど。

そのぶん負荷はかかりますから、僕はもちろんのこと、自分は脚本を担当するんですけど、僕はもちろんのこと、それ以外のスタッフも「それおもしろい」って言って国内トップレベルのクリエイターが一気に集まって、時間がないっていうのをおもしろがってるんですね。ピンチじゃん!みたいな。

多分、「2、3年後にやりましょうね」って言ってたら、このクリエイター集まってなかったな。何ヶ月か後にはもう本番だぞっていう、全然時間ねぇじゃんっていうとこでみんなが「おもしろそう」って乗ってきた感じがあって。

準備期間っていうのもけっこう考えもんだなぁと思って。
長けりゃいいっていうもんでもないな、と思いつつも、とはいえ締め切りに追われてヒーヒー言ってるとこです。

昨日もですね、ほんとに助かったんですけど、
これは今日のオンラインサロンにもチラッと書こうかなと思ってるんですが、脚本を書いて投げて、その後、「この長ゼリフのところをラップにしたいです」っていうバックをいただいたんですね。

ラップって僕作ったことないなぁと思って、ちょっとラップのノウハウもわからないので教えてもらおうと思って、急遽、昨日の夜にサロンに投げたんですよ。
「ラップできるメンバー、脚本の手直し手伝ってもらえないっすか?」って。

つまり、自分の書いた脚本をラップ化したいんだけど、って。

そしたらサロンの中からラッパーさんが集まって、名前は言えないですが、日本のトップラッパーの人がふらっと現れて、「なんできてるんですか!?」って聞いたら「おもしろそうだから」みたいな。

すごいよこれ。めちゃくちゃ豪華な感じになったんですよ。名前はほんと言えないんですけどね。オンラインサロンの今、すごいなって思った。

一昨日もですね、自分が仕掛ける新しい事業のことで弁理士さん、商標登録とかをしなきゃいけなかったので、そういう方向に強い弁理士さんを探しています、っていうことを。

弁理士さんってやっぱりさ、作業でやられるのは嫌やからね、おもしろがってやってくれる人がいいから、同じようにおもしろがってくれる人がいいなって考えた時に、やっぱサロンの中から探したほうがいいんじゃないかと思って、オンラインサロンに投稿したんですね。

かくかくしかじか説明した上で、
「こんな弁理士さん探してます、いらっしゃいませんか?」
って言ったらもうすぐに手が挙がって「あ、僕やりまーす」みたいな。

オンラインサロンって3万2000人いるんですけど、ない職業がないっていう感じになってて。たぶん網羅してるんですよ。世界中の職業の、エンジニアさんから大工さんから不動産屋さんから、ラッパーから弁理士さん、弁護士さん。政治家、上場企業の社長、ホームレスまで。

こうなってきたらほんとに、純粋な外に仕事を発注する理由が一個もなくなってきたなぁっていうのが最近の思うところです。

というわけで、今朝は
「ヨットのように生きる」
というテーマでお話したいと思います。

僕もTwitterを乗っ取られたい

僕のことを昔から応援してくださってる方はよく聞くことだと思うんですね。

この話はよく話しているし、すごく大事なことだと思っているので、話したことは過去1回2回じゃないです。

ふつうに生きていたら、いいことも悪いこともあるわけじゃないですか。
ほとんど、99%と言ってもいいと思うんですけど、みんな嫌なことがあるとですね、それを潰そうとするんですね。

たとえば、渋谷ハロウィンのゴミ問題。
むっちゃゴミがでると。「ゴミをだすな」ってみんな言うんですね。
でもさ、それでじゃあゴミ問題が解決したかっていうと、解決しないじゃないですか。

それとか、いじめがあったとして「いじめやめようぜ」ってもう何10年も叫んでるのに、いじめはなくなってないじゃないですか。

で、これ潰しても問題解決をすることの力を生んでないなって思うんです。

戦争反対も近いかもですね。戦争反対って何百年も言い続けてるのに終わってないじゃないですか。

僕たちが踏まえなきゃいけないのは、

ゴミを出すなって言っても、ゴミは出る。
いじめをするなって言っても、いじめはなくならない。
戦争するなって言っても、戦争はなくならない。

ってことをまず受け止めなきゃいけない。

じゃあこの上でどうすれば渋谷からハロウィンの日、ゴミがなくなるかなって考えた時にですね、

もう「ゴミをだすな」っていうのではなくて、翌日に、
ゴミがないと成立しないイベントを作っちゃおう
っていうことで何年か前に、『渋谷ゴーストバスターズ』って言って、ハロウィンの夜に現れたゴミを、おばけのカスを集めるゴーストバスターズ、を11月1日の朝に、みんながゴーストバスターズの格好をして、ちょうど幸い、彼らは背中に掃除機みたいなのを背負っていたし。

それでゴミ拾いをして、集めたゴミを使って、でっかいゴミのオブジェを作る、と。
そういうところまで何年か前に設計したんですね。

そうすると、ゴミ拾いが、オブジェのパーツ集め、になってくるので、そうなってきたらいい感じのゴミがほしいんですよ。なるべくたくさんいい感じのゴミが。

大きいゴミなんて、もう願ったり叶ったりで、一方タバコの吸い殻つまんねぇなぁ、みたいな感じです。

で、500人くらいでやったのかなぁ。
みんなでそうした時にですね、ゴミを奪い合ったんですよ。ゴミを、奪い合ったんですよ。

で、結局どうなったかっていうと、11月1日が渋谷が1年で1番キレイな1日になった。
これで問題解決じゃないですか。

ハロウィンがあったおかげで、渋谷が1年で1番キレイになったと。

このときの話を整理すると、「ゴミを捨てるな」って言ってキレイになったわけではなくて、ゴミはなるべく出してほしくはない、それはそうなんだけど、引き続き「ゴミを出すな」っていうのは言った上でね、それだけでは解決しないので、

ゴミがなきゃいけないイベントを作っちゃうっていう、
ネガティブ要素を逆に利用するっていうことですね。

これをヨットに例えて言うんですけど、ヨットって追い風、後ろから前に吹く風を受けて、前に進みますよね。

これで、ヨットって追い風でも進むし、向かい風でも穂を斜めにするとジグザグでも前に進んでいけると。

ヨットっていうのはどの方向からでも風が吹いていたら進むことができるんですが、
ただひとつ、1番厄介なのが無風状態ですね。

風が吹いていない時っていうのは、風の力を使えないので、そのエネルギーを使えないので、手漕ぎでエッサホイサいかないといけないんですね。

これが1番進みにくいんですよ。
これまったく人生と一緒で、やっぱり向かい風っていうのは、さっき言った「ハロウィンにゴミが出る」っていうことですよね。

これをうまく利用した結果、前に進めたわけですが、あれを潰してしまうと、結局大きいエネルギーが生まれてこなくてですね、大変な思いをする。

芸人っていうのは、昔から、ネタにする、っていう文化なので、
なんでもネタにする、っていう文化があるので、
ネガティブなものっていうのは、自分の中では、厳密に言うとプラスの素材であって、

たとえば、ハゲとか、チビとか、デブとか、貧乏とか。
そういったものは芸人からすると、ごちそうなんですね。

逆にそれがないっていうのは、芸人としてツライ。

自分なんかはやっぱり、わかりやすい
ハゲ、チビ、デブ、貧乏、売れるまでにめっちゃ苦労した
みたいな多くの人が共感できるようなコンプレックスを持ち合わせていないので、けっこう苦労したんですね。

誰の代弁者にもなれない、っていうところですね。

すっごいスピードで売れたっていうその苦労はあるんですよ。
1年目でめちゃくちゃ売れたんで、冠番組を山ほどもたせてもらって、っていう苦労はあるんですけど、こんなことは誰も共感できないから。
人からすると、それはうらやましいネタでしかないからさ。
だからまぁ、誰の代弁者にもなれない、っていうのはコンプレックスになり得なかったんですけど、僕と梶原くんの中ではけっこうなコンプレックスだったけど、世間的にはコンプレックスではないと。

何が言いたいかというと、
僕たちはそういうものにすごい憧れたし、でも今さら手に入れることはできないし、みたいなことなんですね。

で、向かい風っていうのを現認は常に探してる。

このクセをつけるとどうなるかっていうと、
結論ですね、テンパらなくなる。
何か問題が起きた時にニヤニヤできちゃう。

最近だと、梶原くんがTwitter乗っ取られたんですよ。

で、梶原くんも、梶原くんのまわりのスタッフさんも「どうしよう」ってめっちゃテンパるんですよ。

そんな中、僕ひとりケラケラ笑ってですね、
なんなら、僕が乗っ取られたかったな、って思うくらい。
これはパフォーマンスでもなくて、ほんとに思っていて。

やっぱりね、自分なんかはアイデアをうって生きている人間なのでね、
「こんなんおもしいじゃん」っていうのをうって生きているからわからるんですけども、
善から生み出したアイデアって全然おもしろくないんですよ。

だって、みんなと考えてる条件が一緒だから。
スタート位置が一緒だから。

おもしろいのは、めちゃくちゃプラスか、めちゃくちゃマイナス。制限がかかる。

つまり
「Twitter乗っ取られたどうしよう」とか、
「美術館つくることになりました15億円かかります。借金15億円です。さぁどうしよう」
ってところから考えるアイデア。

ふつうに生きてたら15億円返していこう、って考える機会ないから、そこの頭って使わないし、そこで起こるアレコレってみんなは経験しなくて、自分は経験するわけだから、ってことは「売りもん」になるわけじゃないですか。

自分しか経験してない情報だからね。

なので、極端なマイナスっていうのは、自分にとってはプラスでしかない。

そうなるためには、
ヨットのように体を動かす
っていうことが非常に重要だなって思っております。

いっかい試してみてください。

というわけで、今朝は
「ヨットのように生きる」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

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